2012-01-17
最近、John AdamsというHBOが放映したシリーズものをネットフリックスで観ました。ご存知のとおりJohn Adamsはアメリカ建国に大きな功労をなした人物で初代の副大統領、2代目の大統領ですが、スーパースター的に扱われていないヒーローです。もともと弁護士で非常に弁が立ち博学で信念を持った人物でしたが社交べたで敵も多く、政治家として苦難の道を歩んだ人だったようです。背も低く小太りな容姿も災いだったのでしょう。ともにアメリカを独立に導いた初代大統領のワシントンのような大きな存在感や、独立宣言を執筆し、ジョン・アダムスの後に3代目の大統領になったジェファーソンのような華やかさやしなやかさを持ち合わせていなかったことも苦労に拍車をかける原因だったかもしれません。
オバマ大統領が大統領に就任してから早4年目。今年は大統領選挙の年です。ウォールストリートの引き起こした世界的な未曾有の不況を抱えて初めてのアフリカ系アメリカ人の大統領として就任してからというもの、オバマ大統領の苦労は後を絶たず、何よりも何をしようとしても心強い見方がいないように見えてなりません。政治という権力争いの世界で根強い人種偏見とも戦い続けなければならないオバマ大統領は大変だなぁ、と思ってきましたが、このJohn AdamsというテレビシリーズでJohn Adamsの政治家としての人生を知ることで、なぁ~んだ、オバマさんの苦労は黒人としての苦労なのではなく、政治家としての苦労なんだと思うに至りました。
オバマ大統領は背も高く、スーツも上手に着こなし、頭もよくクールなイメージのある人物ですから、ずんぐりむっくりの感情の起伏の激しいJohn Adamsとは印象はかなりことなるものの、この二人、随分重複するところがあるように思います。
まず、二人とももともと弁護士。弁が立つ。民衆を感動させ民衆に希望を持たせる力をもった演説をすることができる。
自分にも他人にも厳しく遺憾の意を感情的に表明することも厭わないが、我慢強い。無駄な戦争に参加して国力を低下させることを良しとしない。
社交べた。素晴らしい演説で民衆の心を奮い立たせることができるにもかかわらず、誤解も受けやすい。
大きな政府、UNITED States of Americaであることがアメリカの利益になると信じている。
そして何よりも、妻の存在感。John Adamsは妻Abigailを心から愛し信頼し妻として、親友として、またアドバイザーとして、彼女を求め続けたこと。
John Adamsはアメリカを独立にともに導き深い友情を築いたThomas Jeffersonと政治観の違いから仲違いをし、その仲違いが発端で民主党と共和党が生まれたようなもののようですが、晩年、政界から引退しマサチューセッツで農場を営むAdamsは妻に先立たれたことをきっかけにJeffersonに手紙を送ります。そして二人の友情がまた息を吹き返しマサチューセッツとバージニアの間で文通が始まりますが、この二人はなんと独立宣言から半世紀後の独立記念日にともに逝去。Thomas Jeffersonの方がJohn Adamsよりも数時間先に旅立ったようですが、そのことを知らなかったJohn Adamsは死を前にして"Thomas Jefferson survives"と言ったとか。ある意味、この二人はソウルメートだったのかもしれません。
オバマ大統領に"Thomas Jefferson"は存在するのでしょうか。John Adamsのように一期だけの大統領で終わってもらいたくないと私は願っています。
歴史を知ることは現在を知ることですね。歴史は繰り返すもの、つまり人間は根本的には進化をしない生き物なのでしょうか。
今年の大統領選挙。4年前の感動をまたオバマさんが人々の胸に呼び起こすことができるのでしょうか。オバマさんとまた一緒に頑張っていきたい、と思うマジョリティーグループが生まれるのでしょうか。
John Adams、是非ご興味のある方は観てみてください!
((大矢))