2012-11-20
先日読んだ新聞記事ですが、大手の学習塾が塾の数を増やしているそうです。
受験合格の指導だけでなく、英検の指導をする塾などもあり、
比較的年収の高い家庭の子どもをターゲットとし、合格率をあげる
計画だそうです。
学習塾大手のひとつ、リソー教育は1-9歳の子供の保育と小中学校の
受験指導をあわせたサービスを始めたそうです。
最大で、午前8時から午後8時まで預かり、小中学校の受験指導と共に、食事や
送迎も提供するというもので、年間授業料は200万円。
果たしてこの金額は、高いのか、それとも納得の金額なのか。
サービスを始めた4教室は既に定員(120人)に達し、今後は年6-8ヶ所づつ
増やし、5年以内に30教室にする予定とか。
日本で“塾”が始まったのは平安時代からで、学者や知識人が自分の自宅で
個人的に教えたのが、塾の始まりのようです。
江戸時代末期には儒学、医学、兵学、蘭学などを学者が自宅で生徒を集めて
教えたものは私塾とよばれ、後に大学などに発展した塾もあります。
昭和40年代より急激に塾は数を増やし、その目的を補習のためだけでなく、
有名幼稚園・小中学校の“お受験”や難関校進学のための指導など、学校教育と
並列する形で存在するようになりました。
学習塾はなんと“サービス業”。利潤を第一に運営される一業種とされ、
経済産業省の所管となっています。教育もビジネスですね。
文部科学省による平成22年度の子ども学習費調査によると、学校外での
補助学習費(学習塾費、家庭教師費など)は公立小学校の児童一人当たり、
年間8万6千円、公立中学校の生徒一人当たり、年間23万円が家計から
支出されているとのこと。
しかしながら、世帯の経済状況が教育費にどれだけ支出できるかを
左右しており、教育機会は子ども本人の希望とは別の理由で
不平等になることをこの調査は示唆しています。
世帯収入別で学習塾や家庭教師費の支出を見た平成22年度の調査では、
年収400万円未満の家庭の小学生の年間一人当たりの支出は5万7千円、
1000万円以上の場合は21万5千円。中学生の場合は、年収400万円未満の
家庭で、19万4千円、1000万円以上の家庭で31万4千円と、差は
大きくなっています。
ただ人口規模が大きく、学習塾などの数が多いなどの環境の場合は、学習塾に
かける支出が増える傾向にあるようです。
家計に占める学習塾への支出が増える傾向にあるものの、長引く不況で
年収が減り、その負担はかなりなもの。最近は祖父母が授業料を支援する
ケースも増えていると聞きます。
ニューヨークのような大都会に住んでいると、親の年収により子どもの
教育の質が左右されると感じることがよくあります。確かに日本と違い、
優秀な子どもを選抜して、教育環境のよい私立への入学などの機会を
提供してくれるなどのシステムがありますが、それも結局は教育環境は
お金次第(極論かもしれませんが)との表れなのではないでしょうか。
先の塾への支出の話で、祖父母が授業料を負担するケースをご紹介
しましたが、学習塾によっては、株主に対して一定の株数を保有している
場合は授業料の割引などを実施しており、孫の通う学習塾の株を買うなど
投資目的を満足させるプログラムもあるそうです。
教育はまさしく投資。年収の高い親はやはり高学歴で、教育という投資に
対しての対価の価値を知っており、そのため子供にも同様に投資を
させるため、早くから有名幼稚園、小学校に入れるためお受験をさせ、
その準備のための塾などへの支出が多いという図式になっているのでしょうか。
“子どもの将来のため”を願う親の心をくすぐり、ビジネスの拡大を続ける塾。
当の子どもたちにそんな親心の理解をもとめることはむずかしいでしょう。
それでもみんながんばって色々な勉強をしてほしいなと思います。
世界の中で存在感が薄れている日本を盛り返してほしいですね。
神長