2009-04-01
「インフルエンザへの対処」
WHO がSwine Flu の警戒度をPhase4からPhase5に引き上げた事に伴い、雇用主からは措置や対策に関する多くの質問が寄せらている。以下は企業が対策を講じる際の、あるいは実行する際の注意すべきポイントである。
防御用具の準備
既にマスクを購入した企業もあるようだが、そのほかにはEye Protection・グローブ・Antiバクテリア石鹸なども準備すべき対象である。尚、雇用主が「必要である」と認識した場合は、これらの使用を従業員に強制させることができる。少なくともAntiバクテリア石鹸は各トイレに備え置き、従業員には「外出から帰社後は必ず手を洗え」との指令は出すべきである。
緊急連絡先
全従業員の緊急連絡先情報がアップデートされているかを確認すべきである。但し、自宅住所・自宅電話番号・携帯電話番号は保護すべき個人情報に当たるので、通常の管理はHRマネージャーだけに担わせ、緊急時は上司や担当従業員に必要な情報のみを開示するなど、管理には細心の注意を払うべきである。
予防接種
予防接種は病気関連イベントであり全従業員への強要は難しいが、一部のKeyとなる従業員を選定し、彼らに接種を受けさせた上で記録の提示を求める事は可能である。尚、インフルエンザ用薬品としてタミフル・リレンザがあるが、現時点でこれらの薬品がどの程度有効かはハッキリしていない。
発症従業員
「従業員もしくはその家族が発症した場合は速やかに会社に報告する事を望む」との通知は出しておくべきであろう。但し、プライバシーや守秘に関わる問題だけに、報告先や通知方法には細心の注意を払うべきである。(例:発症者はHRマネージャーにだけ連絡し、企業は必要以上の情報を開示しないこと。)
休職
シックリーブ追加措置など必ずしも特別なことをする必要は無いが、企業が自宅待機を命じ「通常より低い給与を払う」という対処も可能である。(注:この期間は休職扱いとはしない。)尚、雇用主は会社指定で休みをとらせたり、会社を一時閉鎖する権利を持ち、これらの対処に絡んでは給与支払い義務は生じない。(注:本人が病気で1週間以上の休職をとればShort Term Disabilityの対象とはなりえる。)また休職対処に絡み雇用主が注意すべき点は、Exempt従業員へのサラリー支払いに関する法律を熟知しておくことである。
自宅待機
自宅待機にする対象者とその期限決定の基準は、各雇用主の規模やビジネス状況、並びに感染者が出た場合に誰が感染者の身近にいたか或いは接していたかなど様々な要因があるので一概に言い難く、判断は各雇用主ごとに検討すべきであろう。感染拡大を防ぐ為に自宅で仕事ができる業務については「一定期間自宅で職務を遂行させる」などの対処法も考えられる。しかし、自宅勤務はコントロールが難しく、一旦前例を作ればたとえ緊急の措置だったとしても「今回できたのだから今後も自宅で仕事をしたい」と言い出す従業員が出る可能性もある。従って実施に当たっては条件を書面にて明確に謳い、且つ慎重に行うべきである。
出張
機内は感染しやすい場所のひとつである。故に特に発祥地とされるメキシコへの出張は延期や縮小するなどして出来る限り避けるべきであり、また米国内であってもカリフォルニア・ニューヨーク・テキサスなどメジャーな出張先でも発症が確認されていることから、機内での感染リスクと合わせて鑑み、延期や電話会議などなるべく移動を止めて別の方法を模索すべきであろう。しかし、雇用主としては出張を全て延期させるわけにはいかないだろうし、現時点では渡航規制も出ていないので、必ずしも出張を無くさねばならないという事ではない。従業員から「感染の心配があるので出張はしたくない」と言われる可能性があるが、これについてはできる限り出張を回避する方法を検討し、「回避できない」場合は会社命令として出張させても止むを得ないところである。