ニュースレター

2016-04-27
Newsletter 2016年5月号: 従業員エンゲージメント
2016年4月5日、サンフランシスコ市議会は同市内の企業(従業員数20人以上が対象)に対して、給与全額補填のParental Leave(=育児休暇)(最長6週間)を義務付ける条例案を可決しました。 従業員数によって適用開始時期は異なりますが、2017年1月1日から順次拡大されていきます。 カリフォルニア州では、2002に開始されたPaid Family Leave program(=有給家族休暇プログラム)によって、従業員は特定の条件を満たす休暇中に、給与の55%を受給できることになっており、サンフランシスコ市の今回の条例では残りの45%を雇用主が負担することで給与全額補填を実現することになります。 また、サンフランシスコ市の条例案可決の前日、ニューヨーク州ではカリフォルニア州の有給家族休暇プログラムと同様の法案が可決されました。(詳細は割愛します。) ニューヨーク市やカリフォルニア州のPaid Sick Leave(=有給病気休暇)に関する法律は皆様の記憶にも新しいと思いますが、前記の育児休暇等も含め、従業員が子供を持っても安心して仕事を続けられる環境を整えていこうという動きが活発化しているように感じます。

ところで、皆さんは「人事制度」と言うと、どのようなものを思い浮かべますか? 評価制度、報酬制度、福利厚生制度などでしょうか? 報酬や福利厚生をもう少し細かく考えると、給与、インセンティブ、先に触れたような各種休暇、健康保険等も挙げられるでしょう。 しかし、人事制度を設計・導入する上で重要なことは、これら一つ一つの制度や施策を個別に考えるのではなく(コンプライアンスは最低条件ですが)、従業員が自発的に考えて行動し、高い業績をあげてもらえるようにすること、すなわち、総合的にみて貴社の人事制度が如何に従業員のエンゲージメントを促進できるかだと考えます。 近年、従業員エンゲージメントについての研究が進んできていますが、今回はBambooHRというソフトウェア会社が4月に発表した『REWARDS AND RECOGNITION: WHAT’S REALLY DRIVING EMPLOYEE ENGAGEMENT AND CAREER ADVANCEMENT』という調査結果の一部を紹介いたします。 主なポイントは以下のとおりです。

Employee often prefer promotions over raises.
5人のうち1人は、「3%の昇給」よりも「上位タイトルへの昇進」が望ましいと考えている。

Recognition among peers frequently trumps monetary bonuses.
約3分の1は、達成した業務への対価として、「同僚にはオープンにされない500ドルのボーナス」よりも、「幹部から社内一斉メールで自身が達成した業務について知らせて欲しい」と考えている。

In-person, verbal recognition from a supervisor reigns supreme.
上司本人からの口頭でのレコグニションは、他の方法や同僚からのレコグニションに勝る。

Positive recognition correlates with happiness at work.
1日1回かそれ以上の頻度でポジティブなレコグニションを受けている人の94%は現在の仕事に「非常に満足している」か「満足している」。

従業員エンゲージメントを高めるためには、給与やボーナスだけではなく、昇進できるような組織であったり、単なる「評価」だけでなく「レコグニション」とその方法等が重要であることがお分かりになるかと思います。 貴社の人事制度を見直すヒントになれば幸いです。

三ツ木良太
HRM Partners, Inc.
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