最近、個人的にとても面白かった本はケリー・マクゴニガル (著)の「スタンフォードの自分を変える教室 :原題名 The Willpower Instinct」です。
なぜ意志力が重要か、その科学的根拠、意志力を鍛える方法などについてマクゴニガル氏が長年の研究を基に書いた作品で、本書は『ニューヨークタイムズ』『タイム』『USAトゥデイ』『ボストングローブ』『USニューズ&ワールドレポート』他、全米主要メディアで軒並み取り上げられ、無数の賞賛を受けた世界的ベストセラーでもあります。
「自己コントロールとは自分自身のさまざまな一面(クセ)を理解できるようになることであり、全く違う人間に生まれ変わることではない」、「しっかりと自己コントロールできる人は、自分と戦ったりしない。自分のなかでせめぎ合うさまざまな自己の存在を受入れ、うまく折り合いをつけている人」というマクゴニガル氏の主張に共感したのをはじめ、なんとか自分の考え方や生き方を変えたい、と思っている私にとって、科学的な理論や実験に基づいて自己をコントロールするという本書の構成は魅力的でした。
本書の中身がかなり濃いので、興味がある方は是非読んでいただきたいと思っておりますが、個人的に一番印象に残った点を少しシェアーさせていただきます!
何か良いことをした後は、「頑張ったから自分へのご褒美!」と思ってしまい、自制心が効かなくなるのは、おそらく皆さんも心あたりがあるとは思います。
例えば、あるファーストフード店の実験で、レジに並んでいる際に、「サラダとか健康的なのがいいなぁ」と思うだけで、なんだか安心してしまい、実際に注文するときは「ハンバーガーとフライドポテト!」と頼んでしまうという事です。詳しい説明は本書にゆずりますが、人は行動を「善い」「悪い」で判断してしまうと、それらを相互に埋め合わせようとして、そのたびに自制心が効かなくなる、という現象に陥りやすいということを本書で説明しています。
また上記のような現象、いわゆる「衝動的な欲求」というもので得られるのは興奮であり、本当の幸福感ではないという実験結果も本書で説明されていて、とても参考になりました。確かに「こっちで決めてしまえ!」と思ってした行動の結果、逆に落ち込むこともあったりとか・・・。
また本書ではたくさんの禁煙プログラムが紹介されていますが、その中で印象的だったのが、被験者に「何本吸ってもいいですが、必ず毎日同じ本数を吸ってください」と伝えると、「今日、もう一本吸ってしまうと明日もその本数だけ吸わなくてはいけないのかぁ・・・じゃあ、止めとくか・・・」という心理が自然と働くという話など・・・、とまだまだ紹介しきれないぐらい興味深い実験や例え話が掲載されていますので、「意志力を鍛えたい!」という方には是非、おすすめの本です!
有保