2010-11-30
先日水泳仲間と一緒にご飯を食べていた時の事。
その中の一人の就職成功談の話に。
彼はテキスタイル業界でずっと仕事をしてきている人物で、半年前に不景気の影響を受けてレイオフに。最近になってやっと就職先が決まり、しかも、自分の第一希望であったテキスタイルのプロダクションの仕事だという、Good News! とても嬉しそうに話をする彼に、おめでとう!と皆で祝福しました。
そんな彼がぽろっと口にした言葉。「まさか自分が中国系の会社に就職するとは思っていなかった。」今回就職が決まった会社はといいますと、勢いのある新しい中国系企業。最近買収した米系企業と中国本社とのパイプ役に彼が抜擢されたとの事でした。新しいオフィス、企業の買収、新部署設立、出張はビジネスクラス、やりがいのある挑戦できる仕事内容、などなど、条件面も良く、彼にとってもキャリアップへと繋がる良い話です。中国に出張した際、アウディーの新車を買っているミッドレベルの会社員が沢山いたそうで、予約待ちは1年なんていう話で、彼も冗談交じりで自分もアウディーを買わなきゃと話していました。
只、嬉しい反面、彼の胸中は複雑。彼はイタリアで育ったというバックグラウンドを持ったベトナム人で、これまでに勤めてきた会社はイタリアの老舗と言われるような会社だったそうです。レイオフになった会社は、とても質の良いイタリアの生地を扱っていて、営業マンの彼は自信を持って販売していました。ところがこの不景気で、いくら質が良くても値段の高い商品から顧客は遠ざかり、最終的に会社は倒産。ファミリービジネスで長年やってきた社長は昔ながらの経営方針を変えず、今の市場に合ったやり方に変える事を拒み続けたそうです。その場に一緒にいたアーティストは、良いものを作り続けるには「Stubborn・頑固」でいる事が大切だと言いました。Stubbornでいながら、ビジネスを続けていくって難しいですね。
きっと日系企業の中にも同じような苦労をしている会社があると思います。技術や質だけでは通用しません。少し前の日経新聞にこんな一文がありました。「日本の誇る先進技術が世界市場を急拡大させているのに、産業力に十分に生かせていない現実。技術でも市場でも勝つ為の標準戦略とは。目の前の技術を磨くだけでは足りない。その技術で世界市場を動かす大きな絵を描く必要がある。」
奥村真知子