2007-11-19
月末に休みを取ることになった。日本で仕事を始めて以来、月末に休みを取るなど、私の信条に最も反するところだが、仕方がない。急に引っ越しが決まったのだ。急いで部屋の片付けをしないと!
おかげさまで結構日々捨てる習慣がついている方なので、そんなにモノは多くないのだが、それでも結構不要なものが出てくるもの。
読み終わった本も、その一つ。日本にいた時は本など読んだことがなかったが、最近は通勤の時間などを使って、よく読むようになった。自分で買ったものもあれば、人に薦められたもの、人にもらったものもある。また何度も読み返した本や途中で読むのを止めてしまったものもある。そんな中で私がわざわざ日本から持ってきた本、そして今回の引っ越しの際も捨てずに、恐らくこれからもずっと持ち続けるだろう本に、三浦光世、三浦綾子の「太陽はいつも雲の上に」がある。これは実は、私が神戸で働いていた頃、仕事の帰りに時々寄るバーのマスターがくれた本だ。どうして彼がこれを私にくれたのかは分からない。私がいつも飲んだくれていたのを、あるいは愚痴をこぼしていたのを、見かねたのかも知れない。
そのバーというのは、神戸港に寄航する世界の船乗りを相手にしたバーで、それこそカラオケも皆さまざまな言語で歌い、いろんな国の国旗やポスターが貼ってあって、一種とても異様なバーだった。もらった本は小説ではなく、作家の三浦夫婦がそれぞれ選んだ「ことわざ」や「警句」が並んでいるのだが、読むたびに深く考えさせられる。また、読むその時々によって、感じ方や理解の仕方が変わるのも面白い。そのいくつかは下記の通り。
「君の仕事では君が市長だ」-五十嵐広三(旭川市長)
「世界を怖れるな、唯自己を怖れよ」-杉浦重剛
「涙と汗は人のために流せ」
「高ぶりは滅びにさきだち、誇る心は倒れに先立つ」-旧約聖書
「何を笑うかによって、その人の人柄がわかる」-マルセル・パニョール(フランス劇作家)
「上に登ろうとしない人は落ちやすい」-テイポン
「迷う時には損を取れ」
「悪口をいう時、人は親友になる」
「愛のない人間に限って、誰も自分を愛してくれないと愚痴るものだ」-ハインリッヒ・ブルンナー(ドイツ法学者)
「食物をえらぶように言葉もえらべ」-聖アウガスチヌス
「怒りは敵と思え」-徳川家康
「人がひとりでいるのはよくない」-旧約聖書
「隗(かい)より始めよ」-戦国策
「働かざる者食うべからず」-新約聖書
「労働者への報酬は恩恵ではなく当然の支払いである」-新約聖書
「止まなかった雨はない」
「好きなことよりも、してよかったと後に思えることをせよ」-ドバル
「人のたばこのむべからず」-松尾芭蕉
などなど、まだたくさんあるのだが、書き切れない。どれもこれも読むたびに反省を促される。そして反省した翌日にはまた同じような間違いをしてしまったり、何度もそんなことの繰り返し。そして、この本の最後の余白に、マスターの字で書き留められているのが、「積小為大」。
そうね、何事も「積小為大」。
あぁ、今度日本へ帰ったら、会いに行かないとね。
マスター、ありがとう。
コンサルタント(NY):高橋