2021-10-13
知り合いからベタ(Betta)という観賞用の魚を預かることになった。
赤や青など色が鮮やかで、ひらひらした尾びれや背びれが特徴の観賞魚で、ペットショップなどでは一つの水槽に何匹か同じ魚が泳いでいるのとは違い、ベタは小さく区切られている棚に、一匹ずつ小さいプラスチックケースに入って売られているのは知っていた。飼育が比較的簡単な、ポピュラーな魚、の印象だった。
Wikipeidaによると、ベタはスズキ目 キノボリウオ亜目オスフロネムス科(かつてはゴクラクギョ科)ゴクラクギョ亜科ベタ属(別名トウギョ属)の淡水魚。和名は闘魚。
縄張り意識が強いので、複数で飼育する場合は広い水槽が必要だそうで、ペットショップで一匹ずつ隔離されているのもそのためらしい。
隔離された瓶などに入れたベタを隣り合わせで置くと、雄雌にかかわらず、互いに背ビレや尾ビレやエラを最大限まで広げて体を震えさせてに威嚇し合う「フレアリング」という行動を起こすという。気性の荒い魚らしい。
もともとはタイのメコン川流域原産の熱帯魚とのことですが、その縄張り意識の高さや攻撃性を利用して、2匹のオスを戦わせる遊戯のために飼われるようになったという。闘魚としての品種改良のための交配を重ねた副産物として、鮮やかな体色をもつものがあらわれ、美しさを求めてさらに品種改良が加えられ、目の覚めるような青や赤の体色で、ヒレの長い品種が誕生したとのこと。
ベタは口を空気中に出して空気を口の中にいれ、そこから直接酸素を得ることができるという。だから売り場でプラスチックケースの中でも、ブクブクと空気を送るような機械がなくとも大丈夫らしい。
ちなみに預かったベタは、深紅の長い尾ひれや背びれをもつ美しいオス。
どうしてオスだとわかったかというと、ベタのオスは繁殖のために水草などの浮遊物を集め、そこに泡をつけた浮き巣(泡巣)をつくるとのことだが、水槽の表面には直径1mmほどの小さい泡がたくさん浮いているから。この泡は丈夫で触ってもすくい上げても壊れることはない。生憎今のところパートナーはいないのでこの泡はいかされていないが、ベタのオスは、受精させた卵を泡巣まで運び、稚魚も守るとのこと。巣に近づく魚は、たとえ母親である雌であっても攻撃をすることもあり、縄張り行動や、生殖行動、巣作り、子育てなどの本能行動研究のための実験動物としても用いられているらしい。
ベタくんは、しばしば水面に近いところや、水槽のなかほどでエラも動かさず、文字通りぼーと浮いていることがあり、慌てて水槽をトントンとして生存を確かめることがあったものの、しばらくは平穏に過ごしていた。ところがある日水を変えてしばらくすると、今までと違ってすべてのひれがまとまって力なく垂れてしまい、見るからに瀕死な様子。
「どうしたベタくん。」
と、藁にも縋る思いでグーグル先生に助けを求める。するとどうやら塩浴という治療法があることを発見。塩分濃度が0.5%の塩水にベタを入れる治療法らしい。
ベタは淡水魚だが、体内塩分濃度が0.6%のため、塩浴は体内塩分濃度に近い快適な水質となり体への負担が減り、また塩による殺菌効果で寄生虫や病原菌などにも効果があるとのこと。
0.5%とはいえ、いきなりベタを塩水に入れるのは体への負担が大きいので、説明通りにお茶用のパックに塩を入れて少しずつとけるように設置。ちなみに塩は料理に使用するような、普通の塩を使用。
塩浴を始めて数時間後、ベタくんの様子が改善されたのがわかる。
「よかった~。」
と一安心。本当に一時はどうなるのだろうと最悪の状況も頭に浮かんだが、危機は無事脱出。
塩浴は長くとも1週間とのことだったので、数日後、塩分濃度を薄くした水に移したりしたり後、淡水に戻せるところまで元気になった。
背びれなどが重いせいなのか、何かに寄りかかっているような姿勢をとることがあり、再び心配になることもあるが、むしろ以前よりも元気になったような気さえするほどで、背びれ、尾びれ、胸びれをひらひらとさせて泳ぐ様子は惚れ惚れするほど美しい。
そしてベタくんは無事に飼い主のところ帰還。短い間でしたが、興味深い体験でした。
神長