2017-05-24
お世話になっております、人事/保険のアドバイザリーを行っているSolPortumの小楠です。今回のNews Letterでは、人事に関わる直近のレギュレーション改正や給与トレンドなどに関する内容をまとめてみました。
Sick Leaveのアップデート
2017年は多くのロケーションでSick Leave (病欠休暇)に関する変更があり、1月1日からCA州(San Francisco、Santa Monica)、VT州、WA州(Spokane)で新しい内容のSick Leaveが反映されましたが、7月1日からはAZ州、IL州(Chicago and Cook County)、MN州(Minneapolis)で改定が始まります。改定内容はロケーションごと異なりますが、休暇の累積や付与、使用、払い戻しや繰り越しなどに変更があるため、これらのロケーションに拠点を持っている場合(Home Officeも含む)は、内容の確認やハンドブックの記載の見直しが必要になるため、しっかりとした準備が必要となります。
[Sick Leave のアップデートに関しては、当情報サイトSolPortum SALONのHR Tool Box salon.solportum.com/tool-box内の ”FREE REPORT -Sick Leave更新”をご参考ください]
大卒者の初任給とベネフィットの傾向
以前も当New Letterで書かかせていただいた事がある通り、各企業の次年度における昇給予算上昇率は何年もの間3%となっていましたが、今年の大卒者の初任給に関しても前年度から3%上昇している様です。(Korn Ferry Hay Groupの調査による)
最新の調査によると、その初任給の金額はSan Franciscoで$62,829、New Yorkで$60,190、Los Angelesで$55,709、Chicagoで$54,515、Minneapolisで$53,121、Dallasで$50,084、Atlantaで$49,038となっています。ただし、Software DeveloperやEngineerなどの技術職は他の職種よりも30%前後も高いとされているため、採用を検討する場合は自社の業種や募集ポジションの職務内容を反映させた給与相場を知る必要があります。特にローカル人材の採用を行う場合、市場相場とは離れた金額で募集を行った場合は期待値に沿うレベルの候補者は見つかりにくいため、給与設定は極めて重要な採用プロセスとなります。これは大卒者だけではなく、一般的な採用を行う場合でも同じ事が当てはまります。
また、大卒者の年代はミレニアル世代(1980年前後から2005年頃にかけて生まれた世代)に当たりますが、この世代が求めるベネフィットのTOP 3は、Training and Development、Flexible Working Hours、Cash Bonusesで、Health Insurance (健康保険)に重点を置いている人の割合は10%以下とされています。(Forbesの調査による)
つまり、いま自社が用意している報酬パッケージは候補者が求めてるものなのかという点に着目する事が、今後の採用活動を有意義にし、競合他社よりも有利に進めて行くためのポイントとなり得ます。
外部ベンダーへの業務アウトソース
近年、特にアメリカではグローバルアウトソーシングという形が定着していて、2015年には2,382,000件もの仕事が海外にアウトソースされたそうです。これはアメリカの企業が職務制という形で運営を行っているため、セクションごとに外部委託がしやすい体制だからだと考えられ、法務や会計はもちろん、Payrollや経理、ITやRecruiting、HRなども国内へのアウトソースが盛んに行われています。
外部ベンダーに業務をアウトソースする事のメリットとしては、①自社で専門家を雇うよりもコストがかからない、②他社事例など自社では集められない情報が豊富、③情報が一元化される、などのポイントが挙げられ、特に中小規模の組織にとって利用価値が高いとされています。
日系企業の皆さまもこういったサービスを利用したご経験があるかと思いますが、「何を委託する必要があるのか」という事を理解していないと、あまり意味をなさない場合もあるので注意が必要です。例えば、「以前からお付き合いがあるから・・・」という事で、特に用事も無いのに年間契約を結んでしまっている結果、対価がほとんど無いにもかかわらず月間数百ドルというコストを支払っているケース、ベンダー側が「コンサルHour」を消化したいがために優先順の低い事案を急かしてくる結果仕事が増えてしまい、重要な所に注力できなくなってしまう、などが挙げられます。
注意する点としては、「昔は必要なサービスだったが、現在も必要なのか」「委託先の会社ではなく、担当している相手の事績や経験がしっかりしているのか」「相手が自社および自身の状況を考えてくれているのか」というものが挙げられ、アウトソースをより効果的にはこれらの要素を考察する必要があります。
様々な変更やトレンドがある中で、活躍する企業は総じて変化への対応/適応が優れているのではないでしょうか。レギュレーションへの対応はもちろん、組織を最適化させるための戦略やビジョンも常にアップデートしていく体質を作り上げる事が、最近のマネジメントに求められるタスクとなるのかもしれません。
内容に関するご質問、給与市場相場のご確認、News Letterの定期配信のご希望などがございましたら、SolPortum 小楠 (k.ogusu@solportum.com)までご連絡ください。 (文責: SolPortum 小楠)