2008-06-01
- 従業員が引き起こした自動車事故に対する雇用者の責任範囲
MillerがAmerican Greetings社に対して起こした裁判において、カリフォルニア州上訴裁判所は従業員の怠慢により発生した自動車事故に関しては雇用主であるAmerican Greetings社の責任はないとの判決を下した。この従業員は責務の一部として定期的に顧客先を訪問しており、顧客を訪問しない時は携帯電話でかなりの時間を費やしていた。原告側は、事故が従業員の通常通るルート上で起こり、また彼の勤務時間内であったことを証明するため、従業員自身の携帯電話記録を提出し、職務に関する電話が事故の8分前にもされていたことを示した。しかしながら事故当時、従業員が個人的用件で弁護士と会っていたことが発覚し、今回の事故と彼の職務との関係は微々たるものであるという判断から、第一審では彼の訴えは退けられた。(Miller v. American Greetings Corporation訴訟)
今回の判決ではAmerican Greetings社が優勢な結果に終わったが、この決定は重要な要素を示唆している。車の運転が従業員の職務の一部である場合、会社は運転中にかける携帯電話の使用範囲を規定するポリシーを作成し、且つ実施しなければならない、と言うことだ。
- 同性愛者が差別の申し立てをする可能性
職場での同性愛者に対する差別を明確に禁じているカリフォルニア州法とは異なり、連邦法であるTitle7にはそのような明確な規定はない。しかしながら、Izza LopezがRiver Oaks 社に対して起こした訴訟において、テキサス州にある連邦裁判所ではTitle7に則り、同性愛者であるということではなく、性の固定観念にうまく適応できないという不利な行為(Adverse Action)により、同性愛者は差別の申し立てをすることが可能であると判断した。故にRiver Oaks社が、生物学的には男性であるIzza Lopezが雇用手続きの過程で自分自身を女性であると述べ、これが不正確であるという理由で雇用のオファーを取り消したことに対しIzza Lopezは申し立てを行うことが可能となった。この裁判所の判断により訴訟は解決に至った。(Lopez v. River Oaks Imaging & Diagnostic Group, Inc.訴訟)
- 遺伝情報差別禁止法案の可決
本年5月21日ブッシュ大統領は、遺伝子テストや遺伝情報で雇用申請者や従業員を差別することを禁止する「遺伝情報差別禁止法案(GINA)」に署名した。この新たな法律は保険業者が遺伝子情報によって健康保険の加入を制限したり保険料を調整したりすることも同様に禁止している。上院議会で95対0、下院議会では414対1で可決に至った今回の法案は、ビジネス社会、市民権及び障害を持つグループの間における10年以上に渡る話し合いの末に米国の二大政党の支持を反映し意に適う解決となった。