高所恐怖症の克服で2年前に始めたスポーツクライミング(クライミング)ですが、今では岩や人工壁に登っていないと気持ちが落ち着かないほど、クライミング依存症になってしまっています。友人や知人には〝ただ登るだけなのに、何故ハマるの?どこが楽しいの?”とよく聞かれます。
まずはクライミングを知らない方へ、このスポーツについて簡単に説明させていただきます。
スポーツクライミングとは、ロッククライミングの一種で、自分の手足のみを使って、岩を登るスポーツです。フリークライミングは、予め岩に設定された課題(ルートもしくはコースと呼ばれる)の完登(地面から終了点まで一度も落ちずに登りきること)が主な目的です。課題は、岩の傾斜と形状、ホールド(登る際に、手で掴んだり足を置く岩の凹凸)の配置と形状により難易度が変わります。
スポーツクライミングには3つのカテゴリーで分類されています。
3種類の中で最もシンプルな登り方といわれているボルダリング(語源であるボルダーとは、大きな岩のこと)は、2〜5m程度の岩をロープなどを一切使わず、自分の体だけで登るものです。岩から降りるには、安全な降り口まで回り込むか、地面まで飛び降りることとなります。ジムなどの人工壁の場合、通常分厚いマットを敷き詰めているので、安全に楽しむことができます。ボルダリングに最低限必要な道具は、クライミングシューズ(柔らかく靴底にゴム素材が張られている特殊な靴であり、このゴムが摩擦により岩に張り付きやすくなるといった機能がある)と手の滑りを抑えるチョーク、それを入れるチョークバッグの3つで手軽にでき、また体全体を使うことからシェイプアップに役立つスポーツということもあり、世界的に人気が出てきています。
次にトップロープクライミングと呼ばれるクライミングは、登る人(クライマー)とクライマーの安全を確保するビレイヤーと呼ばれる人の2人で行うものです。安全確保用のロープを、あらかじめ課題の最上部に設置してある終了点(アンカー)に通して、地面まで両方の末端を垂らし、互いにロープの他端をハーネス(腰に装着する命綱)に接続します。 クライマーが登れば、登った分だけロープがたるみます。そのたるみを取るために、パートナーであるビレイヤーが、反対側からビレイデバイスというテコの原理を活用した特殊な器具でロープを引っ張ります。これによって、万一足を滑らせても、下まで落ちなくてすむわけです。また、途中で疲れても、ロープにぶら下がって、休むこともできるので、初心者でも安心して登ることができます。クライマーが降りる場合は、一度ビレイヤーにロープを張ってもらい、クライマーが壁から手を離し、静止した状態になってから、ビレイヤーがゆっくりとロープを送り出してクライマーを地面まで降ろす仕組みになっています。
最後はリードクライミングと呼ばれるクライミングで、クライマーが、自身に結んだロープを、課題の途中に数箇所ある確保支点(ボルト)に特殊な器具を掛け、ロープを引っ掛けながら(クリップ)登っていくものです。課題によって、確保支点の数、支点同士の間隔が違い、基本的には、アンカーにロープをクリップすることによって完登とみなされます。ビレイヤーは、クライマーが登るたびにロープを送り出し、クライマーが落ちたらロープを引き、落下を止めます。常に支点が上にあり、落下距離がほぼゼロのトップロープクライミングとは異なり、自身がロープをクリップした最後の支点よりも高い位置で落下すると、ロープのたるみ、伸び具合により、落下距離が変わります。クライマーは、単純に登るだけではなく、ロープをクリップする動作が加わること、更に、落下による心理的なプレッシャーを受けるため、より高度な技術と判断力を求められます。降りる際は、トップロープクライミングと同様で、ビレイヤーがゆっくりとロープを送り出してクライマーを地面まで降ろす仕組みになっています。
さてクライミングの一番の魅力というのは、何といっても数式やパズルを解くようなゲーム感覚っぽいということと、達成感を何回も味わえることでしょうね。登りきるためにはスタートからゴールまでどのような手順で登るかを考え、それに合わせて手足を置く場所を決めていき、課題(コース)をクリアしていく感じが、クライミングにハマっていく理由なのでしょう。またこんなに達成感が得られるスポーツも珍しいのではないでしょうか。
クライミングスキルは上達していますが、未だ高いところは苦手です。それなのに登りたくなる気持ちがやめらない自分は本当に重症なのでしょう(苦)。
有保