2011-04-11
今朝起きてiPhoneをチェックしたところ、CNNの特報で
日本の東北沖で震度6強の地震があったと報道されていました。
一部ではその影響で停電にもなったようです。
今でも強い余震、原発の不安にさらされている方が多く、
1日も早く復旧・復興に向かえることを祈るばかりです。
さて、先週、ようやく「Inside Job」を観る事ができました。
Netflixではかなりの人気で、しばらく待っていたのですが、
今年のアカデミー賞のドキュメンタリー部門で受賞した作品で、
2008年9月のリーマンショックを機に世界を巻き込んだ
ファイナンシャル・クライシスがいかに起きたかを説明している
ドキュメンタリー映画です。
本当に良く出来ている面白い作品で、鑑賞後は、なるほど~!!!と
大きく納得し、映画を見た友人を捕まえては、
「どう思った??」と感想を聞き、ディスカッションをしていたのでした。笑
一般的にドキュメンタリー映画は製作者の視点が大きく入るものなので、
必ずしも内容を全て鵜呑みにするのは良くないと思います。
ただこの作品は、今までは断片的にしか説明されていない複雑なクライシスの
仕組みを非常に分かりやすく客観的に説明しており、政治家、経済学者、
そしてジャーナリストなど、主要な人物のインタビューが
効果的に挿入されていました。
本来分権をしていて、お互いがチェック機構になっているはずのものが、
働かなくなってしまった、要はシステムの崩壊が主な要因ですが、
その崩壊をもたらしたのは、間違いなく人。
裏にはアメリカの悪い面でのキャピタリズムである
拝金主義があるのではないでしょうか。
そして、世界を巻き込んだ不況に陥ったにも関わらず、
米国政府やメディアからは総体的な説明はなく、
金融業界のエグゼクティブが追及されることが無いのが
どうも不思議だったのですが、答えは映画の中にありました。
中でも特に興味深かったのは、金融機関のエグゼクティブには
有名大学の教授が名前を連ねている場合が多い、という事でした。
例えば、ハーバード大学のエコノミストであった人物は、
米国政府の経済アドバイザーであり、さらにはAIGのディレクターで
あると同時にJ.P. Morganのボードメンバーでもあったそうです。
そして、現在コロンビア大学ビジネススクールのディーンである人物は、
金融機関のコンサルタントとしてレポートを書いたり、
講演会を行う事が、収入のかなりの部分を占めると紹介されていました。
(しかもこの方のインタビューも収められていました!)
現在のアメリカの主な産業はAppleやGoogle、Facebookといった、
少数精鋭の企業が多く、大学レベルで身につける特殊スキルがある事が必須。
一方製造メーカーなどはオフショア化され、米国内の工場から、
海外の労働力が安い市場に仕事が流れていっています。
政府や州にお金が無いと公立の大学は経営が難しく、
授業料を上げずにはいられない。
一方教育が無いと仕事が無いものの、資金が無いと大学に行けないため、
裕福層は更に裕福に、貧困層はさらに貧しくなっていく仕組みが
出来上がってきているという事でした。
しかもブッシュ政権は、裕福層に対して優遇策を設けていたため、
それに拍車をかけたのは間違いないのでは、と思います。
ところで、この映画のナレーターはマット・デイモンです。
「Che」という映画には、スペイン人役として一瞬出ていたのを
見つけた際には驚きましたが、マット・デイモンの良い映画を
かぎ分ける嗅覚はさすがです!
(私が単にそういった類の映画が好きなだけかもしれませんが。。)
松浦