グリーンカードとは、アメリカ永住資格を証明する身分証明書のことです。
正式には「Permanent Resident Card(Form I-551)」といい、米国での無期限の居住と就労が可能なことを証明します。
一般に「グリーンカード」と呼ばれているのは、カードの色がグリーンだったことに由来します。過去には白色だった時期もありましたが、2023年以降は再びグリーンを基調としたデザインに戻りました。
グリーンカードの取得にはいくつかの方法があり、取得方法によって、発給までにかかる期間や費用が異なります。
【参考】米国国土安全保障省「Redesigned Green Card 2023」
グリーンカードと移民ビザの違い

グリーンカードは移民ビザと混同されがちですが、役割や取得可能な場所が異なります。違いをまとめると、以下のようになります。
| 意味・役割 | 取得可能場所 | |
| グリーンカード | 永住権を証明するカード | アメリカ国内 |
| 移民ビザ | 永住を目的にアメリカに入国するためのビザ | アメリカ国外 |
永住権取得に必要な申請は、米国外からも行うことができます。しかし、グリーンカードはアメリカ国内でのみ発行され、米国外から直接取得することはできません。
通常、アメリカ国外に居住している人が、永住を目的にアメリカに行く場合、渡米前に移民ビザ(IR1、CR1、IR2など)を取得します。
取得した移民ビザでアメリカへ渡り、入国が許可された時点で永住者資格が付与された後、登録した米国内の住所にグリーンカードが郵送されます。
つまり、移民ビザはアメリカ入国前に必要なもので、グリーンカードはアメリカ入国後に取得できるものです。
グリーンカード取得のメリット
グリーンカードを取得すると、主に次のようなメリットがあります。
- 米国での無期限滞在が可能になる
- 就労・就学の選択が自由になる
- アメリカの社会保障・公共サービスを受けられる
- 5年以上保持で市民権への申請資格が得られる
一つずつ詳しく見ていきましょう。
米国での無期限滞在が可能になる
グリーンカードを取得すると、アメリカに無期限の居住が可能になります。
カード自体は10年ごとに更新が必要ですが、永住資格そのものに有効期限はありません。そのため、アメリカでの長期的な生活基盤を築くことができます。
出入国も自由となり、アメリカに戻る際に新たなビザの申請も不要です。
就労・就学の選択が自由になる
グリーンカードがあれば、就労や就学の選択肢も広がります。
ビザのためにスポンサー企業を探す必要がないため、特定の雇用主や職種に縛られることなく職業選択が可能です。
転職やキャリアチェンジの可能性が増えるだけでなく、フリーランスとして独立したり、起業したりすることもできます。
就学面では、大学やカレッジに通う場合に、留学生向けの料金ではなく、米国市民と同じ料金(in-state tuition)の適用が受けられることがあります。
学生ビザを取得する場合、フルタイムコースへの登録が必要ですが、永住権を持っていればコース形態に制限はありません。パートタイムや短期コースなど、幅広い選択肢の中から学校やコースを選べます。
居住エリアによっては、奨学金や学費補助の選択肢も広がるでしょう。
アメリカの社会保障・公共サービスを受けられる
グリーンカード保持者は、アメリカの社会保障や公共サービスを受けられます。
学生ビザや就労ビザでの滞在の場合も、社会保障番号を取得し、一部のサービスを受けることは可能です。
それに対して、グリーンカード保持者の場合は、一定の条件を満たせば、年金給付や福祉制度の利用資格も得られるようになります。
5年以上保持で市民権への申請資格が得られる
グリーンカード保持者は、将来的にアメリカ市民権の申請資格を得られます。
原則として、グリーンカードを5年以上(米国市民と結婚している場合は3年以上)保持し、かつ一定期間以上米国内に居住していることが条件です。
米国市民権の取得は、日本国籍を喪失し、アメリカ国籍を取得することを意味します。
グリーンカード保有時の注意事項
グリーンカードを取得できれば多くのメリットがある一方で、留意しておくべき点もあります。
次の3つのポイントから、グリーンカード保有時の注意事項について確認しておきましょう。
- 更新や義務
- アメリカ市民権との違い
- 居住と再入国ルール
居住と再入国ルール
グリーンカード(永住権)はアメリカに永住する資格であり、アメリカ市民権とは異なります。
両者の主な違いをまとめると以下のようになります。
| アメリカ市民権 | 永住権 | |
| 選挙権・被選挙権 | ある | ない |
| アメリカ政府機関関連職や公務員の職に就く | できる | できない |
| 重大な犯罪や不法行為があった場合の強制送還の可能性 | ない | ある |
永住権保持者はアメリカに長期的に居住できるものの、法的には外国籍のままです。アメリカ国籍が条件とされる一部の権利や制度については制限があります。
また、家族を米国へ呼び寄せる際には、アメリカ市民の家族の手続きが優先されるなど、移民制度上の扱いにも差があります。
居住と再入国ルール
グリーンカードは、アメリカに継続的に居住する意思を持つ人を対象とした資格です。そのため、長期間米国外に滞在すると、永住者としての居住の意思がないと判断される可能性があります。
