2009-02-01
『2009年 人事コンプライアンス・リスト』
毎年初めには様々な法律や規則が更新され、それに伴い会社のポリシーや手順にも変更が生じるが、会社はそれらへの処置として人事管理情報およびデータをアップデートできる良い方法を習慣として導入すべきである。以下は2009年になった事により、雇用主が更新の有無を確認すべきコンプライアンス項目である。
1. FMLAポリシーの更新. The Family and Medical Leave Act. (FMLA)は2008年末にMilitary Family Leaveの条項を法律に含めた。50名以上の従業員を半径75マイル内に有している企業に対してFMLAは義務付けられている法律である。就業規則および掲示義務のあるポスターにてMilitary Family Leaveの含まれているものに更新する必要がある。
2. 携帯電話の使用. 2008年7月からカリフォルニア州では運転中の携帯電話の使用を法律として禁じた。また2009年1月には運転中の携帯電話による通話以外にもテキスト・メッセージの使用をも禁じた。法律で禁じられている州では勿論のこと、他州に在る企業であっても就業中に運転しなければいけない従業員がいる (或いは従業員の他州への出張機会が多い) 企業では、携帯電話の使用に関するポリシーの確認・見直しが必須である。
3. 障害者法. The Americans with Disabilities Act.(ADA:米国障害者法)も2008年にADA Amendments Act.(ADAAA)として改正された。15名以上の従業員を有する企業に適用されている法律でありADAAAに絡んでの記載を更新するよう就業規則の見直しが必要である。(注:HRM社としては雇用機会均等法にも関係するこの法律は15名以下の従業員を抱える企業であっても順守する事をお勧めする)
4. 雇用機会均等法. 連邦法で定めれらているEEOの「Protected Group」以外にも州ごとに定められている「保護されるグループ」がある。各州のそれと会社のポリシーが合っているかを確認し、就業規則を見直す必要がある。
5. ポスターの見直し. 上記(1)で述べたMilitary Family Leaveのポスターを含めて、現在掲示義務のあるポスターが掲示されているかどうかを再確認する必要がある。掲示義務を謳う法律や諸規定の改正・変更に伴い、新しいポスターを必ずしも購入する必要はないが、購入をしない場合でも掲示義務のあるポスターをプリントし直すなどして掲示するべきである。コンプライアンスを順守する上では、ポスターの見直しを毎年行う慣習を持つべきである。
6. 守秘義務. 年の初めは従業員に対して再度の「守秘義務契約」の確認をするには良い時期である。またたとえ守秘義務の内容に変更がない場合でも、毎年新たに署名してもらう行為を習慣とすべきである。
7. 保険会社との契約. 50名以上の従業員を有する企業では身体的な傷害と同等の精神的な障害に対しての保険を提供する事が義務付けられており、それに則っているかの再確認が要る。
8. ジョブ・ディスクリプション. 皆さんもご存知のように、(たとえ故意ではなくとも)ノン・エグゼンプト従業員をエグゼンプト従業員として分類していた場合、雇用主は該当従業員に対して最低でも過去3年まで遡ってタックスを含む未払い就労分(残業代)を支払う必要があり、これは相当高くつく可能性がある。The Federal Fair Labor Standards Act.並びに一部州ではエグゼンプション・テストを設けており、各従業員(ポジション)がエグゼンプトであるかどうかを見極める事ができる。企業は念には念を入れ、繰り返しジョブ・ディスクリプションの見直しおよび確認作業を行うべきである。
9. ユニオン. Employee Free Choice Act.が法律となった場合、職場においてユニオンの勧誘や介入が積極的かつ頻繁になり得る。そうなる前に雇用主ができる事は、雇用慣行全般への監査を行い、ユニオンが積極的に突いてきそうな会社の弱点を正しておくことである。行うべき監査には給与・保険・スーパーバイザーへのトレーニング・苦情処理方法等々が挙げられる。また従業員が100名以上或いはそれに近い規模の企業では、ユニオンの組織化に対して合法的にどのように対応するかの戦略も準備する必要がある。
10. 管理職トレーニング.管理職トレーニングをマネジメント・スーパーバイザーに対して実践し、新しい法律、更新した会社のポリシーおよび手順に関して知らしめておく必要がある。