2012-11-01
人種、肌の色、ジェンダー、宗教、出身地など基づく雇用判断は雇用主に法的リスクをもたらしかねないということは、広く知られている。しかしながら、法律で禁止されていないバイアスもリスクをもたらす可能性がある。そのため、採用担当マネージャーは、採用過程における自分自身のバイアスを良く認識し、それを最小限にする努力が必要である。
マネージャーが採用決定をする際に影響するかもしれないバイアスは数多く存在する。例えば、有名大学出身だから、自分と同じような経歴があるから、あるいは第一印象が良かったからという理由で、候補者を高く評価する可能性がある。そのようなバイアスはささいなものかもしれないし、違法ではない。しかしながら、会社に良い結果をもたらすことは殆どない。
例えば、マネージャーは会ってすぐにある候補者を気に入ったとする。その場合、面接の最初の数分でマネージャーは採用の決断を下し、その後の30分から40分は、自分の決断を支持する理由を見つけることに費やす可能性が高い。フィーリングが合うと感じた相手に対して、ポジティブな点を最大化し、ネガティブな点を最小化するのは、いわば人間の本性である。またその逆も言えるだろう。面接の場に来てすぐに候補者に何かしらの嫌悪感を感じた場合、その印象を正当化することに面接の残り時間を費やすかもしれない。多くの場合、我々は自分のバイアスに基づいて相手を判断しているということに気づかないものである。無意識のうちに面接を通して主観的な印象の正当化という作業を行っていたとしても、意識の上では客観的な情報を収集したつもりになっているかもしれない。
そのようなバイアスに基づいた採用決定は時間を無駄にするだけではなく、効率性及び利益性の低下に繋がるような結果を招きかねない。主観的印象やその他の個人的バイアスが候補者の評価に影響を及ぼす場合、まず実際の職務条件がおろそかになってしまう。候補者が職務条件に基づいて選ばれなかった場合、仕事を始めてから不満や違和感を感じるかもしれない。また、その職務に就くにあたっての十分な準備がされていなかったり、その仕事で必要とされるレベルをはるかに超える能力・経験・学歴などを持っていたりして、採用者はフラストレーションを感じるかもしれない。また面接の過程で職務条件に十分な比重が置かれなかった場合、候補者は採用されてから、その仕事が自分の期待と違っていたと感じる可能性がある。その結果、能力を十分に発揮しなかったり、採用されてからすぐに離職したりするかもしれない。どちらのシナリオが起きたとしても、会社の利益性に悪影響をもたらすことは明らかだ。
採用決定における個人的なバイアスを避ける方法には次のようなものがある。
• 職務条件を定義すること。そのためには、その職務に必要と考えられる経験や能力よりも、採用された者がその職務で成功するために達成しなければならないことを具体的に書き出すというやり方が望ましい。
• 面接に参加するマネージャーは、「好印象の候補者」を探すのではなくて、職務条件に最も合った候補者を探すこと。
• 面接官は気に入った候補者がいたら、意図的に難しい質問をすること。
• 面接官はあまり気に入らない候補者に対し、職務遂行能力のみに焦点を当てること。その候補者が職務条件を満たしていることが分かったら、印象が変わるかもしれない。
• 色んな意見を集めること。採用担当マネージャー以外の人も面接に参加するのが望ましい。
• 候補者によって面接時間を短くしたり長くしたりしないこと。すべての候補者に対し、職務をこなす能力を見せる機会を同等に与える。
• マネージャーは面接をしてから採用決定をする前に、少なくとも30分間待つこと(感情的な決断をしないため)。
これらのステップに従うことで、採用担当マネージャーはより確実な採用決定を行い、会社の更なる発展に貢献することが出来るだろう。
ダンカン・エルダー
duncan.elder@globalbridgehr.com
記事提供:GlobalBridgeHR