Punctureという ちょっと暗めでオモーイ洋画を昨夜、観ました。
同作は敏腕弁護士でありながら薬物中毒者である主人公がパートナーとともに、汚染注射針による感染した一人の看護婦の事件にかかわったことで、背後で操る政府の陰謀に気付き、医療業界の腐敗を暴いていくという実話を基にした映画で、どちらかといったらジョン・グリシャムの『原告側弁護人』を原作に、巨匠フランシス・フォード・コッポラが映画化した法廷ドラマ、The Rainmakerやアメリカのタバコ産業の不正を告発したTVプロデューサーと元重役を描いた社会派ドラマ、The Insiderっぽい流れのものでした。
この映画の影響もあり、米医療業界の実態を知りたくなり、少しリサーチしてみたら、かなりえげつない話が続々出てきました。中でも医療共同購買組織(Group Purchasing Organization:GPO)が仕掛けたスキームには呆れてものが言えません。
医薬品や医療材料コストの引き下げに大きく貢献していると知られているGPOですが、実際は、同組織による大手医療メーカーや病院とのキックバックが原因で年次の医療費負担は毎年、膨らんでいるそうです。英調査会社、ナビガントコンサルタントが2010年に発表したレポートによると、キックバックで膨張されたその年のコストは、375億ドルといわれています。そのため私たち、納税者が 政府の医療介護オプション(メディケアとメディケイド等)で負担した額は173億ドルにも及んでいるとのことです。高い値段で医療品が売れば売れるほど、GPOは多くの収入を稼ぐことができますが、その分メディケアとメディケイドの費用も上昇し、結果、私たちに付けが回って来るということになります。
またPay-to-Playと呼ばれるGPOが仕組んだスキームでは、医者や看護婦ではなく、病院の購入代理部門が同組織を通じて医薬品や医療機器などを選び認定するため、資金力のある大手医療メーカーが商品の物流を完全独占してしまうそうです。そのため安全注射器、ペースメーカーや癌の処方箋といった、患者および従業員にとってより安全でより費用効果が大きい商品が、たとえ紹介されたとしても、病院や他の医療機関の利益効果がなければ使用されることは殆ど有り得ないのが現実です。つまりGPOが重視しているのは商品の品質よりもキックバックのサイズということになります。
例えビジネスとはいえ、GPOが取っている行動は度が過ぎると個人的に思っています。
(M.A)