世の中には「その土地しか食べられない不思議な食べ物」というのがありますが、私の住むシンシナティにもそんな不思議なものがひとつ。
それは「チリ」。
「なんだ、そんなものか」と思われたNY在住の皆様、残念でした。確かに「そんなものレベル」に違いはないのですが、シンシナティでいうチリとは、そんじょそこらのものとはちょっとわけが違うのです。
まず、一番下にはアルデンテとはほど遠い茹ですぎでふやけ気味の短いスパゲティが。
そしてその上に挽肉を野菜や香辛料と煮込んだチリがかけられ、その上にはビーンズかオニオン、またはその両方がたっぷりとのっかり、さらにその上に、これでもかと言わんばかりに山のようなシュレッドチーズがかけられ、これで出来上がり。お好みによってはホットソースをかけたり、付け合わせの小さなクラッカーをチリに沈めふやかして一緒に食します。
【構造図】
上 細切りチーズ(山ほど)
↓ ビーンズ/オニオン(そこそこ)
↓ チリソース(ほどほどに)
下 ふやけたパスタ(適度に)
チリを出すお店は、市内や周辺の至る所で目にすることができますが、大手2つのチェーン店がほぼ独占、というかこの2つ以外私は知りません。一つはSkylineChili(写真)、もうひとつがGoldstar Chili。アメリカ人に言わせると「Skylineの方が味がよい」とか「Goldstarの方がチーズが旨い」とかいろいろと意見が分かれるようですが、私が食べた感じではどちらも大きな違いはないですね、まあアメリカンフードです。決して不味いとは思いませんが、週3回食べたいとも思いません。でもなぜかたまに無性に食べたくなりますが。
以前は数あるジャンクフードの1つくらいにしか思っていなかったこのチリですが、最近他州から来たお客様数名から「アメリカ人から、シンシナティはチリが名物と聞いたので食べてみたい」というリクエストがあり、この不思議な食べ物がアメリカではけっこう有名であることにちょっと驚きました。
ただし、「こちらが有名な○○チリですよ」といってお店に連れて行くと、ほぼ全員が一瞬驚きの表情に。
そりゃそうですよね、だってどこから見てもファーストフード店ですから。実際、店内には一応サーバーがいますので、ファーストフードとは一線を画しているんですけどね。でも、皆さん食べ終わると、「チリの美味に」なのか「名物征服の達成感」なのかはよくわかりませんが、けっこう満足されるみたいです。こちらとしては非常に安上がりな接待ですが・・・。
そんなわけで、皆さんもシンシナティにお越しの際は、是非一度チリにトライしてみてください。
ナガタク@Cincinnati