2013-06-01
もし貴社が、弁護士が作成した5ページに亘る仲裁契約書(理解するのに法学部卒業程度の知識が必要となる)を新規労働者に渡してサインを貰う事を考えているのなら、以下を読んでからにするべきです。
過去数年にわたり全米の雇用者は、職場においての紛争を解決する有効な手段であり且つ法廷闘争のコストを削減する物であるとして仲裁制度を採用してきました。しかし同時に職場における仲裁契約書の施行力及び正当性についての大きな法廷闘争が行われてきたのも事実です。多くの裁判では仲裁契約書が紛争解決手段として有効であるとしてきましたが、他方で幾つかの裁判では紛争をカバーするものであると一応の支持を不本意に打ち出しています。
第一に裁判所は、契約書が雇用者に不平等なアドバンテージを与えるような場合は、仲裁契約書を労働紛争の解決手段として認めておりません(例:雇用者が従業員の雇用者に対する全ての問題において仲裁を義務付ける事に対して、雇用者は自身が必要とみなした場合に従業員に対する法廷闘争を起こす事が可能とするルールを設定した場合)。また裁判所は次のような場合、雇用者の仲裁契約書が不公平であるとみなすでしょう:(1)契約書が、従業員が主張を有利にする為の証拠収集について非常に厳しく規定する場合、(2)契約書が、従業員が得られるであろう損害賠償額に規定を設けること、(3)従業員が支払う仲裁の為のコストが実際に裁判を起こした場合に従業員が裁判所に支払う金額よりも高かった場合。
仲裁契約書を有効に使う為に、雇用者は契約書の作成に際し次の点に気をつけなければなりません。
•義務付けられた仲裁契約書は、必ず公平・公正でなければならない。雇用者・従業員共に、契約における義務と契約過程は等しくあるべきである。また雇用者は全ての申し立てに対して仲裁を行わなければならない。
•仲裁契約書は、従業員が法廷に行った場合に受ける事の出来る処置方法及び損害賠償について制約を設けるべきではない。
•契約書は、従業員が仲裁過程において彼らの主張を裏付ける証拠の収集を行う事を必ず許さなければならない。
•法廷闘争を行う場合、従業員が支払う必要のある経費以外は、従業員に対する支出を契約書で求める事は出来ない。
•雇用者が従業員に仲裁契約書にサインを求める際に“サインをするか、さもなければ会社を去るか”といった交渉方法で従業員に契約書にサインをさせたり、解雇をしたりするべきではない。
全ての経営決定を踏まえた場合、雇用関連の紛争に対する仲裁については多くの肯定論・否定論がある。さらに仲裁過程と仲裁自体の必要性については会社の業務内容や規模によっても異なってくる。結論として、仲裁契約の使用について雇用者は、利点・欠点・適切な過程などについて明確に理解するべきである。また、弁護士によって作成された仲裁契約書を盲目的に採用する事はやめるべきである。
契約書作成・改定に際しては、弁護士と注意深く内容を話し合い理解するべきである。もし雇用者が契約内容を理解できないとしたら、ほとんどの従業員もまた理解できないはずだからである。
ご質問はHRM Partners上田(mueda@hrm-partners.com)まで。