ニュースレター

2010-02-01
Newsletter 10年2月
連邦政府によるI-9の監査

2009年末、連邦移民・関税執行局 (ICE) は全米の企業1,000社に対してI-9の監査を実施する旨通知したと発表した。理由は2009年4月から11月の間にI-9関連の違反を犯した雇用主ら約1,900件を告訴し始めたからであり、米国に在る雇用主は検査に備えておくことを強く勧告する。

I-9の監査では、雇用主は全従業員のペイロールおよびI-9フォーム、ペイロールの記録、ペイロールタックスの書類、W-2や1099フォームを含めた人事記録およびソーシャルセキュリティー・ノーマッチレターを提示しなければいけない。I-9の監査は従業員が米国で就労可能な適格者であることを確かめる為に行われるが、周知のようにIRS (国税庁) は全ての社員にI-9フォームを記入させることを全雇用主に義務付けており、これは米国で就労可能な適格者かどうかを確かめる目的で使用される。

下記はHRMが薦める監査のために準備しておくべきステップである:
1. 準備体制を万全にするため全ての記録を保管する習慣を再確認すること。望ましい習慣には以下が含まれる:
a. 通常の人事ファイルとは別にI-9フォームと関連書類は鍵のかかるエリアに保管されなければならない。因みにI-9フォームを他の人事ファイルと一緒に保管することは違法ではないが、無関係の書類に政府機関調査員がアクセスできる状態にしてしまうことは従業員のプライバシーを危うくすることにもなるので薦めない。
b. 最新のI-9ログ (記録)を保持し、従業員の氏名、ソーシャルセキュリティー番号、雇用日、確認された書類、書類の有効期限など記録事項をまとめておくこと。ログのバインダー (ファイル)内には、雇用主が確認した全ての関連書類のコピーを保管しておいてもよい。
c. 全ての現従業員および退社した従業員のI-9フォームを退社日から1年もしくは雇用日から3年のいずれか長い期間に合わせて保管しておくこと。
d. 保管義務のないフォームを破棄することと同様に、I-9フォームを再確認するためのリマインダーシステム(忘れずに思い出すこと可能な体制)を維持しておくこと。
e. 常に最新のI-9フォームの使用を確実にしておくこと。因みに現在使用されるべき最新のI-9フォームにはフォーム右上に2010年8月31日で期限が切れるという表示がされている。
2. 社内で (雇用主が自ら)I-9の監査を実施する際に含めるべき事項:
a. 身分証明書が雇用主の保持する記録と一致しているかを確認するために、各従業員の氏名、住所やソーシャルセキュリティー番号もしくはタックスID番号が正確にリストされ記載・記録されているかを確認すること。
b. 全各従業員のI-9フォームおよびList A の書類もしくはList Bの身分証明書 (例:州から発行されているID、パスポートもしくは査証)の適切なコピー が存在しているかを確認すること。
c. 従業員がI-9フォームの記入の為に通訳者を要する場合、その通訳者の証明書を添付し、また通訳者の全ての連絡先の情報が正確で最新の情報であること。
d. ソーシャルセキュリティー・ノーマッチレターを雇用主が受け取った場合、それについて調査され解決されたことを記録に残しておくこと。
3. オンライン上の連邦E-Verifyプログラム(www.uscis.gov)への登録。 E-Verifyへの参加は政府と取引のある企業以外のプライベート企業は任意であるが、I-9フォームの記入が完了したならば、従業員が米国での就労が許可されているかが確認できるE-Verifyシステムからの自動返答にアクセスが可能である。
自社でI-9の監査を行うに当たって雇用主が頻繁に発見するのが、未記入の部分があるI-9フォームもしくは特定の従業員のI-9フォームがないことである。書類が存在せず新たにI-9を従業員から得る場合、雇用主は急ぎ記入を完了させ、フォーム上に署名される日付は従業員が勤務を開始した日付ではなくフォームを実際に記入完了した日付とすべきである。

ICEから連絡を受けた場合、ICEがI-9フォームの監査目的で訪問する前に3日間の準備期間が雇用主に対して与えられなければならないとの法律があること、並びに監査は雇用主のオフイスもしくはICEのオフイスで実施されることを雇用主は知っておくべきである。尚、 I-9フォームに記入漏れのある従業員が一人でも見つかれば、雇用主には意図的な違反に対する刑罰に加えて、規定に正しく則らなかったとの手順および規則上の違反として罰金が科されるので注意が必要である。