まずは仕事の種類には正社員と派遣の2種類があります。正社員の場合、採用企業のペイロールに載って、その会社の社員となり、会社の健康保険などの福利厚生も使うことができます。派遣の場合は弊社からの派遣社員として勤務先企業で仕事をすることになります。正社員との一番の大きな違いは、福利厚生の有無です。派遣の場合、働いた時間に対しての時給を給与として弊社より受け取ることになります。
ポジションには色々と種類がありますが、同業種同ポジションであっても、企業によって仕事内容は大きく異なるので、応募する際には、求人情報に記載されているJob Descriptionや募集要項を熟知することが重要です。また、これとは別にポジションにはエグゼンプト(exempt/所定勤務時間や時間外労働などの時間管理の規定が適用されない勤務者)とノンエグゼンプト(non-exempt/所定勤務時間や時間外労働などの時間管理の規定が適用される勤務者)の2種類の区別があり、一般的に前者はマネジャー以上の管理職や専門職、後者は一般職に該当する。最も大きく異なる点は、エグゼンプトポジションにはオーバータイム(残業代)が加算されないことです。
求人情報内のサラリー表示は基本的に税込みの年俸表示。日本のように年2回の賞与(ボーナス)制度も基本的にはありませんので、サラリー表示された金額÷12が税込みでの月給となります。ここからFederal income Tax、Social Security Tax、State Income Tax等々が差し引かれて、残りが手取り金額になります。この他に一部企業では、業績が好調だった場合にのみボーナスとして一時金を支給する企業もあり、これは日本の制度と異なる本来の意味でのボーナスと言うことができるでしょう。
【Incentive】 日本の歩合給や報奨金に相当します。営業職などに多い制度で、一定のノルマを達成した場合に支給されます。計算方法や支給方法は会社により千差万別で、ノルマを超えた売上に対して何%を還元するというシステムや、ノルマをクリアしたら一定金額を支給するシステム、個人のノルマに対しての評価もあれば、チーム単位での評価という場合もあります。営業のポジションで仕事を探す場合は、固定給+インセンティブという給与形態が多くなるので、インセンティブ制度については正確に把握しておくことが重要です。固定給が高い代わりにインセンティブがつかないシステムや、逆に固定給が低い代わりにインセンティブの比率が高いこともあります。あまりインセンティブだけに固執するのは良くありませんが、営業職の社員が平均してどの位のインセンティブを得ているかで、そのポジションのモデル賃金がイメージできるはずです。
平均賃金は職種、地域、経験年数等によって大きく異なるので、ここではその代表例を紹介するにとどめますが、米国が日本と比較して大きく異なるのは、たとえ新卒者であっても職種によりその金額が異なる場合が多いということである。日本であれば文系・理系を問わず、四年制大学卒であれば同じ金額が初任給として設定されていますが、こちらではそうとは限りません。企業によっては営業職とエンジニアで1.5倍近い格差がつくこともあり、また、地域による給与格差は、地域によって企業の業種に偏りがあるため、意外に大きな差となる場合も多いです。 ちなみに下記は3ポジションを、New York、Chicago、Atlanta、Detroitの4地域にある企業の平均賃金を比較したものです。(この数値は日系企業だけのものではなく、また業種や該当者の勤続年数も特定されていない為、あくまでも職種間、地域間の違いを理解する為の参考資料です。)
Administrative Assistant | Sales | Accounting | |
New York: | $44,000 | $69,000 | $70,000 |
Chicago: | $38,000 | $57,000 | $63,000 |
Atlanta: | $39,000 | $56,000 | $66,000 |
Detroit: | $37,000 | $53,000 | $67,000 |
