ニュースレター

2012-06-01
Newsletter 2012年6月号 トレーニングの重要性:セクハラ防止トレーニング
さて、新入社員の採用は無事終わり、受け入れとオリエンテーションも完了できた。社員は採用に伴うメリットや企業側の期待される水準について説明を受け、職務を身につける作業に取りかかっている。しかし、この新入社員の成功を保つには、重要なトレーニングをこれから会社が提供しなければならない。

従業員の会社生活には企業に影響をもたらす判断を下す場合があるが、その中には論理的、行為的な判断もある。社員がこのような判断を怠った場合には企業へ重大な結果をもたらす事もあり得る。

しかし、従業員に対して、その都度正しい判断を下す事が出来る為のトレーニングに十分な力を入れていない会社が多々ある。「常識」と言った概念が薄いアメリカの文化環境では、各企業が正当とする行為や論理を明確に従業員に伝える事が大切である。

まず新入社員に与えるべきトレーニングの中にはセクシュアル・ハラスメント(以下セクハラ)防止トレーニングがある。

何故セクハラは問題か?
• セクハラは性差別の一瞬であり、連邦法、州法、市法などにより禁止されている。
• セクハラ訴訟は連邦・州・その他地方の裁判所で起こすことが可能な上、企業を相手にセクハラ訴訟を成功報酬ベースで起こす事を専門職とする原告側弁護士はまれではない。
• セクハラの苦情を受けた企業は数千ドルから数十万ドルまでの和解金、または損害賠償金を払う可能性がる。過去には企業が数千万ドルの損害賠償金の支払いを命じられた有名な訴訟もある。
• セクハラ訴訟への対応だけでも企業側には数万ドルから数十万ドルの弁護士費用が発生することがある。
• セクハラと見なされるような行為は企業の生産性や士気を低下させる効果がある。このような行動は社風に害を与える。
• セクハラ行為は被害者、加害者の他、目撃者のキャリアにも悪影響を及ぼす可能性がある。

何故セクハラ防止トレーニングは重要か?
• 大勢の人はセクハラに対して問題意識を持っていても、その大半はセクハラの定義を知らない上、その行為を目撃してもセクハラと認識できない。
• セクハラ防止トレーニングを受けた者はセクハラとされる行為を避ける事を習う上に、目撃したセクハラ行為を認識し、報告する事が出来る。
• 従業員と管理職の正当なセクハラ防止トレーニングを行う事と、明確な社内のセクハラ対策制度を実施する事により、セクハラ訴訟のリスクを回避する事が出来る。
• セクハラ防止トレーニングに企業の財産(予算、時間)を投資する事によって、会社がセクハラ対策を重視している事が従業員に伝わる。

セクハラ防止トレーニングの対象者は?
• 正社員、駐在員、出向者、研修生、現地採用スタッフ、パート社員、テンポラリー、派遣社員、契約者、その他会社の社員として行動する、または常時会社の中で仕事をしている人物がセクハラ防止トレーニングの対象者となるべき。
• 部下がいる従業員は、管理職者としての責任に関してのセクハラ防止トレーニングを更に受けるべき。

セクハラ防止トレーニングはいつ行うべきか?
• 最近採用(又は赴任)された従業員に対しては一刻も早く提供するべき。いつその従業員がセクハラ行為の当事者(被害者、加害者、又は目撃者として)にあたるか、わからないからだ。
• セクハラ防止トレーニングは定期的に全社員に提供するべき。例えば、カリフォルニア州では2年ごとに2時間のセクハラ防止トレーニングが義務付けられている。

米国で行動する全ての企業は従業員全員にセクハラ防止トレーニングを提供する企画を実施するべき。セクハラ対策の企画がまだない企業は直ちに導入する事を検討するべき。

ダンカン・エルダー
副社長 
GlobalBridgeHR