2017-07-19
概要:
米国で事業を始める際に必ず必要となってくるのが、就労ビザの取得です。 今回は、数ある就労ビザの中の、L–1Aビザの取得方法について説明させていただきます。 L-1ビザは日本の企業がアメリカの関連会社に社員を派遣する場合に使用されるビザです。L-1ビザには、管理職クラスの社員に発行されるL-1Aとエンジニア等の特殊技能を有する社員に発行される L-1Bの二種類のビザがありますが、今回はL-1Aの説明をさせて頂きます。
L-1Aビザの申請条件:
L-1Aビザを申請するにあたって、以下の条件を最低限満たす必要があります。
• 米国で会社の設立
• 過去3年のうち、日本の親会社で管理職クラスの職務に最低1年以上従事。
• 米国の関連会社で管理職クラスの職務に従事する。
• 日本の親会社が、米国関連会社の50%以上を有する。
• 米国で事業を始めるために十分な運転資金があるかどうかの証明 (親会社から関連会社への送金証明等)
• 事業計画書、マーケッティングレポート、米国関連会社の予定組織図、日本の親会社の組織図。
• 賃貸オフィスの契約(ホームオフィス/バーチャルオフィスは不可)
他にも細かな条件がありますが、上記に記載された条件を最低限満たす必要があります。
管理職の定義 : Manager vs. Executive
L-1A申請時に、移民局とのトラブルになる一番の原因は, 申請者と移民局との間での管理職に対する見解の相違です。 現法での管理職の定義はManager と Executiveに分かれているため、申請時にどちらでの定義で、管理職の条件を満たしているのかを、明確にする必要があります。更に、ManagerかExecutive の判断は、役職でなく、申請者の業務内容によって判断されます。よって、申請前に、申請者の職務内容の精査が重要なステップとなります。
管理職:Manager/Function Manager
Managerの定義はManagerとFunction Managerの二つに分かれています。Managerは、専門職(大卒、又はそれと同等の教育)を受けた部下の業務を管理し、部下の人事権又はそれ同等の権利を有する立場にある者となっています。ここで注意しなくてはいけ無いのは、部下が専門職で無い場合、 現法では、管理職とは認められません。Managerの証明に一般的に使用される証拠書類として、部下の給与明細と卒業証明書のコピー、部下の学歴、給与、職務などの詳細に説明した、人事部から書面などが使用されます。
組織上の都合で、立場的には、管理職ではあるが、専門職の部下がい無い場合は、Function Managerの定義で管理職の証明をする必要があります。Function Managerの場合、申請者が人事権又はそれ同等の権利を有する立場にあり、申請者の担当する業務部門や役割が企業にとって必要不可欠なものでなければならないとの証明が必要になります。 証明方法ですが、Manager証明のための書類に加え、申請者の職務が組織上何故、必要不可欠なのかを詳細に説明した、書面の提出を求められます。
管理職:Executive
Executiveの定義は組織の経営管理を行い、組織としての目的やビジネスの方向を確立し、 組織内で広範囲にわたる意思決定権を有する者となっています。通常、部下にマネージャーを有し、日々の細かな業務に従事する事はあまりありません。
滞在期間:
L-1Aは, 延長する事によって、最長7年の滞在が認められています。延長のタイミングとしては2通りあり、関連企業の米国での事業歴が1年以上場合ですと、3年、2年、2年の合計7年。米国での事業歴が1年未満の場合だと1年、2年、2年、2年となります。
扶養家族:
L-1Aの配偶者及び、未婚の未成年の子女はL-2ビザを取得後、同伴家族として米国へ滞在が可能になります。
今後も、テキサスへの日系企業の進出が 高いペースで続くと思われます。これからL-1Aを申請、または、更新を考えられている方も、ここで説明させて頂いたポイントを考慮しつつ、必要な書類を揃えていく必要があります。L-1Aの申請、更新手続き、 その他の米国法について質問等ありましたら、弊事務所までお気軽にお問い合わせください。
Kimura Law Office(gen.kimura@thegklaw.com/832-247-6932)