2011-10-01
他の多くの先進国と異なり、米国内には、米国の民間雇用主が従業員にHoliday(祝日)を提供しなければならないと義務付ける連邦法も州法もない。政府や郵便局、銀行が閉まる連邦や州の祝日はいくつかあるが、米国の雇用主がこれらに準じる義務はない。しかしながら、毎年、米国の雇用主が従業員のベネフィットとして提供する様々な有給祝日が存在する。
米国の雇用主が有給祝日として活用できるであろう日は多くあるものの、ここ数十年に渡って示されてきた数々の有給祝日に関する調査によると、雇用主によって提供されてきた有給祝日の平均的な数は10日という事で変わっていない。
〈もっとも一般的な有給祝日〉
95%以上の米国の雇用主が有給祝日として認めて適用する日は6つある。それらは、元日、メモリアルデイ、独立記念日、レイバーデイ、サンクスギビングデイ(感謝祭)、そしてクリスマスデイである。これらに続くもっとも一般的な日としてはDay After Thanksgiving Day(サンクスギビングデイの翌日)があり、およそ70%の雇用主が祝っている。
〈その他に祝われる祝日〉
もっとも一般的な祝日に続いて民間雇用主に使用される4つの祝日がある。それらは、マーティンルーサーキングジュニアデイ、プレジデントデイ、コロンバスデイ、ヴェテランズデイである。
〈マーティンルーサーキングジュニアデイ〉
MLK Dayという略称でも知られるこの祝日は、マーティンルーサーキングジュニアの誕生日を祝うものである。1月の第3月曜日に祝われ、もっとも新しいNational Holidayである。最初から祝日として連邦政府によって提供された日ではあるが、個別の州によって受け入れられるまでには非常に時間がかかった。2000年に至るまで、全米50州の祝日としては認められなかった。更に、有給祝日に関する調査によると、民間雇用主のわずか27~38%しか有給祝日として認めていないという事である。
〈プレジデントデイ〉
有給祝日に関する調査によると、米国の雇用主の30~34%がプレジデントデイを有給祝日として提供している。
〈コロンバスデイ〉
10月の第2月曜日に祝われるこの祝日は、1492年10月12日に米国に到着したクリストファー・コロンブスを覚えておくために祝われる。
コロンバスデイは米国の連邦祝日ではあるが、州レベルで認められるものとしては減少している。今日では、ニューヨーク、イリノイ、オハイオ、ペンシルバニア、ジョージア、ヴァージニア、そしてコロラドを含む複数の州が州の祝日としているが、カリフォルニア、テキサス、フロリダ、ケンタッキー、ミシガン、そしてワシントンを含む20以上の州が、コロンバスデイを祝日としてはもう認めていない。
有給祝日に関する調査データによると、米国のビジネスのおよそ16%がコロンバスデイを有給祝日として認めているという事である。
〈ヴェテランズデイ〉
ヴェテランズデイは11月11日に祝われてきている。調査データによると、民間雇用主のおよそ21%がヴェテランズデイを有給祝日として祝っているという事である。
〈宗教上の祝日および便宜〉
上記の祝日に加え、いくつかの雇用主に祝われる、そして/あるいは雇用主が祝わない場合には特定の従業員から休暇として申請されるかもしれない宗教上の祝日がある。米国人の約76%がクリスチャン(キリスト教信仰)のため、クリスマスとイースターは米国の企業にとっては2つのもっとも重要な祝日である。
クリスマス以外では、イースター祝日の一部として、グッドフライデーが米国での宗教上の唯一の祝日である。(有給祝日に関する調査が、米国の雇用主の25%までが有給祝日として祝うと示している。)
米国の職場において通常は有給祝日として祝われないその他の宗教上の祝日には、ロッシュ・ハシャナ(ユダヤ新年)、ヨム・キプール(ユダヤの贖罪の日)、ラマダン(イスラムの断食の月)、ディワリ(インドの光の祭)が含まれる。これらの祝日は、ほとんどの米国の雇用主には祝われないが、特定の従業員から休暇として要求されるかもしれない。これらの類の要求は、より一般的になってきており、我々を宗教上の便宜という主題に導く。
1964公民権法タイトルVIIの下での連邦法は、雇用主に対して、従業員の宗教上の儀式・実践・信念に “合理的な便宜を図る”ことを、雇用主の事業に“不当な困難”を引き起こすと示せる場合を除いて求めている。
“合理的な便宜”と“不当な困難”が何を意味するかは、特有の状況による。基本的には、雇用主は、従業員が仕事を維持しながら宗教上の信仰の実践を許す仕組みをつくろうとする試みをしなければならない。場合によっては、便宜は可能ではないかもしれない。しかしながら、雇用主は、従業員が便宜を図られるような真剣な試みがされたことを証明する責任を負う。
“不当な困難”を引き起こさない宗教上の祝日に対する可能な便宜のいくかの例としては、祝日を祝うために有給休暇を替わりに使うことを従業員に許す、もしくは、無給のパーソナル・リーブを祝日のために使うことを許すことである。
〈サマリー〉
たとえ連邦法でも州法でも有給祝日のようなベネフィットを提供することが義務付けられていないとしても、ほとんどの雇用主は、従業員のために少なくともいくつかの有給祝日を提供する。調査データは、有給祝日の平均的な日数として、引き続き10日と示し続けている。
いくつかの雇用主はパート・タイム従業員にも日割り計算で祝日を与えるが、ほとんどの雇用主はフル・タイム従業員だけに有給祝日を与える。しかしながら、特定の仕事(例えば、小売販売、レストラン、ニュース・メディア、もしくは建設工事)は、スタッフに年間365日を要求する。これらのケースでは、雇用主は、特に労働者が組合化されているところでは、祝日労働の引き換えとして、インセンティブやエクストラの休日を与えることもある。
ほとんどの企業は、連邦祝日と州祝日、およびもっとも一般的な祝日である元日、メモリアルデー、独立記念日、レイバーデイ、サンクスギビングデイとクリスマスに準じる。加えて、雇用主はしばしば、伝統的な6日を補うために、次に続くいくつかの日を選択する。それらは、大晦日、マーティンルーサーキングデイ、プレジデントデイ、グッドフライデイ、ヴェテランズデイ、サンクスギビングデイの翌日とクリスマスの前日を含む。
さらに、指定された祝日の代替もしくは補足として、いくつかの雇用主は従業員に特定の個人または浮動祝日を付与する。一般的には、これらの適用には何の制限もない。雇用主は。多様な労働力とともに、宗教上の需要に便宜を図るために、この戦略を採用する。
注記: -調査データは以下から取得。(1) SHRM 2011 Holiday Schedules (Nov. 4, 2010), (2) BLR/HR Daily Advisory – Survey taken during 2011.
記事提供: HRM Partners, Inc.