2010-01-20
大勢が影響を受けた2008年~2009年の景気後退、加えてマスレイオフ(大型の人員削減)軒数の多さや給与凍結・給与削減策に伴い、相当数の米国の雇用主は2009年に給与の上昇を実施出来ない状態であった。
毎年春と夏の間には翌年の給与予算の測定の為に米国企業を対象にした大規模な調査が実施されるが2008年9月中旬のリーマンブラザーズの崩壊前と後ではビジネス環境が著しく変化したことから昨年の調査は非常に独特なものであった。リーマンブラザーズの崩壊前、大多数の雇用主が2009年向けに約3.5%の給与上昇予算を予測していた。しかしながら崩壊後には非常に多くの米国の雇用主が大幅上昇を検討していた給与予測の数値に匹敵するレベルで従業員数を大削減したり、給与削減および・または給与凍結を行った。
今年12月から2010年初旬へ移行するに連れ、経済はより顕著な回復の兆しを表している。失業率は全米で10%弱以上、カリフォルニア州を含む数州では12~15% とまだ非常に高いままであるが、新たな失業率は下がり続け、雇用主は慎重に雇用を再開している段階にある。給与上昇の予算については2010年内に給与上昇の回復が見え始めるであろうが、過去数年の上昇率よりも断然低いものになると予測できる。過去数十年に亘り、景気の上昇・下降に拘らず、例年の給与上昇予算は4%前後の範囲内に留まっていた。しかし2010年は2%後半から3%前半という新しい給与上昇率の範囲が確立され始める最初の年になることが予想される。
下の表は2010年の給与予算の予測ために行われた幾つかの調査である。全調査会社は給与上昇は3%以上に達することはなく、おそらく2.5%辺りに留まるであろうことを予測している。昨年に給与削減や凍結を実施した大半の企業は現在、以前の給与レベルに復活させる段階にあるが、基本給の上昇が景気後退以前のレベルに戻るのはまだ暫く先のことになるであろう。
-Conference Board-
2009: 最初は3.5% で予測されていたが、実際は2.5% であった。エグゼクティブレベルは3.5% の予想値よりかなり低い1.5% であった。
2010: 全従業員のカテゴリーにおいて3.0%
Comment: 2010年の予測は調査が実施された過去25年の中では最低値だが、2010年に予期されるインフレ率2%に伴い、職を保持する労働者の給与はそれでも1%は上昇するであろう。
-Hewitt Associates-
2009: 最初は3.1で予測されていたが、予測より約1% 低い2.1%であった。2010: 全従業員のカテゴリーにおいて2.7%
Comment: 平均給与予算の上昇は2.7%と低く予測されているが、企業はペイロールの11.8%を変動予算もしくはボーナスの支払いに費やすことを報告している。
-WorldatWork-
2009: 最初は3.9% で予測されていたが、2008年7月時点の調査結果では2.2%となった。
2010: 全従業員のカテゴリーにおいて2.8%
Comment: この調査は元々2009年4月に回収されており、2,600社からのデータが出ている大規模な調査の一つである。 現在の景気後退は2001年時のそれを上回るほど給与上昇予算に劇的な影響をもたらしている。調査結果は変動給の利用を高める傾向を語っている。2009年に向け、雇用主は5~11.5%を変動給与予算として立てている。
-Watson Wyatt-
2009: 最初は3.5% で予測されていたが、2009年は約2.0%との結果となった。
2010: 全従業員のカテゴリーにおいて3.0%
Comment: この調査結果は2009年5月に235社の大企業から回収された。
給与上昇を計画していない企業数は2010年には減るであろう。つまり2010年は給与上昇率が上向きに改善することが予測されるが 大幅なレベルではないと思われる。25% の企業が2009年に給与上昇を実施しなかったと報告したが、2010年に給与上昇を実施しないと予想しているのは10% である。
-Business & Legal Reports -
2009: 最初は2.8%で予測されていたが、2009年は1.47%との結果となった。2010: 全従業員のカテゴリーにおいて1.85%
Comment: この調査は2009年6月と7月に1600社を対象に実施された。調査に回答した40%の企業2010年にメリットペイ上昇は予定していないと回答した。経済状況は2009年中に予測されていたものよりも悪化した。
-Culpepper and Associates -
2009: 2009年の基本給の上昇 は1.66%と予測されていた。
2010: 全従業員のカテゴリーにおいて2.68%
Comment: 調査は2009年6月から8月に835社を対象に行われた。回答者の54%がテクノロジー、12%がライフサイエンス(生命科学)分野で、回答した企業の49%が従業員数500名以上の規模。