ニューヨークでは、常に何らかのアート・プロジェクトや
エキジビジョンが行われいてますが、
この夏のアート・エキシビジョンの目玉の1つとして
5月からスタートしたのが コンテンポラリー・アーティスト、
カラ・ウォーカーが クリエイトしたスカルプチャー「Subtlety」。
そんな訳で、7月の上旬に、この展示を見に行ってきました。
場所はウィリアムズバーグにある、イースト・リバーに面した
閉鎖されて久しいドミノ・シュガーの工場です。
さすが知名度が高いエキシビジョンとあって長い列が出来ており、
入場者全員に義務付けられている閲覧に際しての許諾書へのサインして、
待つこと30分。
待ちに待ってファクトリーの中に足を踏み入れたて
まず圧倒されたのが、古い工場の匂いと、
ムッとする砂糖独特の甘い香りでした。
視覚だけでなく、嗅覚まで刺激されます。
天井が高くがらんと広い空間で、遠くにメインの巨大な彫刻が
白く輝いて展示されいるのが見えます。
入り口からそのメインの彫刻にたどり着くまでには、
随所に設置されているのが、血にまみれたような子供の奴隷の彫刻でした。
メインの彫刻は、約11メートル、
長さ23メートルという巨大サイズで、
内側はポリスチレンで出来ているものの、
その外側を覆っているのは真っ白な砂糖。
製作に使われた砂糖の量は、約80トンと言われています。
そもそも、これらの作品自体は、
真っ白な砂糖を 白人層の食卓にもたらすために、
サトウキビ畑で 奴隷として重労働を強いられていた黒人層に
ささげられたものと言われています。
クリエーターであるカラ・ウォーカーは、
「アフリカの強制労働によるダイヤモンド・ビジネスを
”ブラッド・ダイヤモン)” というならば、
この時代の製糖ビジネスは”ブラッド・シュガー”と
呼ばれるべき」として、 あえて子供達の彫刻は、
赤黒く仕上ているそうです。
そのカラ・ウォーカーというアーティストは、
黒人女性初のサクセスフルなビジュアル・アーティストで、
メッセージ性の強い作品で知られています。
奴隷制が過去のものと思いきや、
現代はヒューマン・トラフィッキング、すなわち人身売買の数が
史上最多と言われる状態です。
その一方で、かつては奴隷制と強制労働によって
生み出されていた砂糖は、肥満、糖尿病という形で、
現代の大きな健康問題、社会問題を生み出されています。
そんな社会背景や歴史等の 様々な要素が絡んで、
観る人によって大きく解釈が異なるのがこのスカルプチャー。
インターネット上でも、かなりの論争を巻き起こしているようでした。
ぜひ見に行ってください、と言いたい所ですが、
残念ながらこの展示会は7月中旬を持って終わってしまったのでした。。。
また、次の機会に!
松浦