ニュースレター

2014-10-01
Newsletter 2014年10月号 「H-1B ビザをご利用される雇用者の方々 LCA (雇用条件申請書)における予期せぬハプニングを避ける為に」
H-1Bビザは、工学、医学、融通機関、情報技術や経理等の多くの業界で不可欠なものとなっています。近年、低い割当である85,000件分のH-1Bビザ(内65,000件は普通のH-1Bビザ、残り20,000件は、高度な学位を取得した人の為のH-1Bビザ)に応募が殺到しています。その様な状況下で、H-1Bビザにはつきものである厄介な要件を雇用者側は見落としがちです。今日におけるH-1Bビザ抽選に関して、選ばれる確率は年々低くなっていることもあり、抽選に当たり、H-1Bビザを取得した人達はまるで100万ドルでも当てたかのように大喜びします。

しかし、興奮から醒めた後、H-1Bビザの規制に則って厄介な要件が課せられ、時間が掛かることに気づくのです。主な要件は、実勢賃金、役職名、職務内容等に関して明確に提示する為に行われるもので、雇用者が認定された雇用条件申請書を取得する事です。

A. 雇用条件申請書(Labor Condition Applications / LCAs)

Labor Condition Applicationは、業界ではLCAとして知られており、外国人である従業員に公正な賃金を支払う為に、雇用者と労働省との間で交わされた不可欠な契約です。外国人に支払う賃金は、実勢賃金と同額又は、それ以上の金額を支払われる必要があります。労働省と移民局による規制が、LCAに関する指示を提供しています。LCAに関する労働省の規制は、労働省監査役員が主体的に見直しや判決を下す為、実施が困難となっています。LCAに関する移民局の規制は、非常に明確です。

手続きに関して、移民局にH-1Bビザ請願書を提出する前に、雇用者は労働省から認定されたLCAを取得する必要があります。一般的なケースは次のような手順となります。雇用者は、大学卒業したばかりのエンジニアーを雇用する事を望み、必要としています。雇用者は、求めている役職に対しどの様な要件が必要であるかを決定します。次に、雇用者は、実際勤務される郡内で支払われるべき労働省により決定された実勢賃金を見る為に、DOL Online Wage Libraryのサイトに行きます(http://www.flcdatacenter.com/OesWizardStart.aspx)。雇用者は非移民労働者の為のオンラインによる労働条件申請書(LCA)を作成完了し提出します(ETAフォーム9035&9035E)(https://icert.doleta.gov/)。労働条件申請書(LCA)には、雇用者情報、役職、勤務地、要求された雇用期間、実際に雇用者から支払われる賃金と実勢賃金の情報が含まれます。営業日の5日から7日間後に、労働省から雇用者に認定された労働条件申請書(LCA)をEメールにて送られます。

一旦、労働条件申請書(LCA)が認定されると、H-1Bビザの申請書類一式とあわせて、手続きの為に移民局に提出します。通常、H-1Bビザは、労働条件申請書(LCA)に記載されている期間よりも短期間での有効期限にて承認されます。労働条件申請書(LCA)に記載する最長有効期間は3年間です。

B. 移民局の見解

移民局は、認定された労働条件申請書(LCA)を、H-1Bビザ申請書類一式とあわせて提出するよう要求しています。労働条件申請書(LCA)は、認定後、日にちを変更したり内容を訂正することはできません。そのため、H-1Bビザの手続きにおいて、労働条件申請書(LCA)の作成は非常に重要です。 移民局は、ビザ申請雇用者が従業員に、実勢賃金、又はそれ以上の賃金を支払う事を確認するために、認定された労働条件申請書(LCA)を信頼しています。更に、 移民局は、実際勤務地を確認するために労働条件申請書(LCA)を使用しています。 雇用者が実勢賃金、又はそれ以上の賃金を従業員に支払い、勤務地がH-1Bビザ申請書に記載された勤務地と一致することが確認されると、移民局は、労働条件申請書(LCA)や、労働条件申請書(LCA)に関連する雇用者を、それ以上精査はしません。