このように、職種だけでなく地域によっても平均賃金に大きな差が出ることは就職・転職の際に覚えておく必要があり、この後に続く、ベネフィット、リビングコストもあわせて、3つをトータルで考えることが仕事選びの重要なポイントになるでしょう。
日本人の場合、仕事を選ぶ際に給与に比べてベネフィットの内容をあまり重視しない方が比較的多いです。アメリカでは日本で働く場合と比較して、ベネフィットの企業間格差が激しいので注意が必要でしょう。日本であれば、特定の業種を除けば、国民の祝日は概ね全て休み、各種保険は完備、有給休暇もそれなりにあるはずですが、アメリカでは祝日でさえ、企業によって休みとする日を自由に決めることができます。また保険料に関しても、100%企業が負担する場合もあれば、80%、50%等一部しか負担されない場合もありますし、保険のカバー範囲も異なります。また有給休暇の付与日数も企業により差があり、疾病休暇制度、401Kの有無も企業によります。さらに州の法律により細かく規定が異なることも忘れてはいけないでしょう。もちろん仕事を選ぶ際、ベネフィットを最優先事項として考えるのは良くありませんが、目先の給与金額だけでなく、採用条件をトータルで考えるようにしないと、後々後悔することになります。
アメリカで就職・転職をする場合、引越しを伴い全く知らない土地へ転居することも珍しくありません。こんな時に、任地のリビングコストを知ることは非常に重要です。例えば、ACCRAの生計費指数調査によると、米国メトロエリア平均を100とした場合のリビングコスト指数は、ニューヨークでは220.4、シカゴでは115.3、アトランタでは95.3(2013年調べ)という数値が出ています。たとえ同じポジションに就職したとしても、ニューヨーク勤務とアトランタ勤務で2倍の給与差が出ることはあり得ないので、どうしてもリビングコストが安い地域で暮らす方が、より快適な暮らしができることは言うまでもありません。しかしながら、実際に赴任前にその土地のリビングコストを知ることは難しいので、便利帳などの地域別生活ガイドブックを参考にしたり、現地の事情に詳しい人間に聞いたり、ウェブでアパートメントのレントを調べるなど、事前にリサーチしておくことも必要でしょう。ただ、これはあくまでもリビングコストだけの比較ですので、実際の生活における利便性、治安、風土、個人の好みなど総合的に考える必要があるでしょう。
アメリカで就職するためには、市民権、永住権を持っていない場合H-1b、E-1、E-2等の就労ビザを取得する必要があり、通常現地採用者はH-1bビザを申請する場合が多くなります。 しかし、2004年度からH-1bビザの新規発給枠が減少したこと、前述の通り米国内での採用意欲が高まったことなどが影響し、2013年度、2014年度は続けて上限数の65,000件(Bachelor対象)が申請開始後当日、もしくはわずかで上限に達してしまいました。このような状況から、ビザサポートを必要とするバイリンガルの採用に見直しをかける企業も増えてきており、同時に新卒者の場合はOPT(Optional Practical Training/卒業後1年を上限とする労働許可)の有効期限が、その後のビザ申請に大きな影響を与えることにもなります。 ここで非常に重要なことは、企業側が必ずしも就労ビザについて知識が豊富であるとは限らない(特に米系企業)ので、求職者側が常に最新の移民法情報に敏感であることです。新卒の方であれば、就労ビザの状況に合わせてOPTの開始時期を調整したり、転職希望者であれば就労ビザの有効期間(H-1bの場合最長6年)に合わせた計画的な転職活動行う等、ある程度将来を見据えた行動も重要になってきます。 一般的に多くの現地採用者が取得するH-1bの場合、わかりやすく言えば「そのポジションが、大学や大学院での学問を必要とするだけの専門性がある」ことが前提となっていますので、大学での専攻と就職する企業の業種、ポジションとの関連性が非常に重要です。どのようなポジションであれば自分の専攻とマッチしてビザが取れる可能性があるのか、またいつ頃申請する必要があるのか等がポイントとなるので、新卒者は就職活動中にあらかじめ信頼できる移民法弁護士にH-1b取得の可能性について相談しておくことをお勧めします。