2016-06-22
■Premiumにとどまらない、企業の抱える健康関連コスト
フルタイム従業員一人当たりの年間コストが$350。
これが何のコストかご存知でしょうか。
Depressionを抱えた社員にかかる年間コストです(Medical Cost/Drug Cost/Absenteeism/Presenteeismの合計。Premiumは含まない)。
では$250はいかがでしょう?これは肥満社員にかかる年間コスト。関節炎なら$240、アレルギーなら$200です。これら4つを抱えている社員であれば、年間$1,000以上のコストを企業が負担していることになります。
これはDr. Loeppkeらが10社・51,648人の社員に対して実施したCorporate Wellnessに関する研究結果からの抜粋です。2009年に発表された論文ですので多少古い情報ではありますが、研究時以上に現在の企業負担が膨らんでいる可能性も十分にあります。
ヘルスケアコストの企業負担は、アメリカでビジネス展開する企業にとって大きな悩みです。The Kaiser Family Foundationによると、企業が負担するPremiumは過去10年間で54%も膨らんだと言われています。これに、前述した変動費が上乗せされているのが現状です。
■Corporate Wellnessは、保険プラン最適化に並ぶ、第2の医療費削減施策
このような中、注目を集めているのがCorporate Wellnessです。
プランの見直しによる固定費の削減のみならず、社員の健康を積極的にサポートし、顕在/潜在化する健康関連コストを抑制しようという狙いがあります。
EAPやヘルスフェアの開催などはすでに多くの企業が取り入れているでしょう。
カフェテリアの抜本的な改善や、生活習慣病防止を目的とした各種カウンセリング・ワークショップの開催、エクセサイズイベントなどを企画する企業も増えています。
先進事例としてJohnson&Johnson社の"Live for Life"や、Safeway社の"Healthy Measures"などを耳にされた方も多いのではないでしょうか。
■「やったほうがいい施策」から「戦略的に取り組む重点施策」へ
Corporate Wellnessの本格導入は、組織変革プロジェクトとしての性質を帯びます。トップダウンでの施策推進が求められる一方で、ボトムアップでの参画を促す施策デザインもキーになります。テクノロジーの活用も社員の参加率を底上げするでしょう。もちろんIncentiveのデザインも結果を大きく左右します。
Corporate Wellnessにはヘルスケアコスト削減に加え、人材確保、能力開発といった面でも大きな可能性があります。求職者が福利厚生に重きを置く近年の傾向を踏まえると、優秀な人材の確保という点でもCorporate Wellnessは見逃せません。
テクノロジーの発展により高度化・高速化する業務を不健康な状態でこなすことは非常に難しく、能力開発の面でも健康管理は重要な視点と言えます。
外部からの注目も高まっています。
東京証券取引所では、従業員の健康管理に戦略的に取り組んでいる企業を「健康経営銘柄」として選定・公表し、企業の健康経営の取組みが株式市場等において、適切に評価される仕組みづくりに取り組んでいます。
日本政策投資銀行では、健康経営への取り組み度合いを独自の指標で評価し、その評価に応じて融資条件を決定するという「健康経営格付」を導入しています。
変革を迫られるいまだからこそ、最大の企業資産である人材に着目し、そのコアである健康にテコ入れすることが求められているのではないでしょうか。
■社員の健康への直接的アプローチ、栄養療法
"You are what you eat"というフレーズをお聞きになった方も多いと思います。
我々の身体は毎日の食事で作られています。
例えば、脳の60%は脂肪です。脳は神経伝達物質無くしては働けません。神経伝達物質の生成にたんぱく質は不可欠です。
これら栄養無くして、高度化・高速化する業務をきちんとこなすことは困難です。
良質な食事が社員を健康にし、社員が企業を牽引します。その結果はヘルスケアコスト削減のみならず、他の経営指標改善にも資するでしょう。戦略的人事施策としてのCorporate Wellnessをご興味をお持ちの方はぜひお問合せください。
最先端の栄養療法ワークショップから、Corporate Wellness全体の施策デザインまで、OPEN Laboratory, Incがお手伝いいたします。
中村洋一郎
米国栄養療法協会 認定コンサルタント
OPEN Laboratory, Inc.
yoichiro@open-laboratory.com