ニュースレター

2017-08-23
Newsletter August 2017: より魅力的な企業になるために
昨年、シスコシステムズ本社を訪れる機会がありました。目的は、カリフォルニア州サンノゼにある広大な敷地を見学することではありません。それは、1984年の創業以来、世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社として30年以上も業界のリーディングカンパニーとして君臨する同社が、どのような経営をし、どのような人事制度を導入しているかについて、上級幹部から直接お話を聞くことでした。とは言うものの、車で走っても走っても目指すビルに辿り着かない広さには正直驚きました。この驚きはGoogle本社やFacebook本社を訪問した時と同じかそれ以上のものでした。ただ、GoogleやFacebookと違うのは、同社は主要製品やサービスを変化させながら、“長きに渡って”優秀な人材を惹きつけ続けているところです。

さて、同社の経営や人事制度についてはオフレコもあって多くを書くことはできないのですが、その一端は「キャンパス」と呼ばれる広大な敷地内にあるLifeConnections Centerという施設から見てとれます。その施設内には、メディカルケア、チャイルドケア、フィットネスなどのセンターが入っており、従業員やその家族であれば使用可能です。同社では、健康面へのケア以外にも、ファイナンシャルに関する教育を受ける機会を提供したり、様々な休暇を提供したり、非常にフレキシブルな働き方を推進しています。このような取り組みはシスコシステムズに限ったことでしょうか?

International Foundation of Employee Benefit Plansの最近の調査によると、調査回答企業の9割が何かしらのWellness Programを提供しているそうです。また、6割以上がWellness Programの予算をもっており、半数以上がその予算を2年以内に増加させると回答しています。Society for Human Resource Managementの最近の調査でも似たような傾向が出ており、2016年から2017にかけて、そのようなプログラムの提供を増やしたのは25%、逆に減らしたのはわずが3%という結果になっています。これらの調査結果は何を意味しているのでしょうか?

優秀な人材の確保と維持は企業にとって非常に重要であるということに異論はないでしょう。一方で、それをどのように実現するかについては多くの経営者や管理職者が課題と感じているはずです。私はシスコシステムズや他の多くの会社がWellness Programに注目していることが、その課題を解決するための何からのヒントになると考えています。従業員(とその家族)が何を求めているのかをあらためて見直し、どのような制度やプログラムが世の中にあるのかを調べ、何に優先的に予算を振り分けるのかを検討すること。業績評価・給与・福利厚生などの人事制度を総合的にみて、考えられる限りの手を尽くし、全ての面で改善を重ねていくこと。これらの取り組みが貴社をより魅力的な企業にし、優秀な人材の確保と維持に繋がっていくのではないでしょうか。

HRM Partners, Inc. 三ツ木良太