ニュースレター

2011-03-01
Newsletter 2011年3,4月号
はじめに
従業員の本音を確認したい・職場での潜在的な問題を知りたい、だがどうすればいいのか分からない。いずれの企業もこのような経験が一度ならずともあるはず。 個人が自身の健康管理の一端として健康診断を受けるのと同様に、職場での潜在的問題を早期に発見し且つ迅速に解決する事は雇用主側の被害を最小限にくい止める為には極めて重要である。 早くに芽を摘むことができればそれだけ時間も出費も最少限で済むことになり、事を大きく発展させない為にも有効なツールとして「従業員意識調査」の実施を検討されることをお薦めする。

従業員意識調査とは
米国でEmployee Surveysと呼ばれる従業員意識調査は、専ら職場環境や報酬・マネジメントの運営能力・管理能力などについての従業員側の満足度や意見を調査するものだが、調査を実施する目的のほとんどは、高い離職率や従業員から正式に出された多くの申し立て並びに不正行為疑惑などの問題への「対応措置」、それと潜在的な問題の早期発見と解決のための「予防措置」としての実施の2点に絞られる。

実施することの利点
意識調査をすることによる主な利点として下記が挙げられる:
- 潜在的問題の早期発見や問題を未然に防ぐツールとなる。
- コンプライアンスとしての証拠になる。(生産性やモラル向上について従業員側に提案や意見を述べる機会を与えることは、彼らの満足度を高めようとする雇用主側の意思の証明ともなる。)
- 従業員のモラル維持と優秀な従業員の保持に繋がる。
- 生産性と安全性の向上に繋がる。
- 通常ならば従業員本人から直に聞くことが出来ない隠れた情報を入手する機会を得られる。
- 従業員のことを大切に思っているとの雇用主からの暗黙のメッセージとなり得る。

従業員意識調査の実施前に考えるべき重要点
上記のような利点があり組織改善の強力なツールにもなる従業員意識調査だが、実施前には調査実施の目的とゴールを明確にする必要がある。 次いで意識調査を実施し結果を知れば、これまでは認識していなかった事実をも雇用主側が認知してしまった事になる為、調査を通じて見出された重要な問題にはただちに改善策を投じる積極的姿勢と実際の行動が要求されることになる。 つまり、調査実施後に改善されるべき問題が是正されず放置された場合、従業員側の不満は一層膨らむことになり、モラル低下が避けられないどころか、従業員をして州機関など社外への申し立てを煽る事にと繋がるかも知れず、雇用主側が逆にリスクを背負い込むことにならないとも限らない。 従って、目的とゴールを明確にすることはもとより、実施には強い決断と細心の注意それに難問でも放置しない覚悟が必要となる。

実施方法の注意点
実際に社内にて独自に調査を実施する場合だが、内容の構成については例えば質問が抽象的であったり一つの質問欄で二つ以上の項目に回答を求めるような紛らわしい問いにならぬよう慎重に作成するべきである。 また、回答者である従業員の匿名性が保証されない場合、最大目的である率直且つ正直な意見の入手に悪影響を及ぼすことになるので出来る限り匿名性を保てる方法で実施するべきである。 但し社内でそれを行うには限界もあるので自社で全てを行おうとするのではなく、サードパーティを経由させるか或いは委託する、またはウェブサイトを通しての実施と回答収集が可能になるように構築するなどの手もある。 調査結果入手後は、雇用主は調査結果の適切な分析と従業員への報告のステップを取るべきだが、とりわけ、急ぎ調査や対応が必要なハラスメントおよび不正行為などの意見については早急にアクションを取るべきある。 以下は実施に当たっての主な注意点である:

- 調査目的・ゴールの明確化
- 回答者の匿名性の保証
- 適切な質問内容・構成
- 結果データの適切な分析
- データ結果への適時対処

まとめ<
雇用主側が調査を行ったことにより、従業員達は「あなたの声を聞きました。」とのマネジメントからの反応および何らかの (できれば従業員に有利な)改善措置を期待する。 しかし仮に早急に改善に応えることはできなくても、例えば「経済状況が悪いので給与の上昇は難しい。」「従業員の潜在的な不正行為に対 する情報は現在調査中である。」と言った、意識調査結果を受けてのマネジメント側の反応は必ずや為されるべきである。 従業員意識調査が真の組織改善として活 用されるには、雇用主は意識調査の結果を入手して満足するだけではなく、調査結果収集後の適切な分析と従業員へのフィードバックを怠らないようにすることが成功の秘訣と言えるであろう。

記事提供:HRM Partners, Inc