2008-11-10
すっかり初冬という雰囲気のNYですが皆様如何お過ごしでしょうか。
NYオフィスの木村です。もうクリスマスが迫ってきていますが、この時期になると必ず思い出される事があります。
私は大学時代ある助教授に心酔しました。彼によって物事の見方を徹底的に叩き込まれ、現在でも私が何かを考えたり感じたりする際のベースとなっています。
その彼の授業を初めて受けた時の事です。
授業の流れの中でクリスマスについて言及し始めました。
まとめるとこんな感じです。
キリスト教は凄い勢いで世界中に広がった。これはキリスト教自体の魅力も当然背景としてあるが、教徒達の広め方が上手だったのも大きな要因である。彼等のやり方というのは、それぞれの土地に根ざしている土着の宗教にキリスト教をすり合せていく、というものだった。例えばある宗教で祝祭があった場合、キリスト教徒は「実はウチも偶然この日祝祭なんですよ」という事で一緒に祝うのである。数年数十年数百年という年月を重ね、キリスト教が結果的に土着宗教の習慣を覆っていく。
実はクリスマスもこのようにして浸透していった祭りの1つである。現在の研究によれば、おそらく今の暦だと1月初旬辺りにキリストは生まれたのではないかと考えられている。では12月25日とは一体何か。諸説あるが、信憑性の高い説としては、ミトラ教というインド・イラン系宗教の太陽祭という太陽を祀るお祝いの日である。キリスト教徒がこの日をミトラ教徒と共に祝い、後にクリスマスとして吸収していき、そして現在に至る。オリジナルの欠片など全く残っていない。
驚きのあまり呆然としている私に対し、彼はこう締めくくります。
「12月25日は世界中がフィクションを祭る、非常に稀有な日なのです。」
物事を出来る限り多角的に考えるべきという努力を、おそらく私はこの話を聞いた時から自分でも気付かないうちに始めたのだろうなあと、クリスマスシーズンを迎える度に思い出すのです。努力が実っているかどうかさえ定かでないですが。
こんな話を聞いたからといって、ではクリスマスに対して冷めてるのか、といったらそういう訳でもないですけど。1昨年は手作りクロワッサン(大失敗)、去年は手作りピザ(大失敗)に挑戦しました。今年は何に大失敗しようか思案中です。