ニュースレター

2017-12-27
Newsletter December 2017: New Labor Laws
早い物で2017年もあとわずか数日を残すところとなりました。

今年は全米で、連邦、州、地方自治体の全ベルにおいて40件余りの労働・雇用法の改定、新法の施行があり、人事を担当されるみな様にとっては、ハンドブックの改定やポリシーの作成準備に追われる1年ではなかったかと思います。

政権の交代により、オバマ政権時代に拍車のかかっていた賃上げ、FLSAルールの改定ムーブメントにブレーキがかかり、最低賃金を減額した都市さえ出現しました。
ニューヨークやカリフォルニアといったリベラル色の濃い地域を除いては、労働者が期待したような賃上げが近々実現する様子はうかがえないものの、一方で、ファミリーバリューをサポートする動きが活発化しており、病欠法やファミリーリーブ法を連邦法として制定し、現在、州レベルで導入されている法律の代替としては、といったような提言もあります。
今後は、益々、家庭と仕事の両立が実現できる職場、ワーク・ライフバランスを重要視する企業の姿勢が求められ世の中になるのではないでしょうか。


以下、現時点で既に施行が決定している各州の労働・雇用法を簡単にご紹介します。

特にニューヨーク州で施行されるPaid Family Leave Benefits Lawに関しては、就労者に対してかなりの手厚いベネフィットが用意されており、同法を積極的に利用しようという社員の動きも予想されることから、早急に雇用主が同法の内容を熟知し準備を整える必要があります。まだ準備が整っていない場合は、至急、専門家にご相談されることをお勧めします。


<<2018年に施行が決定している労働・雇用法>>

【カリフォルニア州】
- サラリーヒストリーバン (1月1日施行)
求職者からのサラリーヒストリー情報入手の禁止及びサラリーヒストリーをベースに給与のオファーを行うことを禁止する。サンフランシスコではこの内容に加え、現職及び過去の社員のに関し、社員本人の書面による了承がない限り、サラリー情報の公開を禁止する。

- イミグレーション (1月1日施行)
連邦法で規制がある場合を除き、雇用主がICE(移民税関操作局員)の職場への立ち入りや社員情報へのアクセスの許可を行うこと禁止。

- 犯罪歴調査 (1月1日施行)
既に施行済の”バン・ザ・ボックス”法の対象を社員5名以上の企業に拡大。犯罪歴調査はコンディショナルオファーを行うまでは実施できない。また、犯罪歴をベースにオファーの取り消しを行うためには、犯罪歴の内容の分析を行ったうえで書面にて求職者に通知を行う必要がある。

- 育児休暇 (1月1日)
75マイル以内のエリアで20名以上の社員を雇用する企業で就労する従業員に、新生児、養子、里子とのボンディングのために年に12週間までの無給休暇の取得をする権利が確保される。復職保証リーブ。

- DLSE(労働基準捜査局)による調査 (1月1日)
社員からの通報がなくても、職場での差別や報復行為の疑いのある雇用主に対し追加の調査を開始する権限をDLSEに与えられる。

- 性別の認識及び性別公開の権利、性的嗜好 (1月1日)
5名上の社員を雇用する企業への性転換者の権利についての通知ポスターの掲示の義務化。また、全米で50名以上の社員を雇用する企業は、管理職に対し、現行のセクハラトレーニングの範囲を広げ、社員の自らの性別の認識や性別の公開、また性的嗜好がベースのハラスメントを含めた研修を受けさせなければならない。


【イリノイ州】
- 遺伝情報の開示 (1月1日)
遺伝情報の開示を拒否する社員を雇用主が罰することを禁止する。

- 緊急ボランティア要請レスポンダー (1月1日)
社員が勤務時間内に電話やテキストで緊急のボランティア活動への要請を受け応対することに対して雇用主が懲戒を行うことを禁止。


【マサチューセッツ州】
- 男女同一賃金 (7月1日施行)
同様の職務職責において社員の性別によって賃金差別を行うことを禁止。同時に。求職者に対してサラリーヒストリーの開示を要求することや、社員間の給与情報開示の取り締まりを禁止する。

- 妊娠中、産後の社員への配慮 (4月1日施行)
雇用主は妊娠中の社員に対して職場環境上の配慮、また、産後社員の搾乳のための配慮をできる限りの範囲で行わなければならない。


【ネバダ州】
- 犯罪歴調査 (1月1日施行)
週の犯罪歴情報中央管理局に対し、雇用主への特定の犯罪歴の情報提供の義務を排除。また、特定の状況においては免責とされた雇用主からその特権をはく奪。

- ドメスティックバイオレンス犠牲者の休職の権利 (1月1日施行) 
社員がドメスティックバイオレンスの被害者、または家族が被害者となった場合、雇用主は年間に最高160時間までの休職を与えなければならない。また、必要があれば勤務スケジュールや職場での直通電話番号の変更などの特別配慮をできる限りの範囲内で行わなければならない。


【ニューヨーク州】
- ペイドファミリーリーブ (1月1日施行)
有資格社員に年間12週間までのファミリーブ取得の権利が発生。ウェージリプレースメントベネフィットが州より支給される。2018年の導入時は、年間に8週間、平均週給の50%のベネフィット。4年間の段階的な導入スケジュールが予定されており、2021年には年間12週間、平均週給の67%のウェージリプレースメントベネフィットの支給の導入が決定されている。復職保証リーブ。

- 病欠の承認理由の拡大 (5月5日)
既に施行されているEarned Sick Time Act (ESTA)の休暇取得理由に社員または社員の家族のドメスティックバイオレンス被害、性的被害、ストーカー被害が加えられる。


【オハイオ州】
- 失業保険 (1月1日施行)
雇用主に対し、四半期ごとの失業保険料額及びペイロールの報告書提出、及び/またはウェージレポートのオンライン報告書の提出を義務化。


【オレゴン州】
- 賃金及び就労時間の記録 (1月1日)
雇用主が社員に対し、就労時間や受給した報酬に関して虚偽の報告書を作成するよう強制することを禁止する。また、雇用主のこの行為によって発生した損害や罰金、諸申請費用等の私訴を承認する。

- プライベート情報:ソーシャルセキュリティー番号 (1月1日)
プライバシー保護に、ソーシャルセキュリティー番号が含まれる。ソーシャルセキュリティー番号が含められた書類等の情報の処分も同法の対象。


【ユタ州】
- 源泉徴収税
雇用主に四半期ごとの源泉徴収税レポートのオンラインでの報告を義務付ける。


【バーモント州】
- 妊娠中の社員への職場環境配慮 (1月1日施行)
雇用主による常識の範囲内とみなされる妊娠中の社員からの職場環境配慮や妊娠に関連した健康障害による欠勤の拒否を禁止する。

- ソーシャルメディアアカウントの開示 (1月1日施行)
雇用主が社員や求職者にソーシャルメディアのアカウント情報(ユーザーネームを含む)の提出や、雇用主の目の前でアカウントにアクセス、またはアカウントのプライバシーセッティングスの変更の要請や強制することを禁止する。


【ワシントン州】
- 有給病欠 (1月1日)
ワシントン州内の全ての従業員に40時間の就労に対して1時間の有給病欠を取得する権利が発生する。


大矢まどか
Actus Consulting Group, Inc.
人事ディレクター

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