2009-11-03
野球のワールドシリーズでは、ニューヨークヤンキースが
フィラデルフィアフィリーズを相手に、楽勝かと思いきや、
なかなかの接戦の模様を呈しています。
普段はあまり野球に興味が無い私でさえ、
試合の結果が気になる今日この頃です。
そんな中、先週、とあるセミナーに参加をしてきました。
ニューヨークにある各日系企業のトップの方々が参加しているので、
紛れ込んでしまった、と言うほうが正しい気もしますが。
セミナーのタイトルは“脱官僚とは?”
今回はセミナー形式ではなく、パネルディスカッション形式で、
司会はあるメディアの支局長で、若かりし頃は
報道記者で霞ヶ関を担当していた方。
そしてパネラーはニューヨークにある機構の所長を務めていらっしゃる、
総務省と経済産業省のお二方でした。
(お二人とも東大出身で、一般的に高級官僚といわれる方々です)
“参加者100人集まっての秘密のオフレコ会”というだけあり、
なるほど、というお話がたくさん聞け、非常に興味深かったのでした。
ウィッキーペディアによると
“日常会話において「官僚」と言う場合、霞ヶ関の中央省庁で政策に携わる
国家公務員を漠然と指すことが多い”そうです。
官僚は各分野の専門家であり、制度やシステム、法律を熟知しています。
そして彼らが政策の企画と施策を行うことが多く、
(実現方法としては、法令の制定、予算確保による補助金や施設の発注、
行政指導や許認可による民間企業へのコントロールという形を取る)
霞ヶ関では“相手を突く”という言い方をするそうですが、
官僚の方たちは、相手を論破する方法を徹底的に教え込まれるそうです。
そのためか、上述のパネラーのお二人も、理路整然としていて、
且つユーモアもあり、様々な角度からの質問にもよどみなく答えられ、
非常にお話し上手でいらっしゃいました。
参加者の方から
「官僚のイメージが悪く、最近は官僚になりたい
優秀な人材が集まらないと聞きますが、その点はいかがでしょうか?」
という質問がありました。これに対し総務省の方が
「出来すぎる人材が多いので、
質が若干下がるくらいでいいのではないでしょうか」
と言われていたのが印象的でした。
一般的に日本の官僚は出来すぎで、日本を動かして来たのは
政治家ではなく、官僚だという声が聞かれます。
本来官僚は、制度上国民に選ばれた政治家に指揮される存在です。
経済産業省の方は、元小泉内閣の大臣官房審議官の経験をお持ちですが、
「実際に官僚の立案を小泉元総理がオーバーライトする例を、何度も見た」
と言われていました。
政治家のリーダーシップがあって、初めて官僚が生かされるものだと。
本来日本の議会制は首相がパワーを発揮する気になれば、
限りなく独裁的な体制を築くことが出来るそうです。
一方の米国の大統領制は、大統領が握る権限が強大でも、
それだけのパワーは無く、悪く言えば足を引っ張りあう制度のようです。
実際に健康保険制度が上院でストップしているのが、
良い例ではないでしょうか。
第二次世界大戦後、戦前のエリート政治家らが排除された日本の復興は、
官僚たちの手に委ねられ、東洋の奇跡と言われた高度経済成長を
果たしてきたようです。
この間、官僚たちは1955年からほぼ一貫して政権与党の座にあった
自民党と、大企業とタッグを組んできたようです。
総務省の方が、
「民主主義の国なのだから、官僚も政権交代を経験しておかないと、
世界の競争では勝てなくなるのでいい事ですよ」
と言われていました。
政権交代によりこのタッグがなくなった今、日本がどのように変わっていくのか。
鳩山政権が言う”脱官僚”とは、官僚主導の政治を
国民が主役の政治に変えよう、という事です。
どれだけ鳩山首相がリーダーシップを発揮し、エリートである官僚を使って
日本を変えていくのかが、ポイントという事でした。
さてさて、一通りセミナーのまとめをしてみたところで、
野球に話を戻すと、ヤンキース対フィリーズの試合もいよいよ大詰め。
明日にはヤンキースの胴上げが見れるかもしれませんね!
松浦