一般に、6か月以上の長期不在は継続居住の判断に影響する可能性があります。特に1年以上米国外に滞在する場合は、再入国許可証(Reentry Permit)の取得が必要になります。
米国外に1年以上滞在する予定がある場合は、事前に移民局に申請し、再入国許可証の取得が必要です。
永住権を維持するためには、単にカードを保有しているだけでなく、実際に米国に居住していることが重要となります。
更新や義務
グリーンカードは10年ごとに更新が必要です。
アメリカ市民の婚約者や投資家として条件付き永住権を取得する場合は、カードの2年の有効期限が切れる前に、条件解除の申請も必要になります。
また、永住権保持者の義務としては、住所変更の届出の義務や納税のほか、セレクティブサービス(選抜徴兵制度)への登録があります。
セレクティブサービス登録は、アメリカ市民および永住者などに義務付けられている制度で、18歳から25歳の男性が対象の兵役登録のことです。入隊を志願するものではなく、有事に備えて情報を提出しておく制度です。
グリーンカード取得のための主な方法5つと費用目安

グリーンカードを取得するには、主に以下の5つの方法があります。
- アメリカ国籍者の家族として申請する
- 永住権保持者の家族として申請する
- 専門スキル・能力保持者として申請する
- アメリカ内での事業への投資者として申請する
- 抽選(DVプログラム)に当選して申請する
それぞれの方法について、申請の条件や費用目安を含めて詳しく解説します。
アメリカ国籍者の家族として申請する
1つ目は、米国市民の家族として申請する方法です。
申請するには、米国市民と一定の親族関係にあることが求められます。主な例は以下のとおりです。
- 米国市民の配偶者(※同性婚の場合の配偶者も含む)
- 米国市民の21歳未満の未婚の子ども
- 21歳以上の米国市民の親
- 21歳以上の米国市民の兄弟・姉妹
申請は、米国市民がビザのスポンサーになることで可能となります。まずは、スポンサーとなる米国市民が請願書を移民局に提出し、承認後に、永住権取得希望者本人が移民ビザの申請をします。
請願書や移民ビザの申請にかかる費用の目安は$1,000〜2,000。そのほかに、健康診断や予防接種で$300〜500程度かかり、併せて弁護士費用などを見ておく必要があります。
米国市民の配偶者や子ども(21歳未満で未婚)のような直系親族向けの移民ビザには、発給件数に制限はありません。
一方で、米国市民の兄弟・姉妹や既婚の子どもなどは、「優先家族」に分類され、移民ビザの発給件数に制限があります。
スポンサーと永住権申請者の関係性によって、審査の優先度や審査にかかる時間が変わり、優先家族の処理には時間がかかる場合があります。
永住権保持者の家族として申請する
スポンサーが米国市民ではなく、永住権保持者である場合もグリーンカードの申請が可能です。
条件として、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 米国永住者の配偶者
- 米国永住者の未婚の子ども
申請の流れは、アメリカ国籍者がスポンサーとなる場合と同じです。ただし、申請処理の優先度はアメリカ国籍者がスポンサーとなる場合に比べて下がるため、審査には長く時間がかかります。
永住権保持者がスポンサーとなって申請する場合には、ビザの発給枠に年度ごとの制限が設けられている点にも注意が必要です。
請願書や移民ビザの申請にかかる費用の目安は、アメリカ国籍者がスポンサーにつく場合と同様、約$1,000〜2,000。そのほかに、健康診断や予防接種の費用のほか、必要に応じて弁護士費用がかかります。
専門スキル・能力保持者として申請する
特別なスキルや才能がある場合、就労移民として申請する方法もあります。
申請枠となるEBプログラムには、以下のようなカテゴリがあり、対象に当てはまることが主な申請条件となります。
| カテゴリ | 主な対象者 |
| EB-1 | 科学・ビジネス・芸術・スポーツなどで並外れた才能を持つ外国人優れた教授・研究者多国籍企業の管理職・幹部役員 |
| EB-2 | 高度な学位を有する専門職従事者 |
| EB-3 | 2年以上の訓練・経験を必要とする分野での熟練労働者、専門家 |
| EB-4 | 宗教従事者 |
スポンサー企業が請願書を提出する以外に、スキルや才能の証明ができれば、本人が自ら請願書を提出することも可能です。
申請書類の提出にかかる費用の目安は、約$1,000〜3,000。
請願書提出の際の一般申請費用は$665(郵送申請の場合は$715)で、企業体に応じて、追加料金として$300〜600が必要です。
さらに、移民ビザの申請の場合は$345、非移民ビザからのステータス変更の場合は$1,440の費用がかかります。
このほかに健康診断や予防接種の費用も加わり、スポンサーがいるのかや、弁護士に依頼するかで、最終的にかかる費用が大きく変わります。
アメリカ内での事業への投資者として申請する
グリーンカード取得のためのプログラムには、投資者として申請できるカテゴリ(EB-5)もあります。
カテゴリの中には、「独立投資家(Standalone Investor)」「地域センター投資家(Regional Center Investor)」の2つのタイプがあります。
2026年2月末時点の投資額を含む諸条件は以下のとおりです。(※投資額は年によって変動することがあります。)
