アメリカのビザ(査証)は、目的や立場によって細かくカテゴリ分けされており、さまざまな種類があります。

旅行だけでなく、移住や現地での就職・転職を考える際に「自分にはどのビザが必要なのか」「現在のビザでできることは何か」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

この記事では、アメリカのビザの種類を一覧で紹介するとともに、現地就労を検討する場合に知っておきたいビザのことを詳しく解説します。

ビザの種類を踏まえた転職の考え方についてもご紹介しますので、アメリカでのキャリア選択を考える際の参考にしてください。

アメリカのビザの種類一覧

アメリカのビザは、「移民ビザ」と「非移民ビザ」の2つに分けられます。

「移民ビザ」は永住を目的とするもので、「非移民ビザ」は特定の目的のための一時的な滞在に必要なものです。

ビザはアルファベットでカテゴリ分けされ、さらに数字やアルファベットで細かく区分されています。

ここでは、主要なビザを一覧で紹介します。

ビザの種類細かい区分主な対象者
A外交官・政府職員
BB-1商用目的の短期訪問者
B-2短期旅行者・治療訪問者
Cアメリカを通過して他国へ行く旅行者
D飛行機や船舶の乗組員
EE-1貿易駐在員
E-2投資駐在員
FF-1語学学校、大学・大学院、現地の中学・高校への留学生
G指定国際機関職員
HH-1B高度な知識・スキルを有する専門職従事者
H-3雇用を主目的としないプログラムの研修生
I情報報道関係者
JJ-1交流訪問者
KK-1アメリカ人の婚約者
K-3アメリカ人の配偶者
LL-1企業内転勤者
M専門学校への留学生
OO-1特定分野の卓越能力者
Pスポーツ選手・芸術家・芸能人
Q国際文化交流者
R宗教活動家

※一部のビザの細かい区分を省略しています。

商用・観光目的の短期滞在には「Bビザ」がありますが、日本国籍者の場合は90日以内の滞在であれば、ビザの取得は免除されます。ただし、渡航前にESTA(電子渡航認証システム)の申請が必要です。

【参考】USTravelDocs「非移民ビザの種類一覧」 外務省「ビザ免除プログラムを利用した米国への渡航」

多くのビザの種類がある中で、以下では「就労ビザ」についてさらに詳しく見ていきます。

アメリカの就労ビザでは、代表的なものとして次の5つが挙げられます。

  • E-1/E-2ビザ(貿易・投資駐在員ビザ)
  • L-1ビザ(企業内転勤者ビザ)
  • H-1Bビザ(特殊技能職ビザ)
  • F-1ビザ(学生ビザ・OPT)
  • J-1ビザ(交流訪問者ビザ)

それぞれのビザの特徴を、以下で詳しく解説します。

E-1/E-2ビザ(貿易・投資駐在員ビザ)

アメリカと通商条約を結んだ国の国籍保有者が申請できるビザです。日本国籍者も対象に含まれます。

「E-1」は米国との継続的な貿易活動を目的に渡米する人、「E-2」は米国で事業投資を行う経営者や、その事業で重要な役割を担う従業員が申請可能です。

なお、申請者が貿易者や投資家本人でない場合、管理職・監督職、もしくは高い専門知識を要する立場として雇用されている必要があります。

どちらのビザも通常2年の期間で発給され、その後2年単位で延長の申請が可能です。

就労ビザでは、移民局に請願書を出し、許可をもらってからビザの申請を進める種類のものがありますが、Eビザは請願書の提出が不要です。

L-1ビザ(企業内転勤者ビザ)

「L-1」は、米国外の企業の社員が、アメリカの親会社や支社などの関連会社に、一時的に転勤する場合のビザです。役員や管理職、専門職向けに発給されます。

申請者は、直近3年間のうち、1年間はアメリカ以外の関連会社で勤務した経験が必要です。

管理職での滞在期間は延長により最長7年間、専門職では最長5年間有効となります。

ビザの申請のためには、雇用主が移民局へ請願し、許可をもらう必要があります。

H-1Bビザ(特殊技能職ビザ)

アメリカで高い専門性が求められる職種に就く人向けのビザです。

職種は具体的には、会計士、エンジニア、建築家、弁護士などが該当します。

専門職に直接関連する分野の学士号以上の学位か州のライセンス、またはそれに相当する学歴や職務経験があることが申請条件とされます。

ビザの期間は最大6年間。最初に3年の滞在が認められ、その後最長3年の延長申請が可能です。

年度ごとに発給枠の制限(一般枠65,000件、米国の修士号以上取得者対象の特別枠20,000件)があり、申請者が多い場合は抽選が行われます。

2025年9月のルール変更により、対象条件に該当する新規申請では、雇用主に10万ドルの支払いが義務づけられました。ただし、このルールは今後変更される可能性があるため、申請前には必ず最新情報を確認してください。

申請プロセスの厳格化が進み、年々取得のハードルが上がっているビザです。スポンサーとなってくれる企業をうまく見つける必要があります。

F-1ビザ(学生ビザ・OPT))

F-1ビザは学生ビザのことを指します。原則就労不可ですが、一定の条件を満たすことで、キャンパス内でのアルバイトが可能です。

就労に関する最大の特徴は、学士号以上を取得した場合に、OPT(Optional Practical Training)の申請が可能なことです。

OPTを利用すると、最長12カ月の間、現地で無給・有給のインターンシップや就職活動が可能となります。専攻がSTEM(科学・技術・工学・数学)分野であれば、期間を最長24カ月延長することも可能です。

