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2009-08-31
送り言葉
どうもこのところ、ブログの順番がまわってくるのが著名人が他界したという出来事が記憶に新しい時期に重なり、そんなことばかり書いているように思うのですが、今回もやっぱりそんなことを書くことになりました。

先週、テッド・ケネディー氏が他界してしまいました。15ヶ月前に手術が不可能な脳腫瘍と診断され、数週間の命かもしれないし、数ヶ月間の命かもしれないとの宣告を受けた後も、毎日が贈り物だと、経験なカトリック教徒だったケネディー氏は他界直前まで精力的に生きたそうです。JFKとRFKという偉大な存在を兄に持ち、ケネディーという家名を背負っただけではなく、ケネディー家の支柱となって兄弟の子供を自分の子供と分け隔てなく愛し、そして、常に貧困層、移民、労働者といった弱者の味方であり続け、300以上の法律を立案し法律化し、そして、黒人大統領の誕生に大きく貢献し、最後まで国民皆無保険制度に心血を注ぎ、人生の終結とともに46年間に渡る上院議員歴にも幕を下ろした人であることは誰もが知っていることですよね。知らなかった人でも、この数日の報道で、随分、ケネディー家とテッド・ケネディー氏について詳しくなったのではないでしょうか。

兄3名が若くして、しかも悲劇的な最後を遂げたケネディー兄弟の最後のテッド氏がこの世を去ったことで、ひとつの時代が終わったと感じているアメリカ人は多いようです。アメリカ人でなくても、アメリカで暮らしてくればケネディー家の存在と存在感は感じられずにいられないものですし、このお金持ちのお坊ちゃんたちが、どうしてここまで心血を注いで弱者のために闘おうと思うのか、私はなんとなくいつもそこに不思議な感じとそこがケネディー兄弟の魅力なのだろうと思ってきました。なので、時代の終焉をきちんと見届けるつもりで、私もテレビ中継のテッド・ケネディー氏のお葬式に参加。

オバマ大統領がきっとユーロジーをする一人だろうと期待をしていましたし、期待どおり、ユーロジーの〆はオバマ大統領。いつもの通り、冷静にかつ人の心を打つスピーチでサスガ!でしたが、私にはユーロジーの順番が一番最初だった、テッド・ケネディー氏の長男のテッド・ケネディーJr氏のユーロージーが一番心に響きました。テッド・ケネディー氏のRFKの国葬でのユーロジーの一ラインがとても有名ですが、Jr氏は父親のようなスマートでかつ情熱的なスピーチではなかったものの、聞く人の心にじーんとしみる素敵なスピーチで、アカノタニンの私までかなり泣いてしまいました。ここで内容を語ると長くなるので、ご興味のある方はこちらのウェブサイトでお読みください。全文が載っています。 http://www.boston.com/news/local/breaking_news/2009/08/ted_kennedy_jrs.html

で、私の今日のテーマは実はテッド・ケネディー氏の他界ではなく、ユーロジーなのでした。

別れは悲しいものですし、永遠の別れは本当に悲しいものですよね。だから、きっと日本人だって、たくさん、声に出して、さよなら、あなたは素敵な人でした。ありがとう、って、言いたい気持でいるお葬式の参列者がいるんじゃないでしょうか。このユーロジーがあることで、お葬式は死者を送り出すセレモニーではなく、その人の人生のあり方を祝賀するセレモニーになるような気がします。私も、もう20年も前にとても大好きだった叔父を亡くしました。思うに、人生で一番悲しいことのチャンピオンです。いまだに完全にその悲しみから卒業できていない気がしています。まだ40歳だった叔父ですが、叔父の人柄と生き方で彼を慕う人がたくさんで、お通夜から告別式まで何百人という人に参列してもらい、とてもたくさんの人たちが泣いていました。日本のお葬式ではお焼香、というセレモニーがあるので、お焼香をしている時にきっとそれぞれが心の中でお別れの言葉を言っているのでしょう。でもあまりにも短い時間なので、私の心の中にはなんの言葉も浮かんできませんでした。あまりにも悲しかったせいもあるとは思いますが。お通夜のお坊さんのお説教が、お説教が上手なお坊さんによっては、ほぉ~、なるほどね、と心にしみることがありますが、お釈迦様のお話ですし、やっぱりユーロジーじゃないですから、どうもしっくりこない。やっぱり、ユーロジーで誰かが泣かせてくれたり笑わせてくれたり、ありがとう、って思わせてくれたり、そうしてその人の人生をそこでシェアーするって素敵だと思います。

日本人も有名人のお葬式だと、ユーロジーっぽいものありますね、そう言えば。

お葬式は悲しいものですけれど、主役は語ることができないのですから、主役のために参列者が語ってあげることで、悲しみも昇華することもあるのではないかと思います。ユーロジーって日本語でなんと訳すのがよいのでしょう。送り言葉、でしょうか。

お葬式、と言えば、モッ君主演の「送り人」、いい映画でした。

((大矢))