アメリカの求人では、時給20ドルや25ドルなど、日本円に換算すると高く見える金額が提示されることがあります。しかし、その求人が好条件かどうかは、円換算した金額だけでは判断できません。アメリカでは州や職種によって時給相場が異なるうえ、勤務地によって家賃などの生活費にも差があるためです。

この記事では、アメリカ全体の時給水準を確認したうえで、州別・職種別の相場と、日本とは異なる時給制の捉え方を解説します。

アメリカの時給相場はどのくらい?

全米の平均時給と時給中央値

U.S. Bureau of Labor Statistics(BLS:米国労働統計局)のMay 2025 Occupational Employment and Wage Statistics(OEWS)によると、全職種の平均時給は33.54ドル、時給中央値は24.51ドルです。この約9ドルの差は、経営職や専門職などの一部の高賃金職が平均値を押し上げているためと考えられます。

そのため、平均時給の33ドル前後をアメリカで働く人の一般的な時給相場と捉えると、実態よりも高く見積もってしまう恐れがあります。より一般的な時給相場としては、24ドル付近だと理解しておくのがよいでしょう。

求人の時給は同じ地域・職種の相場と比較する

ただし、この時給24.51ドルという全米中央値は、あくまで全職種をまとめた数字であることには注意が必要です。求人票の時給が高いか低いかを判断するには、全体の傾向を頭に入れつつも同じ地域・職種の相場と比較する必要があります。

たとえば、時給22ドルの求人は全米中央値を下回っています。しかし、一般事務の中央値は21.64ドルであり、カスタマーサービスでは21.53ドルであるため、これらの職種で仕事を探している場合には、決して低い時給とはいえません。

このように、地域や職種によっても時給の中央値は異なるため、各地域・職種の時給の中央値も把握しておくことが重要です。

【州別】アメリカの時給相場

BLSの2025年5月のデータによると、全職種の時給中央値が高い上位5州と、低い下位5州は次のとおりです。

 上位5州中央値下位5州中央値
1マサチューセッツ30.57ドルミシシッピ19.29ドル
2ワシントン30.28ドルアーカンソー20.98ドル
3アラスカ29.33ドルウェストバージニア21.78ドル
4コロラド28.75ドルルイジアナ21.89ドル
5コネチカット28.70ドルオクラホマ21.92ドル

最も高いマサチューセッツ州と最も低いミシシッピ州では、時給中央値に11.28ドルの差があります。週40時間、年間52週働くと仮定すると、単純計算では年間約23,500ドルの差となります。

上位には、北東部や西部を中心に、専門職や比較的賃金の高い産業が集まる州が多く入っています。一方、下位には南部やアパラチア周辺の州が目立ちます。州ごとの時給差には、その地域に多い産業や職種に加え、物価水準の違いも影響していると考えられます。

このように、地域によって時給相場が大きく異なる点には注意が必要です。

時給が高い州は家賃も高い傾向がある

ただし、高い時給が、そのまま生活の余裕につながるとは限りません。それを示しているのが、下の図です。

【図:州別の時給中央値と家賃の関係】

この図は、横軸に各州における時給中央値、縦軸に各州の家賃中央値を示したものです。この図から分かるように、高賃金の州では家賃も高くなる傾向があります。もちろん、家賃が生活コストのすべてではありませんが、BLSによると住居費は2024年のアメリカの家計支出の33.4%を占めており、生活コストに大きな影響を与えていると言えます。

このように、時給が高い地域は生活コストも高くなりやすいといえます。そのため、時給が高い地域に暮らしたとしても、必ずしも裕福な暮らしにつながるわけではありません。求人を比較するときは、時給だけでなく、勤務地の家賃などの生活コストもあわせて確認することが大切です。

【職種別】アメリカのオフィス系Hourly職種の時給相場

次は職種別の時給相場について見ていきましょう。BLSのMay 2025 OEWSをもとに、一般的なオフィス系職種の時給中央値をまとめると次のとおりです。

職種中央値
一般事務21.64ドル
事務アシスタント23.23ドル
カスタマーサービス21.53ドル
経理・会計事務24.36ドル
出荷・在庫管理事務21.76ドル
ITサポート29.74ドル

