2011-10-18
先日「Pre-marital Counseling」というものを受けてきました。
結婚目前のカップルが、教会の牧師さんからカウンセリングを受ける事をそう言うのだそうです。いったいどんな事を聞かれるのだろう、とドキドキしながら教会へ。日が沈みかけた夕方遅い時間の教会は人が少なく、静寂で厳かな雰囲気。そんな雰囲気が、ますます私を緊張させました。
いよいよ牧師さんとの初対面です。
「ハロ〜!」と明るい声で現れたのは、想像とは違って、とてもフレンドリーで素敵な女性の牧師さん。親切にボトルのお水までくれて、単純ですが、私の緊張は一気に消えました。
カウンセリングは約1時間。その内容はというと、簡単な自己紹介、二人のなれそめといった一般的な質問から始まり、自分のアイデンティティーについて、生まれも育った環境も言語も違うカップルである事の良い部分、苦労した点、お互いの良いところや、理解できないところ、そして問題にぶつかった時にどのように対処しているか、など。
この人と生涯一緒にいたい、家族になりたい、といった主観的感情が根本にあるからこそ結婚をするというケースが殆どだと思いますが、人の感情は変わるものです。牧師さんはそんな事はストレートには言わなかったものの、このカウンセリングを通して、カップルに客観的に相手の本質や価値観を再度見つめなおさせ、末永く夫婦でいる秘訣を教えてくれ、助言者のような存在だと感じました。改めて言葉に出す自分もそうですし、相手の考えを改めて確かめる事のできる、とても良い機会だったと思います。また、結婚式まであと数日と秒読みが始まり、準備が大詰めでかなり焦っていた私たちでしたので、ゆっくりと流れる時間を過ごせ、リラックスする事ができたのもとても良かったです。そして、カウンセリングの最後には全員で深呼吸と黙祷を。穏やかな気持ちになった二人がそこにいたのが、お互いの表情を見てすぐに分かりました。
もちろん、カウンセリングの中には、結婚式当日の打ち合わせも含まれています。教会にもよると思いますが、私たちが選んだ教会はフレキシブルな方らしく、カップルのオリジナリティーを式の中に入れ込む事が出来るのだそうです。例えば、ユダヤ人とクリスチャンの結婚式では、クリスチャンの教会での挙式にも関わらず、誓約の一部をヘブライ語に変えて読んだり、アフリカ系アメリカ人の結婚式では、誓約の後退場する際に、ほうきの上を飛び越えたりなど。Jumping the broomと言うそうで、もともとはイギリスやスコットランドのジプシー達の結婚の儀式なのだそうですが、アメリカでも、昔、アフリカ系アメリカ人が奴隷で、奴隷の結婚が許されていなかった時代に、ほうきの上を跳び越えることを婚礼の儀式として実践していたとか。その習慣が根付いていて、アフリカ系の人達は今でも結婚式の時にほうきの上をジャンプするのだそうです。自分の母親から受け継ぐほうきもあれば、お金をかけて飾り立てたゴージャスなほうきもあるのだとか。
そんな話をしていたらあっという間に1時間が過ぎ、私たちのカウンセリングは無事に終了しました。終わってふと気づいたのが、他の人の部屋は電気がついていたのにも関わらず、私たちが通された牧師さんの部屋は電気が消されていたこと。わざと??夕焼けの光が差し込む厳かな雰囲気の部屋で、ゆっくりと、そして言葉を選びながら語りかける牧師さん。雰囲気作りから口調から、プロフェッショナルさを感じました。
結婚前に限らず、こういったカウンセリングは誰にでも良い効果があるような気がします。ちなみに教会のウェブサイトを見たら、色々なタイプのカウンセリングの案内がありました。機会があれば是非受けてみてはどうでしょうか。
奥村