OPT期間中に就く仕事は、大学での専攻分野と一致している必要があります。

インターン先で実績が認められて採用となり、H-1Bビザにステータスの切り替えができれば、現地での就労を続けることも可能です。

J-1ビザ(交流訪問者ビザ)

国務省が認めるプログラムでの実務研修を目的に滞在するためのビザです。

大学生や新卒者、社会人が対象となり、研修内容に関連する学位(学習経験)や業務経験が必要です。

滞在可能期間はプログラムにより異なります。目安として、大学生・新卒者向けのインターンプログラムは最長12カ月、社会人向けのトレイニープログラムは最長18カ月です。

就労可能なビザとして紹介していますが、職務目的の就労ビザとは性質が異なります。あくまで研修が目的のため、期間終了後には帰国が前提です。

現地でのキャリア形成というよりも、海外での就労経験を得て、日本でのキャリアに生かしたいという人向けです。

アメリカの配偶者ビザの種類と永住権

先に紹介した就労ビザ以外にも、配偶者ビザや永住権で就労が可能です。

以下では、それぞれについて詳しく解説します。

配偶者ビザ

アメリカ国籍者と結婚し、アメリカに住む場合には、「移民ビザ」に分類される「IR-1」と「CR-1」の申請が可能です。

それぞれのビザの対象と就労に関する情報をまとめると、以下のようになります。

移民ビザ対象就労に関する詳細
IR-1結婚歴が2年以上入国時点で10年間の永住権を得られ、入国後すぐに就労可能
CR-1結婚歴が2年未満入国時点で2年間の条件付き永住権を得られ、入国後すぐに就労可能

IR-1やCR-1といった移民ビザの審査には時間がかかります。そのため、配偶者は「K-3ビザ」を取得し、米国に滞在しながら永住権の審査結果を待つこともできます。

K-3ビザの場合、就労が認められますが、証明のためには就労許可証(EAD)の申請が必要です。

なお、先に紹介した「E-1」「E-2」「L-1」の配偶者と未婚の子ども(21歳未満)は、同行家族向けのビザを取得でき、配偶者は就労が可能です。

「H-1B」の同行家族も条件を満たせばビザ(H-4)の申請が可能ですが、一部条件を満たす場合を除き、原則就労不可とされています。

永住権(グリーンカード)

永住権があれば、アメリカでの無期限滞在と就労が可能になります。

就労に関しては、特定の公職を除き、分野や職種、役職に制限なく仕事の選択が可能です。

永住権を取得するには、アメリカ国籍者との結婚のほかに、一定額以上の投資や毎年行われる抽選での当選といった方法があります。

いずれの場合も取得には厳しい審査や細かな条件があります。

ビザの種類を踏まえた転職プランの立て方は?

アメリカで転職を考える際は、次の3つのステップを意識して転職プランを立てましょう。

  • ビザごとの就労・転職ルールを理解する
  • 自分の選択肢を整理する
  • プロのサポートも検討する

以下で、それぞれ詳しく解説します。

ビザごとの就労・転職ルールを理解する

キャリアプランを考える上では、まずビザごとの就労・転職ルールを正しく理解しておく必要があります。

ビザの種類によって、従事できる職種、転職で必要になる手続き、離職後の猶予期間(Grace Period)の扱いなどが異なります。

例えば、H-1Bビザであれば、従事できる仕事は、高度な専門分野を扱うものでなければなりません。

また、H-1Bビザの場合、条件を満たしていれば、転職で雇用主が変わっても、一からビザを取り直す必要はなく、新しい雇用主への変更申請が可能です。

ビザごとの決まりを知らないまま進めてしまうと、後から選択肢が制限されることもあるため、早い段階での理解が欠かせません。

自分の選択肢を整理する

ビザごとのルールを理解したら、次は自分の現在のビザステータスを前提に、どの選択肢が現実的かを整理します。

具体的には、次のような点を確認してみましょう。

  • 転職する場合、どのようなビザ手続きが必要になるか
  • 転職時にアメリカ国内で手続きが完結するか
  • 離職の際に利用できる猶予期間があるか
  • 将来的に永住権申請につながる選択肢があるか

うまく整理ができると「応募できそうに見えるだけの求人」と「応募が現実的な求人」を切り分けて見られるようになります。

プロのサポートも検討する

独力で転職プランを立て、準備を進めていくことも可能ですが、より効率的に進めるなら、プロのサポートを受けることも検討しましょう。

特に転職の場合は、ビザの面だけでなく、転職市場の動向や自分のスキルと求人のマッチング具合など、考慮すべきポイントが多くあります。

転職に詳しいプロの力を借りれば、客観的な視点を持ちながら、アメリカでの転職活動を有利に進めやすくなります。

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まとめ

アメリカでのキャリアを考える上では、ビザの情報を単なる知識とせず、自分のステータスや将来の方向性と照らし合わせて考えることが大切です。

就労ビザにはいくつかの種類があり、転職の可否や雇用主変更に伴う必要な手続きなど、ビザごとに適用されるルールが異なります。

そのため、早い段階でルールを理解し、自分にとって現実的な選択肢を整理しておくことが、後悔のないキャリア選択につながります。

不安や迷いがあれば、エージェントへの相談も検討し、判断材料を整理した上で準備を進めましょう。


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