木村です。
前回NBAのプレイオフ決勝チーム予想をしましたが、進出した2チームの内1チームは予想と違いました。まあそれでも準決勝に進んだ4チームは全て私のイチ押しに含まれていたのでなかなかシャープな読みだったフフフ、と気味悪くひとりごちたところで本題に入ります。
といっても今回もバスケ絡みになってしまいますけど。
田臥勇太(たぶせゆうた)さんをご存知ですか?
バスケットーボール選手です。
日本人で唯一NBAでプレイをした選手です。
私が彼のプレイを初めて観た時の事を今でも鮮明に覚えています。
今から約10年前、まだ私がアメリカで学生をしている時の事です。
夏休みで日本に帰省をしていた私は、実家で深夜テレビを一人で観ていました。時差ぼけも残っていたのか、「眺めていた」という表現の方が正しいかもしれません。たまたまテレビでは全国高校バスケット大会の決勝が流れていました。(高校野球や高校サッカーとは違い、バスケの試合はたとえ決勝であってもプライムタイムに放映されることはまずありません。)
放映されていた試合を横になって他の事を考えながらぼーっと眺めていましたが、1人だけ周りと全くレベルの違うプレイをしている選手が居る事に気付くのに時間はかかりませんでした。気付いたら姿勢は横から縦になっていて、眠気は完全に遥か彼方へ。田臥選手から繰り出される1プレイ1プレイの新しさ・美しさは、初めてマジック・ジョンソンのプレイを観た時の衝撃と同じものでした。後から知った事ですが、彼が秋田県・能代工業高校に在籍した3年間は、高校総体、国体、全国高校選抜の3大タイトルを全て制し、史上初の「9冠」を達成したチームとの事です。
しかし高校卒業後の彼のキャリアが大成功であるとは言えません。
日本人として初のNBA選手という実績は勿論掛け値無しに素晴らしい事ですが、4試合に出場後解雇という事実は少々寂しいですし(ちなみにその4試合の内の1試合を私はスタディアムまで行って観ました。ものすごい小さな自慢です)、その後も毎年NBAチームのトレーニングキャンプに参加するも選手登録にまでは至っていません。
田臥選手は今年もNBAのトレーニングキャンプに参加します。
もしかしたら彼が再びNBA選手になる事は無いかもしれません。
今年29歳になる彼は経験値こそ現在も上向きかもしれませんが、体力・技術を含め総合点がこれからも上昇し続けると考えるのは難しい。
でもきっと彼は挑戦を止める事は無いだろうな、根拠はありませんがそう感じます。
色々な理由があるはずです。野心名誉金銭といった理由だってゼロではないでしょう。でも一番の理由は「楽しいから」だと勝手に解釈しています。
世界中のバスケ選手の中のほんの一握りだけが存在する事を許される、究極の領域。
想像を絶するようなプレッシャーを享受してでも、それと引き換えにするだけの価値がある甘美な楽しさがあるから、彼は又今年もその地に赴くのだと思います。
わざわざ言うまでもありませんが私はそのような世界を経験したことは今までありません。
でも現状に満ち足りない気持ち、未知に挑む力を出来る限り持ち続けたいとは思っています。
何時まで持てるでしょうか。来月までしょうか。それとも40年後?