特定の従業員のために雇用者が提出する各最初のH-1Bビザ申請は、不正防止と検出料金を添えて提出する必要があります。不正防止と検出料金は$500です。この手数料は、申請した際に移民局に伝えた実際勤務地で従業員が就労いている事、彼または彼女が、労働条件申請書(LCA)に記載された実勢賃金、又はそれ以上の賃金を支払われているか確認するために、実際の勤務地に、未定、未発表にて捜査官を送る為のものです。これらの二つの主要な条件が検証された後、移民局は労働条件申請書(LCA)に記載されている詳細や、労働条件申請書(LCA)に関連する従業員(彼、又は彼女)にそれ以上調査しません。

もし、雇用者が、実勢賃金、又はそれ以上の賃金を従業員に支払っていない事や、従業員が提示された勤務地で就労していないことが判明した場合、“Intent to Revoke”「失効意向」と題した手紙が、移民局から申請雇用者に送られます。H-1Bビザ申請書に記載されている要件を満たしていることを示すために、今度は、雇用者にとって負担となります。

移民局の抜き打ち検査による訪問は憂慮すべきですが、労働条件申請書(LCA)手続きや書類を提出する際には少々懸念すべき点です。

C. 労働省による見解と違反に対する罰金

労働省(DOL)と労働省による規制の支配下にある労働条件申請書(LCA)は、より深刻です。労働条件申請書(LCA)の規制の全ての要件を満たさない場合、多額の罰金になります。雇用者が95%準拠している場合であっても、雇用者は残り5%の過失や見落としのために幾らかの罰金を支払うことを予期して下さい。厳格な執行の目的は、雇用者が権限を乱用し従業員に過度な労働をさせるような事が無い様にする為です。

移民局捜査官の訪問とは異なり、労働省は、事前に雇用者に手紙を郵送し今後の労働省監査について、雇用者にあらかじめ警告します。雇用者は、労働省が確認する為の文書・記録を作成する為に、幾日か費やします。雇用者は、間違いや見落としを解決する準備の為、毎年、内部にて企業ファイルを監査される事をお勧めします。

単純に、認定された労働条件申請書(LCA)があり、実勢賃金、又はそれ以上の賃金を従業員に支払い、米政府から要求された従業員に関する全必要書類を(I-9、W-4など)記録していたとしても、雇用者が罰金を逃れるという保証はありません。 労働省には、H-1Bビザを保持している従業員を面接し、ソフトウェア・ディベロッパーに対し、データベース・アドミニストレーターを選択した、雇用者が間違った役職を選択したと判定する権限があります。 又、労働省には、H-1Bビザ保持者の従業員に支払われる賃金水準が選択された水準よりも高く、又は雇用者側の希望金額よりも高い賃金を支払うべきであると決定できる権限があります。これらの決定により、雇用者は、過去に遡り賃金不足分を返済し、罰金を課せられることがあります。この問題を回避する為に、H-1Bビザ申請雇用者は、労働省からの実勢賃金決定書(Prevailing Wage Determination/PWD)を取得する必要があります。実勢賃金決定書(PWD)とは、職務内容および役職に対する最小要件を確認し、従業員の能力がどの水準であり、最低賃金が幾らであるべきか明確にする為のものです。

労働省の監査は非常に稀です。一般的に、雇用者に対し不満を持っているH-1Bビザ所有従業員が会社を辞めるか、又は辞めた後に、労働省はその会社に対し監査を開始します。雇用者は、単純に従業員に実勢賃金支払うことによって、労働省による監査を殆ど回避することができます。

社内における適正評価と会計監査は、移民局、又は労働省による実際勤務地への訪問や監査を受けた際に、雇用者側のリスクを減少させる為には不可欠です。