2011-05-19
本日、とある日系企業のトップの方が参加するセミナーに、
紛れ込んできました。
講師は中国動向に詳しい中国人の経済学者の方で、
議題は「岐路に立つ中国-2012年に向けた動向」。
傍から見ていると、急成長を遂げ、経済大国の仲間入りを
果たしたように見える中国ですが、崩壊しかねない問題を内包しているようです。
現在は二つの中国が存在しており、「ライジング・スター、自信過剰、
豊かな国家」がある一方、「クライシス、崩壊、民間の貧困」が
問題ということでした。
内的要員は経済危機がもたらしたpower of balanceの変化、
そして外的要因は中国を取り巻く外的環境の変化が、
結果として中国のアイデンティティーの崩壊に繋がっているそうです。
例えば、20年前はアメリカは中国にとって“月”の様な存在でしたが、
今はアメリカは中国に米国国債を買って欲しいとお願いする立場です。
中国はあまりにも急な成長を遂げてしまったため、
積み上げられた自信が無いことが、全ての行動の裏に有りそうです。
そんな不安定な中国国内では、毛沢東時代と同じ政策を取る政治家が
出て来ているそうです。
中国では毛沢東の行った“悪”をきちんと清算していない為、
昔を知らない若い層には、良い所だけが伝えられ、
今でも肯定的に受け取られているそうです。
そして、国や国営企業が潤う中で、貧困層や民間企業は貧しくなっていく為、
そういった国民の反感感情に毛沢東の思想を活用して誘導。
反対派には法律に則らない方法で、徹底的な排除をしているということでした。
反対派の政治家や、アンチムーブメントを起こした芸術家が、
ある日突然姿を消すそうです。。。
この時代に、そんなことがありえるの?!とビックリしてしまいます。
投資と外需に依存する経済の中では雇用の成長も止まりつつあるようです。
そして「官」が成長の最大受益セクターで有り、
民間企業は益々弱くなっているとの事でした。
そして土地は中国の勢力の源泉であるため、地上げに関する
問題が耐えなず、社会不安の原因でもあるそうです。
今後中国の向かう行方が気になるところですが、
この経済学者の方は、収拾がつかない情勢に陥ってきている為、
現在の状況が乗り越えられず、結果、政治改革は遂行され、
近い将来民主国家にならざるを得ないのではないか、と仰っていました。
ただし、最悪のシナリオは毛沢東時代の回帰で、
中国の崩壊の可能性もあり、との事です。。。
ニューヨークにいらっしゃるビジネスパーソンの方が、
“ルールが有りそうで無い中国よりも、制度が整っている米国の方が、
ビジネスはしやすいんですけれどね”と仰っていたのを思い出しましたが、
“想定外でした”とならないよう、今後は中国に進出していらっしゃる
日系企業は、これから来る可能性のある大きな動きに、
何らかの対策を打っておく必要が有りそうです。
松浦