2008-01-14
妙な「雰囲気」
少し前のことですが、インターネットのコラムか何かで、「若年層の漢字離れ」みたいなトピックがありまして、たまに物書きの真似事をする私としては、何となく興味をそそられて読んでみました。要するに、カタカナ言葉の氾濫とコンピュータによる誤変換によって、正しい漢字がわからない人が増えていると、要約すればざっとこんな内容だったわけです。
確かにそう言われてみると、最近物を書くと言っても実際はWordやEmailなどを使って、書いているのではなく打っているわけですから、本当の意味で「物を書く」事は極端に少なくなりました。たまに手書きでメモを書こうとすると、わからない漢字がひらがなやアルファベットに「変換」されてる経験は皆さんもお持ちだと思います。そして、その話題の中にもうひとつ、どこかの掲示板でのやり取りの一文がこんな風に紹介されていました。
「ねえ、フインキってどうして漢字変換できないの?」
「いや、そんなわけないでしょう」と思いますよね、普通。でも、これって良く見ないと見落としてしまうのですが、「フ・ン・イ・キ」ではなくて、「フ・イ・ン・キ」と書かれているのです。ちなみにこれで変換しようとしてみると、私の使っているPCではカタカナの候補しか出てきません。
そう、この掲示板の方は雰囲気という言葉の読み方をずっと「フインキ」だと覚えていたというお話なのです。なるほど、確かに音感的には非常に良く似ていますが、漢字を見れば普通は気づきそうな気もします。やはり、ずっとカタカナで書いているとそのあたりの感覚が鈍くなってしまうのでしょうか?
まあ、世の中変わった人もいるものだと、その時は無理に納得したのですが、最近になって急にこのことを思い出して、「フインキ」と入力してちょっとググってみました。すると、驚いたことに37,700件がヒット、さらに某検索サイト内辞書の新語探検というコーナーには、なんとこの「フインキ」が登録されており、5行ほどの説明と大学教授の解説まで。
「漢字で書けば『雰囲気』である。正しい読み方は「フンイキ」だが、「フインキ」と読む若者が増えている・・・(中略)・・・関東より関西の学生の方が「フインキ」と読む傾向が強く、70%がこう発音しているという報告もあるという」
え~ホントですかこれ?雰囲気はどう読んでもフインキじゃなくてフンイキでしょ!
どう考えても単なる読み間違えが、現代のインターネット中心の社会では徐々に市民権を持ってしまうということでしょうか。数年後には「フインキ」と入力しても、しっかりと漢字変換されて、どっちの読み方でも正解になってしまう日が来たりして。
自分も携帯電話のことをケータイとか書いて無理な若さを演出している場合ではないなと、少しだけ反省した次第です。
ナガタク@Cincinnati