ニュースレター

2008-11-01
11月号ニュースレター
「個人所有車の使用」

職務を遂行する上で従業員が自分の車を使用するに当たり、従業員は自身には会社の自動車保険が(少なくとも自賠責が)適用されると思い込んでいることがあるが、それは大きな誤解である。標準的な営業用の自動車保険はたとえ仕事中であっても私有車を用いる従業員には適用されないのが常だからである。

保険料を余分に払うことにより仕事中に私有車を使用した従業員にまで保険の適用範囲を広げることはできるが、一般にこれを行っている雇用者は非常に少ない。加えて、リスクマネジメントや保険の専門家は従業員の私有車にまで適用される保険に加入するよう勧めることはほとんどなく、その代わりに従業員には最低限度額の保険に必ず加入してもらい、その証明書を提出してもらうよう雇用者にアドバイスしている。専門家によると事故が発生した際に雇用者が請求から逃れるためには最低限度額は100万ドル程度が理想的であるが、実際この金額の保険を従業員に掛けさせることは難しく、30万ドル~50万ドルを義務付けている雇用主が多い。しかしこれでは十分であるとは言えないため従業員には限度額のもっと高い保険に加入することを真剣に考えるよう雇用者は指摘すべきである。

従業員が個人で自動車保険に加入し私有車を仕事目的で使用する(或いはそれが予測される)場合、保険料は大抵値上がりする。しかしそれほど頻繁に生じない場合に保険会社に敢えてそのことを報告しない従業員が多いが、殆どの保険会社は報告を義務付けており、更にどのような職務で車を使うのかなど詳しい使用目的も質される。もし従業員が職務で自動車を使用する旨を報告した場合、それがたとえ稀であっても追加で保険料を払わなければならないが、保険会社によって異なるもののその金額はそれほど大きくないはずだ。

職務中に私有車を運転していた従業員が事故を起こした場合、事故を起こした責任は常に従業員にあるが、雇用主は従業員が職務中であったという理由で責任が問われ訴訟を起こされることがある。従って、職務上で私有車を使用する従業員に対しては書面でのポリシーを出すことに加えて「職務中であっても法的な責任は自分たちにあることを理解した」という署名を必ずもらい、また雇用主からは保険が提供されず、従業員は自分で自動車保険に加入しなければならないということを彼らにしっかり認識させることが大切である。