2008-10-27
ある病院の待合室でのできごと。
クレヨンで絵を描いていた子供の母親に、
隣に座っているおばあさんが話しかけました。
「この子はとっても絵が上手ね。将来が楽しみだわ」
母親がにっこりと笑って、嬉しそうに答えました。
「ありがとうございます。この子、この前も学校で賞を取ったんですよ!
本当に絵を描くのが好きでね。将来は画家になるのかもしれないわね~」
もう4年も前の話ですが、いつまで経ってもはっきりと
その光景を覚えています。
アメリカでは、多くの人が褒め上手・そして褒められ上手です。
短大時代に、ピアノのレッスンを受けていたことがありました。
基本的にこつこつと練習するのが苦手な私は、
ほぼ練習ゼロの状態で、レッスンに臨んでいたわけですが・・。
それでも、先生はなぜか妙に褒めてくれます。
少しでもいいコードを弾いた時、よいリズムで弾けた時、
「Good Job!」「You’ve been doing good!」
と褒め続けてくれるのです。
水球のチームに入っていた時も同じでした。
ほぼ全くの初心者の状態で入れてもらったチーム。
誰がどう見ても100%足手まといの私でしたが、練習中や試合中、
少しでも何か出来たら、コーチもチームメートも、褒める、褒める!
そして、渇を入れながらも、励まし続ける!
「いや・・全然大したことしていないんだけどな・・」
と正直気が引けることも多々あったのを覚えていますが、
コーチやチームメートに褒められたり、励まされて、
嬉しくないはずはありません。
次第に、褒められることにも慣れ、正直に喜べるようになってからは、
掛けてもらう一言一言が、辛い練習や苦しい試合を乗り越える
力になっていったのを覚えています。
このような話を、ある本で読んだことがあります。
イソップ童話の「狼少年」を子供に聞かせると、
結果はどうなるかという調査が行われたそうです。
事前に行われた大人向けの調査では、「子供は『狼少年』の話から
教訓を学び、嘘をつく回数が減ってより正直になるはずだ」と
答える人達が大半を占めていたそうです。
しかし、結果はそうではありませんでした。
子供達が嘘をつく割合は、それ以降も変わらなかったのです。
そこで次に「ジョージワシントンと木」の話を子供に聞かせました。
少年ジョージが自分の桜の木を切ったことを父親に告白する話。
父親は、「君が正直に言ってくれたことは、
千本の桜の木を持つことよりも素晴らしい」と少年に言います。
この話は子供達が嘘をつく割合を43%も下げたそうです。
もちろん、ある文化を一概に、いい、悪いと区別することはできません。
それでも、私はアメリカに来てからの自分の経験から、
褒め上手・褒められ上手の文化を見習いたいと思っています。
病院の待合室で、知らないおばあさんから褒められ、
また、嬉しそうに子供のことを話していた母親。
その2人の会話は、そこで絵を描いていた子供の耳にも
そして、心にもきっと届いていたはずです。
「褒める」「褒められる」の効果は覿面です!
なんせ、褒められた人がHAPPYになるのを見て、
褒めた本人も実はHAPPYなれるという相乗効果があるんですから!
今週もたくさん褒めて、褒められる一週間になりますように。
(武井)