2012-09-11
最近、宇宙ごみが問題になっているとの記事を読みましたが、
地上の問題が、上空でもと驚きご紹介させていただきたいと
思います。
大きな問題となっているのは、人工衛星や有人宇宙船などが
増大する宇宙ごみとの衝突の危険にさらされている、というものでした。
宇宙ごみ(スペースデブリ:Space Debris)とは、耐用年数をすぎて
機能を停止したり、事故や故障により制御不能となった人工衛星や、
衛星の打ち上げによって使用されたロケットの本体やその部品、
多段ロケットの切り離しなどによって生じた破片、宇宙ごみ同士の
衝突によって生まれた微細デブリとのことですが、そのほか宇宙飛行士が
落とした手袋や工具、部品なども含まれるそうです。
その多くは、大気圏に再突入して燃え尽きるそうですが、それでもなお
現在わかっているだけでも9000個、1mm 以下の微細デブリも含めると、
数百万とも数千万個ともいわれるとのこと。
それでは、大気圏に落ちてくるのを待ってもよさそうですが、
スペースデブリの高度が高くなるほど軌道に残る年数が長くなるとのことで、
高度600km以下にあるスペースデブリで、地球に落ちてくるまで数年、
高度800kmで10年単位、高度1000km以上では、100年は地球軌道を
周回しているとのことで、なんとも先の長い話です。
約10cm以上の大きさのものは、北アメリカ航空宇宙防衛司令部 (NORAD)の
宇宙監視ネットワーク(Space Surveillance Net work: SSN)や、
ロシアの宇宙監視システム (Space Surveillance System: SSS)などが、
カタログ登録をして常時監視がおこなわれ、人工衛星などと衝突しそうな
ときは、衛星の軌道を変更するなどで、問題を回避しています。
日本でも美星スペースガードセンター (BSGC)と、上斎原スペースガード
センター (KSGC)にて監視が行われているそうです。
スペースデブリは高速で軌道を移動しているとのことですが、地表から
300-450kmの低軌道では秒速で7-8 km/s, 36,000kmの静止軌道では
秒速3km/sと非常に高速になります。そのため10mmほどのデブリと
衝突するのは大砲で撃たれるのと同じこと。10cmもの大きさのデブリと
衝突したら人工衛星は完全に破壊されてしまうことになります。
20年前までは、スペースデブリのことがすでにわかっていても、
”宇宙は広い“との認識で、問題にならなかったとのことですが、
ここ10年の間、衛星などを打ち上げる機会や、国も増えたため、一気に
問題が加速したようです。
地上の環境問題と一緒で、宇宙先進国はスペースデブリの取り締まりを
強化しようとしていますが、途上国などとの折り合いがなかなかつかない
ようです。機能が停止した後に衝突しない軌道に移動させるなどの案も、
衛星に余分な燃料を載せなければならないという資金面の問題や、
すでにある多くのデブリは宇宙先進国が出したもので、その先進国が
デブリ対策に対応すべきなどの意見もあり、問題解決には至って
いないようです。
問題解決の一案として、小さなデブリはレーザーで溶かすなども
あるそうですが、こんな話を聞くと一気に“スタートレック”のような
世界を想像してしまいます。
キャプテンカークやミスタースポックが巨大なスペースデブリとの衝突の
危機にさらされるが、危機を乗り越え。。。
宇宙というと、ロマンが広がる空間のように思われますが、見上げる夜空に
たくさんのごみが含まれているとは。いずれ宇宙への旅行が普通になったり、
スペースコロニーで過ごすようになっても、窓からみえる景色がデブリとは
悲しくなります。
今年2012年にJAXAの堀川康氏が国連宇宙空間平和利用委員会の議長に
就任されたとのことですので、この問題に高度な日本の技術が生かされる
ようなことになればよいなと思います。
スペースデブリを人間が作った以上、問題の解決へ決定打がないまま宇宙へ
出る機会が増えれば、さらに問題は加速してしまいます。その前に解決策が
実施されるように願うばかりです。
神長