2013-02-05
2013年2月1日、Grand Central Terminalは100歳の誕生日を迎えました。
すでにご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、今回はGrand Central Terminalについてご紹介したいと思います。
Grand Central Station (グランドセントラル駅) または、短く
Grand Centralとして呼ばれることが多いですが、正式名称は
現在の建物ができた1913年よりずっとGrand Central Terminal
となっています。
トラックはすべて地下にあり、Upper levelに41、lower levelに26、
合計66トラックがあります。Grand Centralは主に通勤列車の乗り入れ駅
として機能していますが、Hudson, Harlem, New Havenの3ラインが
あります。一日にあわせて750,000人もの人が列車の利用や(1日に600もの
出発スケジュールがあるそうです。)、構内にあるお店での買い物、
食事に訪れているそうです。構内にあるお店は主に、個人商店や
スモールフランチャイズですが、例外はStarbucks, Rite Aid,
Apple store。今後、Shake Shackがオープンする予定とか。
1998年に終了した12年にも及んだ大規模な改修の際には、天井の清掃も
行われました。当初その汚れは何十年にもわたるcoalやdieselの煙に
よるものと思われていましたが、実際にはタールやニコチンなどタバコの
煙によるものだったそうです。いかに汚れていたかは、Michael Jordan Steakhouseの上の天井に残されているそうです。
改修時にきれいになったアーチ型の天井には、天球に模して描かれている
星座を見ることができます。しかしながら、通常私たちが見上げる空の
星座の位置とは逆となっています。これは神が外から天球を眺めている
という視線で書かれているためだそうです。
その天球のうお座の真ん中右上に小さな黒い点を見ることができます。
これは1957年にソビエトが打ち上げたスプートニクへの脅威と対抗して、
Grand Central にAmerican Redstone ミサイルを展示した際に
(今では考えられませんが。)、ミサイルを持ち上げるためどうしても
天井に穴を開ける必要があったため、あけられたそうです。それ以降、
Grand Centralが様々に利用されたとの証拠として残すため、
この穴は改修時にも修復されることなく、そのまま残されています。
East 側の階段は補修の際に、オリジナルのものと同じテネシーの
石切り場から石を持ってきているそうですが、新しい石には設置された
月日が記されており、オリジナルで設置されたものと区別できるように
なっているとのことで、歴史へのこだわりを感じます。
待ち合わせ場所としてよく使われる構内の真ん中にあるインフォメーション
ブースの上にある4面の時計塔は、Terminalの象徴となっています。
時計の表面はオパールグラスでできており、サザビーズやクリスティーは
10~20億ドルもの価値があると見ています。
42丁目の正面入り口の建物の上には、Minerva, Hercules, Mercury の
3神が、wisdom, strength, travelの象徴として、世界でもっとも大きい
Tiffanyの時計を取り囲んでいて、駅を行きかう人々を見守っています。
Grand Centralに向かうとき、この彫像を見ることは多いのですが、
いつ眺めてもその美しさに心揺さぶられるものがあります。
今のGrand Central Terminalを見ると、順調に歴史を歩んできたかのように
見えますが、存続の危機に立たされ、ひとつ間違えればすべてが変わって
しまったであろう時期がありました。1947年には米国の人口の40%に当たる
65億人もの人がGrand Centralを利用したそうですが、ハイウエーの整備や、
飛行機の登場により次第に列車の利用客が減り始めました。1954年に既存の
建物を壊して建て直す案が出ましたが、結局1958年にTerminal の北側に
あった6階建てのオフィスビルディングを建て直すことに決まり、1963年に
Pan Am ビルディングが出来上がりました。その間も列車の利用客は減り
続けます。1968年に再びTerminalの高層計画が立てられましたが、
Grand Central Terminal の保存を強く願うジャクリーン・ケネディーを
はじめとする大きな反対運動が起こり、New York City はGrand Central Terminalを “land mark”として指定して保存するとしました。この決定に、Terminalを所有するPenn Central Transportationが不服としてこの
争いは最高裁まで持ちこまれました。結局NYCの決定は覆ることがなく、
Terminalは守られることとなります。
しかしながら、建物を守る運動やNYCの決定がなかったら、この美しい建物を
私たちが見ることはできなかった訳で、建物を守るために立ち上がった人たちに
感謝しなければなりません。Grand Central Terminalの高層計画が発表
された時点で、かつてのPenn Stationはすでに壊されてなくなっていました。
そのためGrand Centralは守ろうという力が強く働いたのかもしれません。
建物の美しさを堪能する以外にも、Terminal 内のレストランのひとつである
Oyster Bar前のホールの“whispering gallery”とよばれる場所もぜひ、
体験してほしい場所です。片側の壁に向かってささやいた言葉が、反対側の
壁で聞こえる不思議な場所です。試したことがありますが、驚きと共にとても
感動しました。
普段足早に通り過ぎることが多いGrand Centralですが、立ち止まって天井を
見上げ、建物の細部に目を移すとなんとも厳かな気分になります。
”教会にいるような。。。”と形容された方がいましたが、特別な気持ちに
なることは確かです。
もっとGrand Central Terminalを知りたい!という方は、金曜日の
12:30PMに無料のツアーがあるそうですので、(詳しくは、www.grandcentralpartnership.org )さらに堪能してください。
神長