ニュースレター

2008-04-01
4月号ニュースレター
働く理由は人それぞれであるが、仕事から何かを得るために働いているという点では皆共通であり、その「何か」により私達のモラルやモチベーション、そして生活の質が大きく影響される。以下は最近の人々が仕事に何を求めるかという考察である。

仕事はお金のためである

愛のために働く人もいれば自己実現のために働く人もいる。あるいは目標を達成したり、働くことで利己を超えて大きなことに貢献したいと願う人もいる。また有意義な仕事を通じて遂行する個人的な任務を備える人もいる。単純にその仕事や取引先の顧客が好きな人もいるだろうし、顧客や同僚との友情や人間関係を大切に思う人もいる。そして何か活動する事自体に意義を感じる人もいる。

仕事をする個人的理由が何であろうとほぼすべての人に共通する大前提は、お金のために働くということである。報酬、給与、ボーナス、ベネフィット、代償など呼び方は何であれ私達の生活を支えているのはお金である。住居や衣服、食糧を確保し、子供達を大学に行かせ、余暇や老後を楽しむためにはお金が必要である。従って、労働する者に対してお金やベネフィットを控えめに見さしむことは大きな間違いである。

企業が成功するするためには、献身的な従業員を獲得し、彼らを末永く雇用すことが必要不可欠であるが、これらは公正なベネフィットや報酬を提供する事により達成される。事実、従業員に生活賃金を提供せずして他のモチベーションとなる要因を生み出すことは難しく、公正な生活賃金を提供しなければ人材はより高い報酬を求めて別の雇用者のもとへと行ってしまうだろう。

1980年代初頭に行われた調査では、驚くべきことに人々はお金以上に他の何かを仕事に求めているとの結果が出ていた。アメリカ心理学会が何千人という従業員及びマネージャーに対して行った当時の調査では、お金こそが従業員の働く意欲に最も影響を与えるものだという雇用主側の予測に反し、従業員は個人の時間の確保やスーパーバイザーから注目されることがもっともやりがいを感じると回答していた。

しかし、Watson Wyatt Worldwideが行った近年の研究“21 People Management Practices Your Company Must Implement (or Avoid) to Maximize Shareholder Value”では、必要な人材には市場平均以上の給与を提供する必要性を述べている。

また、最近発行された"The Ten Ironies of Motivation"という記事の中でBob Nelson氏は「従業員は何にも増して自分が尊ぶ仕事で高い評価(報酬)を得たいと願い、また自分が成熟した人間として扱われたいと思っている」と述べている。

以下は成功していく上でモチベーションを高める為に従業員が職務に求める最近の傾向である。
- 仕事に対するコントロール: 決定権を持つこと、明確で測定可能なゴール設定やゴールを達成するための明確な責任と役割、また充実した職務、仕事の中で実際にできること、達成したときの明快な評価(報酬)など。

- 会社への所属感: 情報提供やコミュニケーションの円滑さ、マネジメントの決定方法の理解、チームやミーティングへの参加機会、仕事の進展や達成が書類や掲示で明確に示されること

- 成長と発達の機会: 教育やトレーニングを受ける機会、キャリアアップやチーム参加、クロストレーニング、成功している職場の見学など

- リーダーシップ: 漠然とした要求ではなく、ゴール設定やフィードバック、あるいはゴールに向けての全体像を伴う自分に対する明確な期待。
つまり、最近では一昔前に出された上記「個人の時間の確保やスーパーバイザーから注目」のような抽象的要望や上司からの評価がモチベーション向上の上位とはならず、キャリアアップ、即ちいずれは高額所得に結びつくであろう直接的且つ微に細に入った要望が占めるように変わってきたのである。
従って企業は今後、個々人のゴール設定から始まりインセンティブで報いる制度や、教育制度・トレーニングの機会を充実させるなど、従業員がより高い報酬を得るよう且つキャリアアップの助けとなるよう、多くを模索するべきであろう。