⚫︎独立投資家(Standalone Investor)の申請条件
- 米国の新規商業事業に105万ドル以上を投資
- 投資により10名のフルタイム雇用を直接創出
⚫︎地域センター投資家(Regional Center Investor)の申請条件
- 米国移民局指定の特定地域(田舎の地域、または失業率が高い地域)に80万ドル以上を投資
- 投資により10名のフルタイム雇用を直接または間接的に創出
※地域センター案件では、経済波及効果による間接雇用も算入が認められます。
投資家は、投資資金が合法的に用意されていることを証明することも求められます。
請願書の提出や移民ビザ申請にかかる費用の目安は、約$4,000〜6,000。加えて、健康診断や予防接種の費用や移民弁護士費用などがかかります。
投資家として取得申請する場合、取得できるのは2年間の条件付き永住権です。その後に条件解除の申請が必要になります。
また、この方法の場合、投資家の配偶者と未婚の子ども(21歳以下)も永住権申請が可能です。
抽選(DVプログラム)に当選して申請する
DVプログラムの抽選を通したグリーンカードの申請は、スポンサーがいない場合でも挑戦できる選択肢として注目されているものです。
DVプログラムは、正式にはDiversity Immigrant Visa Program(多様性移民ビザプログラム)。米国への移民数が比較的少ない国の出身者を対象とした制度で、日本国籍者もこの対象です。
年度ごとの発給件数は55,000件。通例、毎年10月頃に抽選の募集期間が設けられ、抽選結果が翌年5月ごろに発表されます。
当選により永住権を取得できるわけではなく、その後の申請手続きを経て、正式にグリーンカードの取得ができるというものです。
プログラム応募者の配偶者や未婚の子ども(21歳未満)も一緒にグリーンカードの応募が可能です。
ビザの申請にかかる費用は$330。これまで応募自体は完全無料でしたが、2025年以降のプログラム(DV-2027)参加では、抽選への応募登録に$1が必要となりました。
このほかに予防接種を含む健康診断や書類取得にかかる費用などを併せて、$1,000〜1,500ほどは見ておく必要があります。
移民弁護士に依頼する場合は、さらに弁護士費用が必要です。
グリーンカード取得をめぐる制度動向|2025年からの動き
ビザ発給の厳格化が進む昨今、グリーンカードの取得については、最新情報をしっかり追っておくことも重要です。
以下で、2025年以降の動きについても確認しておきましょう。
DVプログラム実施スケジュールの遅延
例年10月頃に受付開始となるDVプログラム。しかし、2027年度入国向けのDVプログラム(DV-2027)は、2025年10月を迎えても公式な受付開始発表がありませんでした。
2025年11月頭には、米国国務省が声明を発表し、申請プロセスに変更があることと併せて、登録開始日や当選通知日を確定次第発表するとしています。
プログラム参加に、$1の登録料を導入するといった変更もあり、システムの変更や調整がスケジュール遅延の一因とされています。
2026年2月末時点で、政府から日程に関する追加発表はありません。プログラム参加希望者は、政府の公式発表を待っている状況が続いています。
【参照】Travel.State.gov(米国国務省 )「Changes to Entry Period for 2027 Diversity Visa (DV) Program」
Federal Register(米国連邦官報)「Schedule of Fees for Consular Services, Department of State and Overseas Embassies and Consulates-Visa Services Fee Changes」
多様性移民ビザ(DV)の発給停止
DV-2027の調整が進められる中、2025年12月には、多様性移民ビザ(DV)の発給を一時停止すると発表がありました。
この背景には、同時期に発生したブラウン大学での銃撃事件とマサチューセッツ工科大学の教授殺害事件があります。
両事件の容疑者がDVプログラムを通じて米国に移住していたため、国家の安全確保のため、プログラムの審査内容や手続きを見直すとしています。
この発表時点でも、日本はDVプログラムの対象国のままです。しかし、制度運用は見直しの過程にあり、今後も動向を細かく追っていく必要があります。
【参照】米国国務省 Travel.State.gov「Diversity Visa Issuance Updated Guidance」
制度は存続していても先行き不透明
政府の声明は、スケジュールの変更やビザ発給の一時停止を伝えるもので、DVプログラム制度自体の廃止を示すものではありません。
しかし、審査体制の見直しが進む中で、以前よりも入念な準備と対応が求められているのは確かです。
2026年2月末時点でも、DVプログラムに関する開始の発表はまだ出ておらず、具体的な見通しは立っていません。
米国のビザ全体で審査の厳格化が進んでおり、移住を検討する際は、一つの制度に依存せず、複数の可能性を視野に入れることが重要になるでしょう。
最新情報を確認しながら、準備を着実に進めていく姿勢が求められています。。
グリーンカード取得を視野に今からできる準備は?

