2021-05-17
今年2021年は17年ごとに大量発生する「周期ゼミ」のうち、「ブルードX」と種別されるセミの当たり年らしい。
地球上には約3,000種のセミが存在するが、13年または17年の周期をもつ周期ゼミは7種しかおらず、そのほぼすべてが北米だけに生息するという。
(17年周期の17年ゼミが3種で北部、13年周期の13年ゼミは4種で南部に生息しているらしい。)
周期ゼミの群れは、発生する年がすべて同じものをまとめて「ブルード」と呼び、それぞれのブルードにはローマ数字がつけられている。知られているだけで、15のブルードが存在し、2021年に大量発生する「ブルードX」は最大の集団であるらしい。赤目で体色は黒く、体長は2.5センチほど。場所によっては、1エーカー(約4,000平方メートル)の森に150万匹ものセミが発生するらしい。ちなみに東京ドームは46,755平方メートル。密集度が想像できるだろうか。
周期ゼミは「米国東部の森を代表する草食動物」であり、その数と量においては他のどんな動物にも及ばないらしい。
地中の温度が摂氏18度に達すると、地上に出て成虫となり、交配相手を探し始める。
バッタなどの大量発生と違い、セミは農作物を荒らすこともなく、もちろん人を刺すこともない。
なぜ、13年、17年という年に大量発生するのか。
一つには捕食動物を避けるのに適した進化だったというもの。また、素数年の周期で発生すれば、ほかの周期ゼミと同じ年に発生する確率を減らすことができ、交雑が起こりにくく、資源をめぐる競争も避けられ生存率は高まる、というのが理由らしい。
研究者による周期ゼミのDNAサンプルの分析によると、長い年月の中で13年及び17年周期で発生するセミは、複数の進化の道筋をたどり、それぞれの種が独自にこの周期にたどりついたらしい。
遺伝子に刻まれているとはいえ、セミの発生周期は完全に固定されているわけではなく、こうしたセミの仲間では13年と17年の周期を行ったり来たりする場合があることも分かっている。
地球の気候の急激な変化により、セミが生来持っている計時メカニズムが混乱することが、周期変更の主な要因と考えられているとのこと。
遺伝子レベルの変化まで起こして生存率を高めているにもかかわらず、周期ゼミは身を守ることには無頓着らしい。量で圧倒するためか、少しくらい食べられても群れ全体には影響しないとでも考えているのか。対して捕食者(人間も含む?)にとっては豊かさを享受することができる年となる。
これから地中に出てくるブルードXだけではなく、ほかの周期ゼミや周期ゼミでない何万、何千匹というセミが“その時”を土の中で待っていることを想像すると、自然の成り立ちとはいえ不思議な気持ちになってくる。
すでにブルードXの発生は、ノースカロライナ州やニュージャージー州で始まっており、Twitterにあげている人も多い。
周期ゼミの期間は6週間ほど。ニューヨークシティーではどれだけみられるかわからないが、ちょっとワクワクしてきます。
神長