ニュースレター

2008-09-01
8月・9月合併号ニュースレター
従業員の銃を所持する権利(フロリダ州)

2008年4月にフロリダ州で承認されたある法律が論争を巻き起こしている。従来雇用主は従業員が車中に銃などの小火器を保持することを禁止してきたが、この法の可決により、雇用主は従業員が銃の携帯許可証を持っている場合、たとえ職場敷地内であったとしても鍵のかかった従業員の個人所有車内に小火器を所持することを禁止する事が出来なくなった。

全国ライフル協会(National Rifle Association) などの団体が銃を所持し自分自身を保護することは米国市民の権利を保障するものであると唱える一方で、雇用主側の集団は、①従業員を危険にさらすことになる。②職業安全衛生法(OSHA)の規定と相容れないことになる。③会社の所有地に関わる権利を侵す。④新たに保護されるべき従業員集団を不適切に作り出すことになる。として、この法律を認めない姿勢をとっている。 

このフロリダ州法においては、従業員や顧客、会社を訪ねて来る者に車内に小火器を保持しているか否かを尋ねることさえプライバシーの侵害となり、また車中に銃を所有する従業員或いは銃の携帯許可証を持つ従業員を差別することも禁じられる。更に、この新たな法律は独立契約社員、ボランティア、インターンに対しても同様に適用される。

「Bring your gun to work(職場への銃の持込み)」と題され可決されたこの法律は2008年7月1日から適用された。それを受け、在フロリダ州の雇用主は以下のことを直ちに行う必要がある。

1. 雇用申請書の中で申請者の銃携帯を尋ねる項目を削除し改訂する。
2. 就業規則で銃の所持を禁止することを謳った記載部分を削除する。
3. この問題に絡んでは差別行為が生じる可能性があるため、新たに保護され得る(銃を携帯している)従業員グループへの対応に関して管理職および中間管理職を教育する。

現在上記のような法律が存在するのは米国内ではフロリダ州とオクラホマ州の2州のみであるが、この両州の法律は連邦法で規定される「危険のない職場を維持する」という雇用主の義務と相反するのではないかと唱える専門家が多いのも事実である。