ニュースレター

2010-05-01
Newsletter 10年5月 試用期間および任意雇用のステータス
雇用してから最初の90日間を「probationary period(仮採用期間/試用期間)」と呼ぶことは一般的だが大半の人事専門家はこの期間を言い表す場合、probationaryという言葉の流用に難色を示し、代わりにintroductory / trial / initial periodなどの単語を用いることを好む。新入社員を指す言葉としてどの単語を使ってはいけないと定める州法や連邦法は存在しない、しかしながら試用期間終了後の雇用保証を暗示するかのような契約であると判定された過去の法廷事例もあるように、「probationary」という単語を使用することは非常に懸念されている。

「probationary period」または「probationary employee」などの単語を使うことに対する懸念は、一旦試用期間をパスすれば職は安泰となり或いは保証され、理由がない限りは解雇されないとの誤った解釈に従業員を導いてしまうことである。故に多くの人事専門家は上述の如く、代わりに「introductory」或いは「initial」のような単語の使用を好むとの事情がある。しかし、いずれの単語を用いたところで同じ問題が存在していることには変わりはない。

つまり、最初の90日間もそれ以後と同じくat-will(任意雇用)適用下にある為、いつでも理由の有無に拘らず解雇されても違法ではないはずだが、probationary或いはintroductoryの期間を通過すれば任意雇用の下に解雇されることはない言う職の保証度が増し、理由がない限りは辞めさすことは違法になる、と一般的に従業員が思い込むことになる。そしてこのような誤った見解を持った従業員を頻繁に試用期間後に解雇した場合、雇用主に対して訴訟を申し立てる立派な理由が存在し得ると考えるに至る。

雇用関係を変更するような明白な発言が雇用主により為されるか、或いは書面化された正式な雇用契約書が雇用主から提供されていない限りは、通常、米国の大半の州では全ての雇用は任意であると仮定され、実際、殆どの雇用関係は正式に契約書を交わした採用ではなく、任意雇用によって成り立っている。

下記は雇用の最初の90日間について雇用主が念頭に置くべきポイントである:

1. 任意雇用関係に矛盾するような言動を控えること:殆どの法律専門家は雇用の最初の90日間を「probationary」と言い表すことに反対しており、これを用いるならば従業員により常に誤解され不必要な時間とお金のかかる訴訟を引き起こされる理由となるだろうと助言する。従ってこの期間を言い表す際は「initial」「trial」「introductory」或いは「provisional」のような単語の使用が薦められている。但しこれらはマジックワードではなく、また法律により義務付けられている単語でもなく、単に従業員により誤解される可能性が低くなると言うだけのことである。しかし、この期間をどのように言い表わそうが重要なポイントは、就業規則内に「雇用の最初の90日間が終了しても任意雇用関係に変更は生じず、従って雇用主も従業員も告知なしにいつでも雇用関係を終了することができる」という文章を明確に記載しておくことである。
2. 管理職者全員が理解しているかどうかを確実にしておくこと:貴社の管理職者達自身がprobationary・introductoryのような単語を誤解して使用しており、入社91日目よりも89日目のほうが解雇し易いと考えている場合、従業員もまた同じように誤解している可能性が高いと考えられる。従って任意雇用の概念および最初の90日間が「introductory」或いは「trial」期間として設けられている主な理由は、雇用主が新入社員のパフォーマンスを査定し、且つベネフィットを制限することであることを貴社の管理職者が明瞭に理解していることが非常に重要である。
3. 最初の90日間内であればいかなる理由でも従業員を解雇できると思い込まないこと: 自社の求める人材ではないと判断し雇用を継続することを見合わせたいとの理由で従業員を最初の90日間中に解雇することは起こり得るかもしれない。また多くの雇用主はこの期間内に解雇すれば不当解雇として訴えられることはないと信じているかもしれないが、従業員達は入社初日より違法な理由により解雇されることから保護されていることを知っておく必要がある。これら違法な理由には差別・セクシャルハラスメントを通告したことへの報復を理由とする不当解雇、雇用主が州や連邦法に違反していると通告した、或いは労災クレームを申請したことを理由にした不当解雇などが挙げられる。雇用期間が短いほうが訴訟リスクが低くなると言う考えは一般的であろうが、だからと言ってこの期間内に解雇すれば雇用主側に法的保護が与えられると言うことは一切ない。従って、この期間内にアクションを起こすにしても、正当な理由を以って従業員を解雇したとの証拠書類が必要と言うことになる。