この表から分かるように、同じオフィス系のHourly職種でも、担当業務に必要な専門知識やスキルによって時給相場に差があります。

たとえば、時給25ドルの求人は、一般事務やカスタマーサービスでは全米の職種別中央値を上回りますが、ITサポートでは中央値を下回ります。そのため、求人の時給が高いかどうかを判断する際は、オフィス職全体ではなく、自分が応募する職種に近い相場と比較することが大切です。

アメリカと日本では「時給制」の捉え方が異なる

アメリカではフルタイムやオフィス職でも時給制がある

日本とアメリカでは、時給で募集されている職種に大きな違いがあることも理解しておきましょう。

日本では、時給制と聞くとアルバイトやパートを連想し、比較的責任が重くない仕事を任されると考える人が多いでしょう。それに対して、アメリカでは一般事務、カスタマーサービス、物流関連などのオフィス職でも、Hourly Position(働いた時間に応じて賃金が支払われるポジション)が見られます。

そのため、求人票に時給が書かれていても、短時間勤務や補助的な仕事とは限りません。フルタイムかパートタイムかは、時給制であるか否かとは別に確認する必要があります。

チップがある職種では表示時給の意味が異なる

チップを受け取る職種では、求人票に記載された時給が、チップとは別に保証される金額なのか、チップを含む想定収入なのかを確認することが大切です。

たとえば、「$14 per hour plus tips」であれば、時給14ドルにチップが上乗せされます。一方、「up to $14 per hour including tips」や「$14–$20 per hour with tips」と書かれている場合は、チップを含めた想定額です。来客数や勤務時間帯によってチップが変動すれば、実際の収入も変わる可能性があります。

同じ「時給14ドル」と見える求人でも、14ドルが保証されたうえでチップが加わる求人と、チップを含めて14ドル程度になる求人では、収入の安定性が異なります。求人票では、「plus tips」「including tips」「with tips」「estimated earnings」などの表記を確認し、最低限保証される時給と、チップを含めた平均的な収入を分けて確認しましょう。

アメリカの時給は州・職種・雇用条件をあわせて判断しよう

アメリカの時給は、州や職種によって大きく異なります。求人票の金額が高く見えても、同じ地域・職種の中央値や勤務地の家賃を確認しなければ、実際に好条件かどうかは判断できません。

また、アメリカではフルタイムのオフィス職でも時給制が採用されるほか、飲食・接客職ではチップが収入に影響する場合があります。時給だけでなく、仕事内容、勤務地、雇用条件まで含めて比較することが大切です。

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アメリカの時給に関するよくある質問(FAQ)

Q
アメリカの平均時給はいくらですか?
A

BLSのMay 2025 OEWSでは、全職種の平均時給は33.54ドル、時給中央値は24.51ドルです。一般的な賃金水準を判断するときは、平均値だけでなく中央値も参考にしましょう。

アメリカで時給が高い州はどこですか?

主要州では、マサチューセッツ州やワシントン州などの時給中央値が高い水準にあります。ただし、家賃も高い場合があるため、時給だけで生活のしやすさを判断することはできません。

Q
アメリカの時給を日本円にするといくらですか?
A

1ドル=150円と仮定すると、全職種の時給中央値24.51ドルは約3,677円です。

ただし、為替レートは変動し、アメリカと日本では物価や税金、社会保険の負担も異なります。円換算額だけで求人条件を判断しないようにしましょう。

Q
同じResumeを複数の企業に提出してもよいですか?
A

すべての企業に同じResumeをそのまま提出するのは避けましょう。企業ごとに担当業務や求めるスキルが異なるため、求人票を確認し、応募職種との関連性が高い経験や成果を選ぶ必要があります。

Q
アメリカではフルタイムでも時給制ですか?
A

はい。アメリカでは、オフィス職を含むフルタイム求人でも時給制が採用されることがあります。時給制だからといって、パートタイムとは限りません。

Q
求人票の時給にはチップも含まれますか?
A

求人によって異なります。飲食・接客職では、基本時給とチップを分けて記載する場合も、チップ込みの想定収入を示す場合もあります。応募前に表示額の内訳を確認してください。


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