ニュースレター

2012-07-01
Newsletter 2012年7月号 優秀な社員の離職を防ぐ4つのポイント
人材の流出(社員の離職)は、米国のビジネスに大きな影響を及ぼしている。新しく社員を採用して教育した後、その社員が自らの意思で離職したり解雇されたりすれば、会社にとっては大きなコストと時間の浪費となってしまう。また社員の採用や解雇は、雇用主にもリスクをもたらす。どのような産業であっても、そして今の離職率がどのような数値であっても、離職率を下げることは、コストの削減、効率の向上、そしてリスクの軽減につながるだろう。

離職の殆どの原因は、社員が自分の意志で会社を辞めることによる。ここでは、優秀な社員の離職を防ぐための方法を幾つか紹介したい:

1. フィードバックの提供 – 優秀な社員の離職を予防するために、おそらくこれは最もシンプルでありながら、最も重要な方法であろう。一般的に社員は、自分が上司の期待に応えることができているのか、自分の仕事がどう評価されているのかを知ることができれば、より心地良く働くことが出来るだろう。

たとえ与えられたフィードバックがポジティブではなかったとしても、常にパフォーマンスの向上を心がけている社員であれば、上司からの正直な評価をありがたいと感じるはずだ。しかしながらフィードバックを与えるときは、「減点式」の評価—始めから完璧な仕事を期待し、欠点や足りない点のみに注目すること―を避けるべきだ。このような方法を使うと、フィードバックはネガティブなコメントだけになってしまう。

そのかわり、「教育的」な評価方法—社員が提供する価値に着目しながら、改善の余地のある点も挙げること―を使うべきだ。もう一つの重要な方法に、「ソーシャル」フィードバックと呼ばれるものがある。これは仕事関連、またはそれ以外の場面の、毎日のやり取りのことだ。例えば一日の始まりに「おはよう」と微笑むのも、このフィードバックに含まれる。

このような社会的「手がかり」を与えることで、社員は自分が人間として大事にされていると感じることが出来る。これは日系企業ではなおさら重要な方法であろう。なぜなら、日系企業のアメリカ人社員は、自分がどう思われているのかが分からないことが多いからだ。

2. 良い仕事に対する報酬 – 労働統計局によると、アメリカ人労働者の一つの会社での在職期間の平均は4.4年だという。つまり、社員にそれよりも長く留まっていて欲しいならば、よい仕事をした時はすぐに報酬を与えるべきだ。入社してからの期間に基づいて(例えば、まだ入社してから間もないからという理由で)、昇級や昇進を先延ばしにしてはならない。

多くの社員は他の会社での勤務経験があり、そのような経験を評価してもらえることを期待している。また大抵の場合、報酬や福利厚生は、同じ産業の競合企業に劣らないものでなければならない。

3. 学習経験の提供 – 多くの優秀な社員は、自分のキャリアにおける長期的ビジョンを持っている。そしてそのようなビジョンに近づくためのスキルや経験を得るために、会社を変えたりする。そのように意欲の高い社員は、現在の職場で自分が常に学習し成長していると感じることが出来れば、そこに留まるだろう。

そのため、社員が現在のポジションに慣れてきた頃に、知識やスキルをさらに広げられるような新しい機会を提供することを考えたほうがよい。そのような機会には次のようなものが挙げられる:

a) 仕事に関連するセミナーに出席させる
b) 仕事に関連した大学・大学院のクラスやプログラムの授業料の返還を提供する
c) 仕事に関連した資格の取得を奨励する
d) 管理育成のクラスを提供する

4. キャリア開発の提供 – 会社内での昇進・昇格の選択肢について、社員と話を始めることが重要だ。そのような選択肢はあなたの部署内の場合も、社内のほかの部署や部門の場合もあるかもしれない。そうすることには、昇進するためにはどのようなスキルを身につけるべきか社員に示すという意味がある。

また会社における昇進の選択肢について話すことで、社員が今の会社又は企業系列でキャリア計画を立てるのを奨励することができる。一般的に、自分のキャリア目標を持って働いている社員は、仕事への意欲が高く、まじめで、会社に忠誠心があることが多い。

要約すると、社員の離職を防ぐための最も効果的な方法は、上手くできているところ、改善の余地があるところについて社員にフィードバックを与え、新しいスキルの開発を支援し、そのような新しいスキルを今の企業系列においてどのように活かせるかについて話すことだ。社員は成長するにつれて巣立ってしまうのではないか、と心配する人もいるかもしれない。事実、そうなることもあるかもしれない。
しかし、あなたが育成した優秀な社員の多くは、あなたの忠誠心に応えようとし、信頼と敬意という最も重要な価値観を見つけた職場に残ろうとするだろう。

ダンカン・エルダー
副社長 
GlobalBridgeHR