2007-11-01
<雇用主を悩ませる人事処置に伴う名誉毀損訴訟>
雇用者は差別やハラスメント訴訟にのみ用心するのではなく、名誉毀損の訴えに対しても備えなければならない。
名誉毀損とは「第三者の社会的評価を傷つけるような誤った表現による意図的なコミュニケーション」と定義される。
例えば、スーパーバイザーが元従業員の新たな雇用者にその従業員は泥棒であると告げる事は、会社が名誉毀損で訴えられるという危険性をもたらすことになる。
また実際に起こした行為も同様に名誉毀損の対象となり得る。理由は解雇した従業員を警備員が会社の外に連れ出すなどの行為は、結果としてその
従業員が信用できない人物であると同僚に信じ込ませることになる、との解釈が成り立つからだ。
雇用者のとった行動が従業員の行為を殊更非難する「誤りの且つ明白なメッセージ」を従業員に送っていない限り、従業員側は名誉毀損の訴訟を起
こすことはできないだろうとの判決を裁判所の多くは下している。
加えて裁判では、雇用者の名誉毀損行動が従業員に大きな精神的ストレスや苦悩を抱かせるような非常に特異なものであったり、人目に触れる場所で行われたりすることが必要条件となることが多い。
上述の状況では、警察が従業員を拘束したり暴力的に従業員を部屋の外に連れ出したりというような極端な方法が取られない限り、ほとんどの裁判所は解雇された従業員を建物の外に連れ出した雇用者に法的責務を科さない。
ファイルやコンピュータ-のデータが取られないようにするためにドアまで従業員に同行するだけでは、恐らく申し立てを成功させるには十分とは言えない。
元従業員に人事処置による名誉毀損で訴えさせないために次のような助言をしたいと思う。
事前計画-従業員に対して懲戒行為をとる場合は、常に事前に自身及びスタッフがどう行動するかを明確にする。また関わる人物を確定し、行為が行われる日時、時間、方法をはっきりさせる。
計画することによって後に名誉毀損を生み出すような早まった判断を避けることができる。
一貫性の保持-解雇を含む懲戒的な問題に対処する際の首尾一貫した方針や手順を確立する。名誉毀損を訴える者が頻繁に述べているのは「自分の解雇が行われた状況は異常で、自分が何か特に間違ったことをしたという印象を受ける」ということである。
方針や手順を確定することにより、元従業員が自分の解雇を特異なものであった、あるいは同僚の好奇の目にさらされた、という理由で訴訟を起こすことを防ぐことができる。
知るべき者に限定 -従業員に対する調査や解雇の発表及び通達は、常に丁重に行われるべきであり、正当に知る権利のある人をしっかり区別し、いかなる行為においてもその状況や結果などは知るべき者のみに限定して伝えられるべきである。
区別化-他の従業員の目に触れる場所ではいかなる人事処置行為も慎む。職場を調査する、或いは何らかの人事処置行為を行う必要がある時は、ドアを閉めるかまたは就業時間外に行う。同様に質疑やミーティングは就業時間後あるいはプライベートな場所で行う。安全面での正当な理由がある時以外では就労時間中に従業員を建物の外に連れ出さない。また
従業員や同僚、及び第三者の安全性を確保するという目的以外では従業員との身体的な接触は避ける。
成文化-従業員の調査や解雇過程における各段階での詳細を記した書面を作成する。関与する人物、実行される時間、作成する書類の種類とその書類が渡される対象者、及びそれ以外に必要な情報等をしっかりと確認し、加えて想定し得る不適切な身体的な接触も書き記す。
再確認-他のあらゆる規定と同じく定期的に従業員の懲戒や解雇の手続きを確認し、方針が一貫しているか、またそれが効果的であり、尚且つ最新の中傷に絡む法律に適切に従っていることを確実にする。