グリーンカードの取得ルートは複数あり、立場によって優先すべき準備が異なります。
ここからは、今からできる準備について、以下の2つの視点で解説します。
就労ビザ滞在からの永住を目指してキャリア設計する
必要な手続きに備えて書類や資料を用意する
必要な手続きに備えて書類や資料を用意する
どの方法でグリーンカードを取得する場合も、必要書類の準備を進めておくことが重要です。
家族や雇用主がスポンサーとなる場合は、政府の公式サイトで最新情報を確認し、必要書類の準備や申請手続きを計画的に進めましょう。
一方、DVプログラムを通じて取得を目指す場合は、まずは正式な受付開始発表を待つことが前提となります。
その上で、過去の募集要項を参考に必要書類を確認しておくと安心です。応募用証明写真の規定を確認したり、パスポートの有効期限が切れていないかをチェックしたりしておけば、後の準備もスムーズになります。
また、準備とは異なりますが、詐欺に警戒しておくことも大切です。正式に抽選受付が開始されていないにもかかわらず、募集開始を知らせて詐欺サイトに誘導する業者がいる場合もあります。
必ず政府の公式情報を確認し、手続きを進めるようにしましょう。
就労ビザ滞在からの永住を目指してキャリア設計する
DVプログラム再開の見通しが立たないうちは、永住権の取得手段を一つに限定せず、複数のルートを視野に入れておくという考え方もあります。
就労ビザでアメリカに滞在し、その後に永住権の取得を目指すという方法も選択肢の一つ。
日本国籍者であれば、次のような就労ビザ取得の可能性があります。
- H-1Bビザ(特殊技能職ビザ)
- Eビザ(貿易・投資ビザ)
取得には高度な専門スキルや管理職経験が必要となりますが、米国での実務経験を積みながらキャリア形成できる点は魅力です。
永住権取得を長期的な目標としながら、まずは就労ビザで渡米し、段階的にステップを進めていくのも現実的な選択肢といえるでしょう。
グリーンカード取得に向けた現地就職ならプロに相談
グリーンカードの取得を目指す場合と同様、永住を見据えた就労ビザの取得や現地就職のためには、計画的な準備が欠かせません。
ビザの取得要件やスポンサー企業の条件の確認に加えて、採用に向けてはアメリカの雇用事情に合わせた応募戦略も求められます。
準備を効率的に進めるためには、現地就職に精通した専門家に相談するのが有効です。
特に、アメリカ就職専門の転職エージェントを活用すれば、現地採用特有の選考プロセスを踏まえたサポートを受けられます。
アメリカでの就職支援を専門に行うActusは、20年以上にわたり日本人の現地就職をサポートしています。
キャリアプランのことも含めて、ビザサポートに対応した求人についてのご相談も可能です。
グリーンカード取得を見据え、アメリカでの就職をお考えなら、まずはご登録、またはお問い合わせよりお気軽にご相談ください。
また、ビザスポンサーとなる企業の手続きやコスト面での負担を踏まえ「それでも採用したい」と思ってもらえるアピールが必要です。
業界や職種に精通したプロのアドバイスを活用すれば、こうしたポイントを押さえた対応が可能になります。
Actusは、日本人のアメリカでの転職を20年以上にわたり支援してきました。
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まとめ
グリーンカードの取得のためには、条件や費用面だけでなく、制度の理解も深めながら、最新情報を細かくチェックする姿勢が求められます。
家族や雇用主のスポンサーで申請を進める場合は、必要書類や手続き内容を把握し、計画的に準備を進めましょう。
DVプログラムのように制度変更を受けやすいルートでは、動向を注視しつつ、ほかのビザの取得も視野に、選択肢を広げておくことが大切です。
グリーンカードの取得に向け、方向性に迷いがあれば、専門家の知見も活用しながら、自分に合う現実的なステップを探りましょう。
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