ニュースレター

2010-09-01
Newsletter 10年9月10月合併号
今年で12年目になるKaiser Family Foundation/Health Research & Educational Trust (Kaiser Family財団・Health Research & Educational Trust-健康調査と教育信託病院:以下Kaiser/HRET 或いは the Survey)が年に一度発行する2010年1月から5月の間に実施された調査によると、米国企業はヘルスケアコストの上昇の大半を従業員の負担額を押し上げる形で対処しているという結果が提示された。
Kaiser/HRETの調査はヘルスポリシーの分野では広範囲で引用されており、雇用主ベースのグループ健康保険の動向についての情報源として頻繁に引用されている調査の一つである。米国内のおおよそ2100社の公営および私営企業に対して400にも及ぶ質問を為し、詳細な調査を提供している。
雇用主の観点から、Kaiser/HRETの調査結果は次のような課題を考慮するのに重要な統計を提供している:(1) 米国の標準と比較して自社の保険コストはどうか; (2) 従業員に対し適度な負担額を請求しているか; (3)将来の自社のヘルスケアプログラムを考慮する際の重要な動向は何か。
下記はSurveyの主要結果の一例である:
1. 景気の下降に応じて、雇用主の30%がヘルスベネフィットの範囲を縮小或いはコストシェアを上昇させた;また23%が従業員の保険に対する支払い額を上昇させたと回答している。
2. 2005年以来、総合的な保険料の上昇が27%であるのに対し、同じ期間内の保険料に対する従業員の負担額は47%の上昇であった。また、同じ期間内の賃金上昇率は18%で、インフレーションは12%だった。
3. 2010年に雇用主が提供する年間健康保険料の平均額は、従業員本人のみの加入保険に対しては$5,049.00(毎月$420.75) で、扶養家族もカバーする保険は$13,770($1,147.50) であった。
4. 2009年と比較して、保険料は従業員本人のみの加入保険は5%、扶養家族もカバーする保険は3%の上昇となっている。
5. 2010年は、保険に加入している従業員が保険料総額の多くを負担した。これは従業員本人のみの加入保険に対しては保険料総額の19%(2009年は17%)で、扶養家族もカバーする保険に対しては保険料総額の30%(2009年は27%)の負担が含まれる。
6. 従業員本人のみの加入保険に対するSurvey結果の追加詳細としては、全労働者の16%は負担額の支払いを要求されていないのに対し、保険料の一部負担を課されている労働者の28%が保険料総額の25%以上を支払うというものであった。しかし、扶養家族もカバーする保険の場合は51%の労働者は保険料総額の25%以上を支払い、負担額の支払いをしていない労働者は5%だけという結果だった。
7. 従業員の負担額の平均についてのSurveyの結果は、従業員本人のみの加入保険は年に$899或いは月に$75、扶養家族もカバーする保険は年に$3,997或いは月に$331というものであった。Surveyの平均的な結果に基づくと、一般労働者は従業員本人のみの加入保険は保険料の18%、扶養家族もカバーする保険は29%の出資という結果だった。
8. 従業員本人のみの加入保険に対しては小規模企業(従業員数3-99名)の労働者は年に$865、大企業(従業員数200名以上)の労働者は$917とおおよそ同額の負担をしている。 しかし、扶養家族もカバーする保険に対しては大企業が年に$3,652なのに対して小企業は年に$4,665というように小規模企業の労働者の負担額は非常に多くなっている。
9. 2010年においては約69%の企業が健康保険を提供しており2009年の60%から著しく上昇した。この変化は健康保険を提供する従業員数が3-9名の非常に規模の小さい企業が13%増となったことが大きく影響している。
10. 労働者の58%が加入するPPO (Preferred Provider Organizations)と呼ばれるネットワークが、雇用主のヘルスケア市場の大半を占め続けている。その他のヘルスケアプランの種類や労働者の加入の割合にはHMO (Health Maintenance Organizations)が19%、High Deductible Health Plans with Savings Options (HDHP/SOs:貯蓄オプション付きの保険給付が始まる前に必要な自己負担額が高額な健康保険プラン)が13%、Point of Service (治療時に従業員がHMOネットワーク内の医療機関とネットワーク外の医療機関のどちらを利用するかが選択可能な健康保険プラン)が8%、Conventional Plans (保険会社がほぼ全額をカバーする非常に良い内容のプランで現在では希少)が1%となっている。
11. 多くの企業が従業員の年間自己負担額を上昇させている。加入している労働者の27%の年間自己負担額は現在最低でも$1,000となっており、これは2009年から22%の上昇となっている。小規模企業においては、46%がこのような種類の自己負担額の設定となっている。
12. High Deductible Plansの特徴は従業員に医療費目的の貯蓄を可能にする点である。HDHP/HRA (High Deductible Health Plans/Health Reimbursement Account)に加入する労働者が雇用主から出資される年間平均額は従業員本人のみの加入保険で$907、家族カバーは$1,619となっている。雇用主がHDHP/HSA(High Deductible Health Plans/Health Saving Account)に出資する年間平均額は従業員本人のみの加入保険で$858、扶養家族もカバーする保険は$1,546となっている。
13. しかし、High Deductible Plansを提供している全ての企業が貯蓄オプションも合わせて提供しているわけではない。これらのプランを提供する 5社のうち約2社は、労働者のHSA(健康貯蓄口座)へ出資している。